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「美味しんぼ」再読備忘録2024「肉の旨味」‐第三巻「炭火の魔力」第8話‐

スキー旅行でのトラブルで一目惚れした花村さんとおせんべい屋さんの三谷さんを恋のキューピッドとして結びつけたことで、幸せな二人が田端さん、栗田さん、山岡をお礼の食事に誘ってくれた。

そのお店は華麗な前菜の数々と日本一美味しいと言われる大南牧場のステーキで大評判のステーキハウスです。洒落た前菜と美味しいステーキでオシャレ感とボリューム感を両立させ、実は意外と食いしん坊な女性のハートをガッチリ掴んで大繁盛しています。

評判通り、その前菜はとても見た目に美しく味も良い。内装もよくあるステーキハウスのような無骨な感じでなく、オシャレなフレンチレストランのそれである。それは流行るはずだ。しかし女性客で繁盛している理由はそれだけでなく、

いや、ごちそうさま花村さん

とラブラブカップルが惚気ていると、テーブルにメインのステーキが運ばれてくる。栗田さんは一口食べて首を傾げる。山岡と三谷さんも納得していない様子である。日本一の大南牧場のステーキなのに?。おかしいな。

ちょっと前に独りで入店してきた「セイウチみたいな」大男が300グラムのサーロインとヒレをレアでソースをかけず軽く塩をふるだけで持ってきてくれと注文している。

シェフがその男に「ウチのステーキソースは肉汁とトリュフとマディラ酒で作ったソースでステーキに素晴らしく合いますが」と勧めても「余計なことせんでくれ。甘ったるいソースなどお断りだ!」とピシャリ。

さらにシェフの自慢の前菜を勧められても「そんなおままごとみたいな料理は要らん。ここはステーキ屋だろう?ステーキを持って来い」とズバリ。

シェフもムッとしたようだが、大男にステーキを持ってきた。大男はカットして切り口をしげしげと眺め。ステーキを口にする。そうやってヒレとサーロインを一口ずつ食べると、いきなり大声をあげて泣き出したではないか。

店も騒然となる。シェフが慌てて駆け寄り大男に声を掛ける。「どうしたのか?」と尋ねると「ステーキがまずくて泣いている」という。注文時の態度といい、いきなり泣き出したことといい、自慢のステーキを不味いと言われてはさすがのシェフも怒り出す。

「ウチの肉は日本一と名高い大南牧場の肉だ。それを不味いとはどういうことだ!」と反論する。しかし大男も「わかっている。私がその大南牧場の当主だ。私が手塩にかけて育てた大切な牛をよくもこんなにまずく調理してくれたな。今夜限りで二度とウチの肉は取り扱いを禁ずる」と言い放つ。それを聞いて愕然となるシェフ。

思わぬ騒動とその結末に悄然と帰路につく一同。しかし三谷さんが「さっきのシェフかわいそうな気がしてね。実はステーキを焼く名人を知ってるんですよ」と言い出す。

山岡も「前菜の出来は良かったから、感覚は優れてると思う。」と惜しい人物であると思ってたので、三谷さんの提案に「名人?小網町の伝助老人かい?」と乗ってくる。「さすが山岡さんもご存知でしたか」と返す三谷さんとピタリと息があい、さっきのステーキ屋に戻ることにする。

十年の修業でここまで他人を魅了できるとはやはり元々のセンスは確かである
そしてシェフの狙いは商売として正しいのではあるが…

戻ってきた一同に素直に自分の経歴を話し始めるシェフ。そして呼ばれてきたステーキを焼く名人の伝助さんとステーキを焼く練習をする。

元々センスはあり、勘も良いシェフはすぐにコツを掴んだようで、伝助老人の教えを短時間で自分のものにしたようだ。大南牧場当主の再テストにも無事合格し、メデタシメデタシとなる。

いや、ちょっと待て!

ステーキハウスを経営していくうえで、焼きの技術ももちろん大切だが、大きい塊肉からステーキ用に肉を適切にカットするのも経験と技術が必要になるはずである。肉さえ良ければ、あとは適当に焼くだけで良いと考え、ろくすっぽ勉強しなかったシェフがちゃんとカット出来たのだろうか?。

この焼肉屋さんのYOUTUBEチャンネルの肉の捌き方を見てもらっても、かなり大変であることがわかるであろう。

脂身や筋などを取り除き、塊から肉をどれだけ使えて、どれだけ廃棄するかは、利益に直結する部分であるからそういう意味でもおろそかにして良いものではないだろう。

大南牧場から仕入れた肉を肉問屋の「丸清」がシェフの腕を見込んで特別に卸したそうだが、ある程度の下処理、もしくはステーキ肉にカットするのは肉問屋さんがやってくれてた?。

実際、このシェフは前菜など創作料理にこそ時間と手間をかけたいほうであろうから、肉問屋さんに下処理を丸投げしてたってのが正解なのかな?でもそんなステーキハウスのシェフの腕に日本一の牧場が卸している肉問屋さんが惚れ込むもんなんかな?この辺、どうなんですかね?。なんかもにょるなあ…(つづく)

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