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「美味しんぼ」再読備忘録2024‐2025「春のいぶき」‐第六巻「牛肉の力」第3話‐
山岡と栗田さんが東西新聞社文化部の谷村部長と富井副部長に「京都の野菜が美味しい」「関東は火山灰大地で土の質が良くないので野菜の味に悪影響がある」「そこで京都の野菜を取材に行きたい」という三段論法で出張の許可を取り付けた。
と、そこへ女性がやってきて花村さんになにか渡している。深刻そうな雰囲気だ。どうしたのかと話を聞くと、彼女は日川さんといい、結婚間近であったが、なにか問題があり、結婚が取りやめとなった。そこで彼女が社内で御祝儀を渡した人たちにああやって返して回っているのだ、という。それは噂になるわなあ。
栗田さんと山岡の出張当日、駅で新幹線を待っていると、その日川さんも居た。休暇を取って京都に旅行に行くという。日川さんの様子がおかしいのに気づいた山岡が日川さんがトイレに立ったスキに荷物を改めると、なんと遺書を発見する。
日川さんは傷心旅行で心を癒やすために京都に行くのではない。死のうと思っているのだ。驚く栗田さんに気づかないふりをしろと言い、ちょっと知り合いに電話してくると山岡。そういえば携帯電話のない時代、新幹線の車内に公衆電話があったっけ。
東海道新幹線の車内に公衆電話が設置されたのは、開業翌年の1965(昭和40)年からで、新幹線とほぼ同じ歴史を持っていたが、新型が発表されるたびに車内の設置数がへらされていた。そしてついに2021年6月30日までに廃止になったのか。「107」にダイヤルすることで、オペレーターを通じて新幹線車内の乗客を呼び出し、電話を取り次ぐサービスも行われていたらしい。
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京都に到着した。当然日川さんは二人と別れようとする。そこで栗田さんが一計を案じ、同行することになった。山岡が新幹線の車内から電話していた宿に行くらしい。
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ところでこの「美山亭」は、
そのものズバリの名前ではないがこちらだろうか。
実際に宿泊した方のブログ記事。「美味しんぼ」第20巻に登場した、とある。え?そんなのあったっけ?と思って読み返してみると、トチ餅の出てくる回で、
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原作者の雁屋哲氏が紹介しているらしい記事もあった。これによると107巻でも登場しているらしい。
話に戻ろう。宿につき、ちょっと一休みして、山に行くという。こんな雪深く寒いのに?と驚く栗田さん。宿のご主人の案内で、フキノトウと川魚を見つける。
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そして宿に戻って夕食。先程の「美山荘」のお料理は、土地の趣をふんだんに取り入れた“摘草料理”と名づけられ、「日本の里山には、そこでしか食することのできない唯一無二の料理がたくさんあります。訪れた人にその土地の料理を提供し、地域というものを感じながら お腹と心を満たして頂きたいと思います。」との言葉がある。
作中のお料理もこのような精神に基づいて提供されているようである。また“気づかいすれどもおかまいなし”のおもてなしで、日々お客様をお迎えしております。とも書かれており、その土地ならではの素晴らしい料理と心のこもったもてなしで日川さんの心は回復してきたようだ。
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しかし、元気をくれたフキノトウと川魚が調理され提供されて出てきたことで日川さんは激しく拒否反応を起こすが…
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日川さんは山岡に諭され、たくましく冬を越えようとする生命をありがたく美味しくいただいて、生きなおすことを決意する。
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このように見事に決まったオチも含め良い出来の話にこれ以上ツッコミをいれるのは無理でもあるし、また無粋であろう。(つづく)