「美味しんぼ」再読備忘録2024「油の音」-第一巻「豆腐と水」第6話-


さてとうとうラスボスこと海原雄山初登場回である。皆の衆、心していこう!。

冒頭、東西新聞社社屋前に立つ雄山。後ろ姿だけで顔を見せないで引っ張りまくる演出が良い。そういえば雄山、初登場からの数回は杖をついていたのであるが、途中から杖をつかなくなった。白髪も鬢のほうに目立つし、これ何歳くらいなんやろ。ま、長期連載は色々とあるよね。ドンマイ!。

文化部を目指してノシノシと進む雄山。その頃、文化部では山岡が辞職願を谷村部長に突きつけている。「これ以上、食い物の仕事に関わるのは嫌なんだ」と山岡。いやお前、そもそも仕事してないやんか!とツッコミたくなるのは花村さんだけではあるまい。花村さん、貴方は正しい。

そこに雄山が現れる。一転、文化部内が緊迫する場面となる。やはり雄山は京極さんから知らされて、息子の所在を確認するために東西新聞社にやってきたようだ。すったもんだの末に、山岡と雄山の味覚勝負となり、雄山の申し出で「天ぷら」勝負と決まる。

雄山は谷村部長に問う。
「腕の良い天ぷら職人を明日までに集められるかね?」
「東京の店の中から選んで来れますが」と即答する谷村部長。゚゚(∀) ゚ エッ?そんな簡単に出来んの?。そ、即答してエエの?。
応えて、雄山「よろしい。どこか適当な天ぷら屋も借り切ってくれたまえ。この男の味覚をためしてやろう。」
゚(∀) ゚ エッ?。今日の明日で貸し切りとか出来んの?。た、谷村部長?。
「では明晩」と谷村部長の返事も確かめずに帰ろうとする雄山。
「承知しました」と谷村部長。゚゚(∀) ゚ エッ?。エエの?エエの?。

た、谷村部長凄くない?ね?ね?

そして明晩、高級そうな店構えの天ぷら屋に集まった一同。
「雄山と山岡のどちらとも面識のない、腕の良い職人を集めました」
と谷村部長。いやいやいやいや。職人も軽く十名は居るぞ。部長、ホンマ、何者やねん。

そしてまず雄山の指示で、職人の手と口と歯を見ただけで、そのウデの善し悪しを判断するテストになり、山岡がそこから四名に絞る。この判定には雄山も文句はないようだ。

ところで例によって例のごとく、この天ぷら屋を貸し切った費用、集めた職人の日当、やっぱこれ「究極のメニュー」の必要経費よね?。しかしこれナンボかかっとるねん?。

バブル全盛期のこの当時、職人の日当、ナンボよ。そんで特に集められて、口開けて、手の爪見せて、もうエエよ。ハイご苦労さん、ってなった職人、これナンボで納得するよ?。

さらに残った四人で天ぷらの衣を作って、その手際をテストされて、二人失格、ハイ、ご苦労さん、って、かわいそう過ぎるやろ。天ぷら揚げさしてたれよ。

で、残った二人の職人の優劣を決めるためにようやく天ぷらを揚げることになる。その前に、この二人のうち、どちらの職人がうまい天ぷらを揚げられるか、その決め手として天ぷらを揚げている間の揚げている音を録音してテープレコーダーに持って来ていた雄山。その音を職人らに聞かせて、判断材料とする。雄山、用意周到やな。いや準備万端というべきか。

結果は満場一致で雄山の勝ちであった。いや、満場一致ではなく、やはり富井副部長はわからんかったけどな。トミーしっかりしろ!。

それはさておき、雄山のテープレコーダーのその音、その揚げ上がりの音の変化に気づくかどうか、が、良い職人がどうかの判断基準であり、決め手となったのであった。

勝負が終わり、ショックを受けたのかトボトボと帰る山岡。「山岡さんが食べ物のことでへこまされるのを初めて見たわ」とこちらもショックを受けてそうな栗田さん。

しかし山岡は谷村部長に「この前の辞表を取り下げてさせてもらえますか」「あの仕事やってみたくなったんです」と男を見せる。「究極のメニューを作って。海原雄山を見返せ」と励ます谷村部長。決意を新たにする山岡。

しかし山岡が勤務中に競馬場に行くのをやめるのはまだまだ先のことであった…ってオイッ!。



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