様々な意味で伝説、「原始の呼び声」
「トランスフォーマー2010」の26話。現題「CALL OF THE PRIMITIVES」の直訳となっている。
物語
暗闇に声が響く。
声の主は天才科学者プリマクロンだ。彼は今度作り出したエネルギー生命体をトルネドロンと名付け、エネルギーを吸わせて星まで餌食となる。
月ではサイバトロンとデストロンが戦っていた。「お前達には遥かに大事な戦いがある」という声がして、ダイノボットは戦いを放棄する。プレダキングとオボミナスは合体を解除して、ダイナザウラーとスカイリンクスも声に従う。動物型のカセットボット(アムホーンとスチールジョー)とカセットロン(ジャガーとラットバット)も勝手に飛び出す。
その頃セイバートロン星は蜘蛛に化身したトルネドロンに襲われ、全エネルギーを奪われる。
野獣トランスフォーマーの戦士達が声の発信源に向かおうとすると、トルネドロンがやってきて地球に食らいつき、エネルギーを吸収する。
野獣戦士達は銀河の中心の星に辿り着き、オラクル(劇中呼称はなし)からことの次第を聞かされる。遥かな太古、プリマクロンはユニクロンを造り出して反乱に遭い、助手のオラクルは命からがら逃げ延びた。ユニクロンの自滅後にロボットの製作をやめたプリマクロンはトルネドロンを誕生させた。複雑すぎるのがプリマクロンの欠点と見るオラクルは本能の赴くまま行動する野獣戦士であればトルネドロンに勝って宇宙を救えると考えたのだ。
トルネドロンが現れて緑のドラゴンの姿でダイナザウラーを負かし、グリムロックが下敷きになる。
スカイリンクスも敗れ、残る野獣戦士が分散すると、プリマクロンはトルネドロンを分裂させる。
カセットボットとカセットロン、アニマトロン、テラートロン、ダイノボットはトルネドロンの変身態(虎・ロボット・ヒドラ・茶色いドラゴン)に敗れて脱け殻となる。
その後トルネドロンはプリマクロンは最高級の安全回路を使ったにも関わらず彼に反逆する。
石頭のお陰で事なきを得ていたグリムロックが装置の操作も空しく餌食にされようとしているプリマクロンの下に行き、自分も試そうと(そうと知らず)逆転スイッチを入れるとトルネドロンが吸収したエネルギーは元の場所に戻り、宇宙は救われた。プリマクロンが喜ぶと、欣喜雀躍するグリムロック。
作画について
この回の美麗な作画はタカラのLDの冊子でも触れられていた(当時セル画イラストがテレビマガジン誌上で人気を博していたスタジオOXが具体的にどう関わったかは不明)。
頭部が出現するオボミナスの合体はヒーローロボット宛ら。
トランスフォーマーにメリハリもある。
ディテールも細かい。
所謂大張作画を思わせる画像は1987年当時から話題になって葦プロダクションが手掛けたとも東京ムービー新社が携わったとも憶測を呼び、松尾慎氏の関与説もあった。2014年に当時新人の菅沼栄治氏がTwitterでの大張正己氏に対する返信で真相を明かした(橙色のロボはプレダキングのこと)。
2020年にはスタジオルックが下請けをしたことも判明した。
余談
遥かな太古からプリマクロンは存在していたわけでナレーションでロボット生命体の生みの親と言われたが、トランスフォーマーの先祖の創造主、クインテッサ星人との関係は語られなかった(ちなみにザ・ムービー初稿ではクインテッサ星人はユニクロンが喰らい尽くした星の生き残りを始末するという設定で、完成作品に最後のリゾン人をシャークトロンの餌食とするという名残りがある)。
オラクルはかつてゴリラロボットのような姿をしていた。ユニクロンの反逆時にそのボディは大破し、核が逃げ延びた。それがサイバトロンリーダーの証、マトリクスと似ている理由も不明。
現在ではオラクルは輝くスクリーン越しに話す。
恐竜型のカセットロン、破壊工作兵オーバーキル(ケラトサウルスのようなティラノサウルス)と情報伝達兵スラッグフェスト(ステゴサウルス)はアニメにはこの回の序盤の出動シーンのみに出る。
ちなみに両者の扱いは漫画でも同じ(「ザ☆ヘッドマスターズ」の最終回にのみ登場)。
物語と無関係にオラクルがユニクロンの自滅に言及し、ユニクロンは唯一恐れるマトリクスを持ったガルバトロンを(そのSFガンも通じず、指先で摘んでどうにでもできるにも関わらず)飲み込んだので、正しいことを言っている。