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花柄のワンピースはふわふわかわいい女の子のものだから

比較的ボーイッシュに寄せた服装をしている、男っぽい志賀の偏見。

『花柄のワンピースはふわふわかわいい、長い髪を軽く巻いた、そういう女の子が着る物である』

偏見だと思う。重々分かってる。
けど、だってそう思わん!?モデルさんとかは基本的に綺麗だから例外として、女の子女の子してる人ってやっぱり髪が長くて、ふわふわに髪を巻いているイメージがある。志賀の大学に多い、かわいいかわいいお嬢様みたいな女の子たち。
マザーグースで歌われるようにお砂糖で出来てるんじゃないかなんて思わされるような女の子。お花の香りがしそうな女の子。
そういう女の子たちこそ、ワンピースはお似合いだと思ってた。

一方でそういう女の子に比べて志賀はというと。
ショートカットの髪に、ボーイッシュな恰好。髪は当然巻かない。お花の香りはしない。お砂糖で出来てるわけない。そんなことは絶対にないと言いきれてしまう。

だから、ワンピースなんて似合うわけないと思い込んでいた。

友人と買い物に行った時に選んだワンピース。
半日以上をかけて、いくつものお店を回って、やっと決めたワンピース。
何なら友人様に買ってもらってしまったワンピース。

鏡を前にして、不安になりながら、服を重ねる。似合う似合う大丈夫。まあ、もし似合わないって言われたら、その時は友人のセンスのせいにしよう(暴論)。

かなりの不安感を抱えたまま家を出て、大学に向かった。
大学でいつもの仲間達と合流して、おしゃべりをする。
一緒に三限を受けて、四限の教室に行こうと準備をしていた、その時。
イギリス人の先生とぱちりと目が合って、こっちに歩いてきた。
今日は何もやらかしてないはずなんだけど、なんだろう…と考える私に、先生がかっこよく笑う。

「今日はすごくエレガントですね。結婚式にでも行くの?」

エレガント!!言葉のセンスが外国的(差別的な意味合いではなくて、ロマンチックすぎる表現だという意味)!!
エレガントなんて最近流行りのアニメに登場する先生の台詞でしか聞いたことない褒め言葉だ。あまりの衝撃で自分の顔がぶわっと赤くなっていくのが分かる。何これ嬉しい。

「結婚式には行かないです💦」

少し焦りながら言葉を返して、そのまま続けて「実はこれ、友人が選んでくれたんです」と伝えると先生はちょっと驚いた顔をして、楽しげに笑った。

「いいね、LADYみたいだ」

『LADY』って響きが本物すぎてもう何も言えないんですが!でも、最高評価だと思う。大人になりたくていつも必死な志賀にとっては大人の女性を示す『LADY』という単語は正に最高の褒め言葉。

「嬉しいです。ありがとうございます!」

ひらひらと去っていきながら手を振る先生にお礼を言って、とっても心が温かくなるのを感じた。

偏見ってするものじゃない。
それは結局自分の首も絞めていく。しんどくなったその先で、自分が自分の思想に囚われている事に気づくのだと思う。
だから、出来るだけたくさん偏見を手放していたい。持たないでいたい。
他者のためももちろんだけど、自分のためにも。

そんな気付きを得た最近の志賀でした。

世間のあらゆる偏見が吹き飛んでどこかへ行ってしまいますように。
これを読んでくださったあなたに祝福あれ。

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