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忍びの基本

1 バス釣りにおける着水音とは

(1)バス釣りとルアー

 バス釣りにおいて欠かせないものであり、釣り人の興味と好奇心をそそる魅力を持ったルアー。様々な形、色、大きさ、ギミックを備え、色んな釣り方を可能とし、バス釣りの面白さを無限に広げてくれるものである。

 バス釣りではルアーをキャストし、狙ったポイントに落とすことを正確に、確実に、的確にこなしていく必要があり、バス釣りにおける重要なテクニックとされている。
数あるテクニックの一つとして今回は着水音をピックアップし、ここでは「キャストにおけるルアーの着水音」を深掘りし、考察していこうと思う。

(2)着水音がもたらす効果

ルアーをキャストし、水面に着水した際、必ず発生するのが着水音である。この着水音はバスにとってどういったものであるのだろうか。
まず、ルアーが水面に当たる音によってバスにスイッチが入ることがある。これは着水音に反応したバスが音の発生源を確認する動きと餌の落下を予測した行動である。大きすぎず、小さすぎない適度な音に引き寄せられるバスは多く、これもバスの好きな音色が存在することを意味している。

次に、あまりに近過ぎる着水音や大き過ぎる着水音は強烈なストレスとプレッシャーを広範囲に与えることとなり、その一帯、そのフィールドを潰してしまう。これは致命的になりかねないもので、時間が経っても解決しない可能性もあることから特に注意が必要である。

最後はそのフィールドの活性を変えることがあるということ。これはどういうことかというと、夜明け頃、朝マヅメの静かな水面へルアーを投じた着水音を皮切りに鯉やカエルや雷魚、バスや昆虫や鳥が目覚めたかのように動き出すことがあるのだ。こうなったフィールドではボイル多発したり、活発に動き出す現象が始まり、活性が一気に高まることがある。

このように着水音はバス釣りにおいて非常に大きな効果をもたらす諸刃の剣であると言えよう。

2    現場の経験から

では、自分の経験を交え、着水音について更に考えてみようとは思う。

(1)リアクションバイト

 実際にルアーをキャストしていてリアクションで食いに来てると感じることは多い。ルアーの着水と同時にバイトしていることから捕食対象を確認していないと思われる。また、チャターで早巻きしていて、バスの近くを通過した瞬間、何かに気づいたようにもの凄いスピードで追いかけてアタックしてくることもある。ある時は回収のため、高速でリールを巻いている最中に追いかけてくることもあった。
やはり着水音はリアクションバイトには相性が良く、大きな影響を与えていることは間違いない。

(2)捕食バイト

では、完全にルアーを捕食対象として認識しバイトする場合はどうだろうか。
まず、リアクションバイトとの差異はバスがルアーを確認し、餌と認識しているかどうかである。
これはあくまで自分の想像とイメージであるが、あまり積極的にこちらからルアーで餌をアピールするとバスは鬱陶しさのあまり距離を取り、なんとなくバスに気づかせるような控えめなアクションの方が獲物として認識させやすいような気がしている。
つまり、あまりプレッシャーやストレスを与えず、何気なくルアーで自然なアクションで気づかせるように誘えることができれば捕食バイトは増えるのではないかと思うのである。

3    着水音軽減のために

(1)着水音を構成する要因

   ①スピード
    キャストによって飛んでいくルアーのスピード。もちろんスピードが速いほど着水音は大きくなるし、コントロールも難しくなる。
   ②弾道
    ルアーが飛んでいく軌道。
水面にルアーがどう入水するかによって着水音は変わってくる。
   ③ルアー
    ルアーの大きさ、形状や重さによって着水音に違いが現れる。
   ④テクニック
    キャストにおけるテクニックで着水音は変化する。サミングやロッドワークでコントロールできる。

(2)要因毎に着水音の減らし方を考える

  ①スピード
   ルアーの着水時、入水時のスピードが速いほど着水音は大きくなる。これは単純な事で理解しやすくイメージしやすいところ。ただ難しいのはコントロール。スピードを如何に制御するかがポイントとなるわけであるがこれがなんとも難しい。スピードを落とすにしてもどこから減速させたらよいか。無駄にスピードをつけすぎていないか。
 絶妙なキャストスピードが求められ、サミング等によって着水音のコントロールが可能となるのである。
  ②弾道
   自分はルアーが飛んでいく弾道が重要だと考える。なるべく高さを出さずに低弾道であること。これはルアーを水面に落とす際の距離が長ければ着水音は増加することに起因する。そして、もう一つ。ルアーの飛ぶ軌道はライナーより若干の山なりであることが着水音を減らすことに繋がる。
 これらはキャストの方法によってコントロール可能。ルアーを下から放るようなキャスティングであれば着水音を最も減らしやすい。サークルキャスト、スパイラルキャストなどの遠心力系か、フリップキャストなどの下側にしならせるキャストがこれに該当する。
もちろんサイドキャストやオーバーヘッドキャストでもある程度はコントロールは可能である。
  ③ルアー 
   硬いものより柔らかいもの、複雑な形状より単純な形状、重いより軽い方が着水音は小さくなり、着水音のコントロールは簡単になる。
  ④テクニック
   まず、サミング。着水までにスピードを減速させ、着水時にしっかり止めてスピードを殺してあげること。
   あとはロッドでのコントロール。着水寸前にサミングと合わせて軽くロッドを立て、ルアーを少しだけ手前に引き寄せ、ルアーを水面に置くようなイメージで着水させる。これはカーブキャストの原理と同じであり、着水音を減らすテクニックとしては超重要である。もちろん着水前までにサミングで可能な限り減速させておくことが事前準備として必要である。

4    無音着水を目指す

  バスにプレッシャーやストレスを与えるような着水音を極力避け、場を荒らさずにルアーを着水させることによって更に釣果が望める。最近、比較的に大きいワームを使うことが増え、できるだけ遠くにキャストしたい気持ちから、より丁寧に着水をコントロールする技術を磨いていく必要が生じてきたのである。
 そのために逆スパイラルキャストという新しいキャストも編み出したし、常にキャストに意識を集中する癖も付き、一投一投を大切に行うようなった。
 もちろん釣果は伸びてきている。

最後に、、、
気配を消すため、足音を始めとした行動音を無くす。静かに素早くバスの背後を取ったなら、闇に紛れ、擬似餌をさも生き物の様に操りバスを欺き、一瞬で仕留める。

自分のバス釣りはまるで忍。


 

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