「美味しんぼ」再読備忘録2024「玉子とフライパン」‐第六巻「牛肉の力」第2話‐
冒頭、東西新聞社文化部に三木という学生アルバイトっぽい子が原稿をもらって戻ってきた。富井副部長、田畑さん、花村さん、栗田さんが彼を休憩に誘う。ついでに居眠りしてた山岡も呼ばれた。
場面かわって東西新聞社の社員食堂。皆で持ち合って三木くんに成人式のお祝いのプレゼントを渡している。あの箱の感じだと万年筆とかやろか?。昭和だったら男子学生への贈り物は、腕時計、万年筆、ちょっと良いボールペン、ネクタイ、ネクタイピン、そんなとこだろうか?。
そこに三木くんの友人の上田がやって来る。三木くんによると調理師見習いをしているらしい。栗田さんが声を掛けると…
少し時が流れて、栗田さんと山岡が会議のため遅れて昼食を食べようと銀座を歩いているとあのツッパリ少年の上田が自転車で出前を配達し帰っているのに出くわした。二人はお昼がまだなので上田の店で食べてみることにした。
店主はどこかに出かけており、上田が作るという。上田いわく「何でも作れる。店主のオヤジより腕が良い」とのこと。栗田さんが「ハンバーグが食べたい」というと上田は「こんな店のハンバーグはクズ肉の寄せ集めだからやめておけ。それよりボークソテーにしろ。得意料理だ」と言うのでそれにした。
先日の東西新聞社の社員食堂でも「料理人なんかくだらない仕事」と言い、今日も「料理が好きでこの店に見習いで入ったが、つまらないので辞める」と、すっかりやる気をなくしている上田に、山岡は「プレーンオムレツ」を作ってくれという。なにか考えがありそうだ。
上田は豚肉に醤油とウイスキー風味を研究したと言う。料理が好きというのは本当らしい。好きじゃなかったら研究しないだろうし。今の洋食屋に勤めだしたが、手本となるべき店主がやる気がなく、料理が好きというより金の亡者で、幻滅したというところだろうか。
そして山岡は上田をオムレツ専門店「塀の上のハンプティ」に連れて行く。この店名はイギリスの伝承童謡のマザー・グースに登場するキャラクターの名前で擬人化した卵のキャラのことで、塀の上に座っているらしい。なにか実在するお店のモデルがありそうである。
そして上田のオムレツとオムレツ専門店「塀の上のハンプティ」の女性シェフ花森のオムレツを比べてみることにする。まずそもそも使っている卵が違うと山岡の説明が入る。
そしてさらにオムレツの焼き方、その技術も上田少年と花森シェフでは大きな差があると山岡は指摘する。
そして花森シェフが自分の作ったオムレツを美味しいと食べてくれることに最大の喜びを感じていることに対して、上田の本心は…
そしてまた少し時間が流れて、三木くんが山岡に「あの店をやめて一流レストランである『トライアングル』に入った」と報告に来る。そして三木くんが続けて、「上田が山岡さんから成人式のお祝いをもらったお礼を伝えてくれ」と伝言を言付かったらしい。
実は結構好きな話である。素直にエエ話やしね。でもツッコムところはツッコんでいこう。
まず卵専用フライパン問題ですよね。これどうなん?。
さて、「美味しんぼ」に出てくる料理を再現している料理チャンネルのリンク置いときます。今回は、上田くんの作ったポークソテーとオムレツですな。
昔、大阪の料理学校の辻調理師専門学校のシェフが話しているのをテレビで見たことがある。実はここのシェフは大阪ローカルの情報バラエティ番組で料理コーナーの先生をやってたり、探偵ナイトスクープの料理の題材では必ず駆り出されたりしており、関西人には並のタレントより知名度があったりするのである。先生もすごくテレビなれしてるしな。
先生の話はこういうものであった。料理学校で生徒が入学してくる。大体、今どきの若者は最初の挨拶の時に自分ら講師の話をそれはもうかったるそうに聞いている。やる気ある生徒はごくわずかである。
しかし、続けて、自分が見事な手際でオムレツを作り、「玉子ってワンパック10個入って200円である。それを4つほど使ってオムレツを作る。材料費は大体80円。それを店で出したら800円は取れる。その技術を今から教える」と言うと、ほぼ全員の生徒の目が輝き出し、真剣に話を聞くようになるというのである。
その時、その先生は確か、
オムレツは盛りつけたとき、この黄色い卵汁が流れ出すのが本当の本物のオムレツ、って言ってた記憶があるんだが…。σ(-ε-` )ウーン。どうなんかな?。(つづく)