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肌で読む
📆2024/02/05 のこと
早稲田大学国際教養学部でオペラの歴史を教えている友人が雪の中、名古屋から移動中という知らせに混じって彼の関わる「音浴」(おんよく)事業について情報共有される。
特殊な周波数を含んだ音を耳だけではなく皮膚でも聴き、身体周辺を心地の好い音の波動に囲まれてリラックスする体験会を今月から全国各地でトライアルしていくらしい。
既に文学はアンビエント化し、思想書や科学的な専門書も視覚によらず読める。Audibleで『悪童日記』や『サピエンス全史』を耳読書しながら料理や掃除ができる今、アゴタ・クリストフやハラリ、ガルシア・マルケスまで気楽に👂で読めてしまう近づきやすさは、書物を視覚に依存する必要なく、使いたい感覚器官をオケージョン・内容によって選べる時代の到来を感じさせる。
この先、皮膚で読書できるようになったら、吉行淳之介や永井荷風がどんなふうに感じられてくるか想像してみたい。
あの一文の長さとそこになめらかな主体の遷移を易々と嵌め込んでみせた樋口一葉はなんだか心地好さそうだ。
文語の敵は視覚だったのかもしれない。