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Mくんへ
君との出会いはインパクトの連続でした。
僕はいつも教室の端にいるようなタイプだったが、君は100キロを超える巨漢、現在体重は130キロ(俺はデブでなく骨太なだけと言っているがそんな人間はいない)の見た目で、一度見たら忘れなかった。
小学校のクラス分けのとき、教室を間違えて席がないということで、先生から呼び出しをされるところから始まった。
合唱の練習中、指3本入るくらいの口を開けないといけないのに、君は「俺は指10本入るぜ」と言って両手の指を口に入れて先生にとても怒られたり、高い声で歌うという指示をどう聞き間違えたのか、裏声で吟じるように歌っていたため、笑いを堪えながら歌うのが大変でした。
Mくんはとにかく集中力がなかったけど、君には天性のイジられキャラの素質があって、常に話題の中心にいた。クラス端の僕には羨ましかったが、住む世界が違って接点もないだろうと思っていた。席替えで席が隣になったときも、僕がちょっかいを出したのに、なぜかMくんがちょっかい出したということで廊下に立たされるという理解しがたい現象が起きたことは未だに忘れません。
今でも思い出し笑いをしてしまうのは、
塾の帰り道、
水爆弾という名前の水風船のぶつけ合いが流行っていたころ、
Mくんもたまたま近くの塾に通っていて帰り道が一緒だったこともあり、僕を含むグループがMくんを水爆弾の標的にして、投げつけていたことは申し訳なく思う。容赦ない子ども心だったからこその出来事だったとも思う。
君は水爆弾を巨漢とは思えぬ俊敏な動きで、映画マトリックスさながらの動きでかわす。それはバレエを見ているときのような人間の動きの美しささえ感じてしまう。君の華麗な動きでかわす姿はとても美しくも思えていたが、事件は僕の友達が投げた一つの水爆弾から始まる。
その一つの水爆弾が、帰宅途中の疲れ切ったサラリーマンの顔面にクリーンヒットし、サラリーマン激怒。
「親呼んでこいかい!」
と言われるも、誰も親を呼びたくないだけにみんな俯く。その態度に怒髪衝天のサラリーマン
「この中で一番家近いやつ誰や…!」
皆、目を向ける。そう、Mくんだ。
M母召喚。M母半泣きになりながらサラリーマンに謝罪し、鼓膜が破れんばかりの大声でMくんを叱責する。
その姿に満足したのかサラリーマンも機嫌を直して解放してくれた。
「俺悪くない!俺は被害者や!」
と叫ぶMくんの腕を引っ張って家に連れて帰るM母。一番の被害者が、一番怒られるという奇想天外、摩訶不思議すぎて、当時の僕たちにはレジェンド級に面白いやつと映った。今思い返すとイジメとも捉えかねられないことだが、彼の名誉のために弁解させていただくなら、これほどの存在感を放っていた彼こそ、小学校の思い出の基盤だったと確信できる。それに彼には「ほんとひどいことするなー」という一言で全て許す器量があった。今でも君の体臭は強烈だが、臭いも含めてどことなく安心感があるのはその器量の為せる業と思う。
その後、男子の中にMありと言われるほどの存在感を放ち、修学旅行の生徒代表にまで選ばれる偉業を成し遂げる。
その後も縁があり再会。そこから切れそうで切れない縁が細ほぞと続き、今では地元で唯一の友達になってしまった。
今更友情云々なんて言うような柄でもないが、とりあえず開放倉庫の廃棄予定の無料商品をカゴごと持って帰るのははずかしいのでやめてください。あと遊ぶときはせめて1000円はほしいです。いつも100円で何ができるかを考えるのは楽しいけど、30代になるとしんどくなってきます。
最後に、交通事故で死ななくて良かった。でも救急車内から「救急車なう」とかいう自撮り画像は心臓に悪いので送らなくていいです。