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「美味しんぼ」再読備忘録2024「味噌の仕込み」‐第五巻「青竹の香り」第1話‐

お盆休みに栗田さんが栗田さんのおばあちゃんたま代さんに付き添って、たま代さんの教え子の一人の君島良子さんが住んでいる花畑村に招かれて遊びに来た。花村さんと田畑さんもあとから合流する予定らしい。

栗田さんとたま代さんが駅に到着すると、君島良子さんのお嬢さんのさわ子さんが車で迎えに来てくれていた。さわ子さんも東京で働いているが、ちょうどお盆で帰省していたとのこと。たま代さんは娘さんのさわ子さんとも知り合いのようだ。たま代さんはここ花畑村に何度か訪ねて来ているのかもしれない。

駅前に大きな味噌醸造工場がある。「元祖田舎みそ」の看板を見てたま代さんが「お宅も大繁盛なのね。あんな大きな工場を建てて」とさわ子さんに言うが、さわ子さんは「うちの工場じゃない」と否定する。「あらだって『元祖田舎みそ』って看板にあるしお宅の商標でしょ」とたま代さんが続けるとさわ子さんは暗い表情になる。なにかいわくがありそうだ。

君島さんの家に到着し、事情を聞く。駅前の味噌工場は「大銘加」のもので、「元祖田舎みそ」という君島さんのところが商標をとっているブランドを勝手に使っており、しかも名称が一般的すぎるためと商標登録無効の裁判を起こされているとのこと。

同じ名前の味噌を出されては資本力に優る「大銘加」に勝てず、売上も下がり、裁判費用やらなんやらで窮地にたたされているらしい。教え子の苦難に義憤にかられたたま代さんは、教え子である県会議員の中本氏に協力を依頼する。

翌日、花村さんと田端さんも車で花畑村に到着する。運転手は山岡。競馬に負け、金欠で田畑さんにお金を借りており、運転手兼荷物持ち兼雑用係兼として使役されているとのこと。山岡とさわ子さんは知り合いであった。

そして村長がやってきて、明日県知事が「大銘加」と君島さんの味噌工場を両方視察に来るという。県会議員の中元さんの働きのようだ。ここで県知事に上手くアピールしなさいとたま代さん。

策士山岡がなにかひらめいた

そして、翌日の県知事視察となる。このあたりは第三巻「炭火の魔力」第5話「醤油の神秘」と同じ流れになる。もともと醤油は、味噌を製造する途中で出た上澄み液がその原型という話もあり、原材料や製造工程など関連性が深い。

当然の帰結である

さて「美味しんぼ」のアニメ作品のなかで放送できなくなっている回があるのだ。それにはいろいろな理由がある。

こちらのサイトに一覧がある。

「しょう油の神秘」の回も市販のしょう油の製造過程や原材料などを儲け中心で質の悪い原材料を使って…と批判したことで、「大銘加」から抗議が来たのか?欠番回になっているようだ。

ところがこの「味噌の仕込み」は?と思ったら、そもそもアニメ化されてなかった。この次の回の「青竹の香り」はアニメ化されているけど、この「青竹の香り」回にも出てくるさわ子さんはこの「味噌の仕込み」回を観ないと、誰やねん?こいつ?ってなるから、出てこないようにアニメ版では改変されているのか?。

「美味しんぼ公式チャンネル」で「青竹の香り」回が無料公開されてないので確認できないのが残念だ。(今、2025年1/31まで全話無料公開されてます。この機会に是非ご覧になって下さい。12/25追記)確認したらやはりさわ子さんは居なかった。残念無念なり。

つまりこの嫉妬する栗田さんをアニメ版では味わえないのか…

元々原作でも「味噌の仕込み」とこの次の回の「青竹の香り」でしか出てこないので、アニメでも出てこないとなると、さわ子さんが不憫でならない。山岡を巡って恋の鞘当てというのは、そもそも山岡がモテそうにないキャラなので、封印されたのだろうか。栗田さんの恋のライバルはあの人の登場まで待たなくてはならない。

閑話休題。そもそもこの回は味噌の「大銘加」から反発はなかったのであろうか。実はしょう油と違って、味噌はその地方毎に特色というか、かなりの違いがあるから、しょう油のように「大銘加」の製品をスーパーマーケットなどで買わずに田舎から送ってもらってた、実家の自家製を送ってもらってた、通販で取り寄せしてたみたいな人も多かったのでは?と思う。

自分の家では、この麦味噌を通販で取り寄せて購入していた。母親が愛媛県の出身で、パートのおばちゃんが広島出身であり、瀬戸内海出身のお客様とも協力して一括注文していたっけ。

そのせいで自分もこの甘めの麦味噌に舌が慣らされており、店などで味噌汁が出てもコレジャナイ感が常につきまとうのだ。だから自分もスーパーマーケットでインスタントやレトルトの味噌汁を買うことはほぼなかった。今もあまり味噌汁を作らないのはそのせいかな。今度、この味噌を久しぶりに買うてみようかな?。

味噌蔵は全国各地に点在しており、しょう油より群雄割拠の状態なので、力が強くないのか?どうなんでしょう?。専門家でもないのでこのあたりは、他の詳しい人に任せて、この「味噌の仕込み」とこの次の回の「青竹の香り」のさわ子さんを偲ぶことにします。

とかこのあたり、たかが味噌やん?と現代の若い人は思うかもしれない。しかしこのあとこういうドラマが大ヒットしたのである。

この場面を観て現代の人がどうおもうか?を聴いてみたい。以下、あらすじをとうぞ。

縁談でエリートサラリーマンと結婚したにもかかわらず、初恋の彼が忘れられない女性の恋愛ドラマである。結婚後に夫がマザコンでセックス拒否症である事実を知ったヒロインは、結婚の過ちを痛感して初恋の彼との恋を再燃させる展開となって、以下略。

このトラマが一大ブームを巻き起こし、この気持ち悪い夫役の佐野史郎や義母役の野際夏子が大ブレイクするねんけど、その佐野史郎演じるマザコンを煮詰めて凝縮したような異常性の発芽がこの味噌汁の場面。この母親の味噌汁への過度な思い入れ、これ今の人に分かるかな~分かんねぇだろうな〜。(つづく)


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