「美味しんぼ」再読備忘録2024「味で勝負‼️」-第一巻「豆腐と水」第2話-


冒頭、東西新聞社の文化部で栗田さんが山岡を探している。2時から応接室に来るようにと部長に言われてたのに山岡が2時過ぎても来ないので探しに来たのだ。

文化部の先輩OLの花村さんは「どこかで昼寝してんじゃない?」と言うが、同僚の男性社員らが「今出てったよ」「競馬にでも行ったんじゃないか?」と言う。慌てて栗田さんは追いかけていく。

この描写を見て、「勤務中に昼寝?」「昭和の時代は勤務中に競馬場に行ってOKだったのか?」と2024年の現在、若い人は誤解するかも知れないが、多分当時でもダメだと思うよ。でもお客様訪問してくるといってパチンコ行ったりしてる営業マンは今でも居るのか?どうなのかな?。知らんけど。

平日なので競馬に行くって、地方競馬、東京やったら大井競馬場なのかな?山岡は地下鉄に乗って行こうとしてたようやけど、あいにく東京に住んだことないのでようわからんけど。この辺もどうなん?。知らんけど。ってそればっか。

結局、山岡は栗田さんに引っ張られて社に戻る。そして、応接室では食通と名高い各界の著名人に声をかけ集まってもらい「究極のメニュー」について意見を聴く懇親会が開かれていたのだった。

そして必然的に著名な食通らと山岡との間でイザコザが発生し、山岡が食通らに「本当に美味いものを喰わせてやる。ただし1週間後に」と、こう宣言し対決となる。

食通のうちの一人でフォアグラを褒めちぎっていた川本氏は、1週間後に「フランスから最高のフォアグラトリュフを取り寄せる」と言っていた。連載当時の1987年頃、フランスから一週間で空輸が可能だったのか、それは不勉強にして知らないが、結構凄いんじゃないのかな。そもそもナンボかかるねん?。川本さん、よっぽど腹たったんやろな。

そして山岡は連絡が取れず一週間が過ぎようとしてた、って、欠勤届とかどうなっとんねん!仕事してへんのか!いやそもそも普段から全然してへんねんけどね。まあなんやかんや呆れてるだけの文化部一同が逆にすごいよ。

すると山岡から栗田さんに電話があり、「食通の先生方との対決の場所を教えろ」と言う。栗田さんは居ても立っても居られずに山岡のもとに向かう。山岡は茨城県沖に船を出し、対決のためにある獲物を探していた。

それがアンコウであり、季節外れにもかかわらず見事な大物がかかった。山岡は立派な包丁セットを取り出し、普段のグータラぶりとはうって変わって颯爽たる身のこなしと包丁さばきでこの季節外れの大物を捌いていく。そして船上でアンコウの肝を酒蒸しにして、その出来に満足したのか、山岡は栗田さんに「これがフォアグラよりうまいアンコウの肝だ」と嘯く。

結局、この対決はフランスから空輸した最高のフォアグラトリュフよりとれたてのアンキモの方がうまい、人間が作為的に作り出したフォアグラより、自然の中で育ったアンキモのほうがうまいと全員が認めるところとなる。

否、世界的に認められた美食の王たるフォアグラトリュフを認めないとはおかしいと文句をいう食通らに対し、大原社主は「貴方がたはレストランのガイドブックは書けても新たなる食文化を切り開く事はできない」と言い、「究極のメニュー」は山岡と栗田に任せることにする。

でも山岡は「食通の先生方に対して意地になっただけ。食い物の企画に興味ない」と去っていく。そして場末のバーのカウンターの片隅で独りウイスキーのグラスを傾ける山岡。


絵はがきとして売って欲しいカッコ良さ


この哀愁。エエよね。これが最初期の美味しんぼの味よね…と、これが第二話の顛末なのだが、なんというかツッコミたくなるポイントとして…

茨城県までの山岡と栗田の移動費、山岡の一週間分の滞在費、漁船を一週間借り切って、漁師も二名雇っており、このレンタル代金と人件費など、これ全ての費用は「究極のメニュー」のための必要経費として認められたのだろうか?。

どうなの?山岡?。お前偉そうに能書きたれて金は全部会社持ちか!ってなると、このハナシ根底から色々おかしくなってくるような気がしないでもないねんけど?。

まあこの経費問題はその後も頻繁に読者、特にオレを悶々とさせ続けることになるのよね。

そして栗田さんなのだが、アンコウを探している場面でそれまで全然見つからんかったのに、栗田さんが来たら季節外れの大物のアンコウがかかったのは偶然ではないのである。

この後も釣りをしたりする機会があると、他の人は釣れなくても栗田さんだけが大物が釣りあげる、といった場面がたびたび出てくる。
(第二巻第7話「幻の魚」、第七巻第6話「天然の魚」など)
栗田さんは幸運の女神というか魚神なのである。流石はメインヒロインといったところか。

しかしこの第二話の最大のツッコミポイントは、

アンコウの旬を外しとるやないけ!

というところである。

実はこれに似たようなハナシとして第六巻の第7話「真冬の珍味」、テレビのクイズ番組に山岡と栗田さんが出演する回、といえば思い出す人も多いであろう。

その番組の収録中のグルメクイズの出題の中で、最高の珍味としてカラスミが出て、出演していた山岡が例によって「こんなのを最高と言ってるなど笑止千万。これよりうまいものを一週間後に持って来る」と言い出して騒動になる。その顛末として山岡が出してきた旬のスルメイカの肝の塩辛は、時期外れのカラスミよりうまいと収録の際の出演者全員に認めさせる回がある。

大阪出身なので、居酒屋でもアンキモがメニューに並んだのってあんまり見たことないし、アンコウ鍋も一度しか食べたことないし、勉強不足で申し訳ないのだが、やっぱり肝も旬を外すと味とか落ちるのではないか?と思うねん。

そやからあの対決はやっぱり旬の時期のアンコウの肝とフランス直輸入のフォアグラ・トリュフを比べるべきではなかったのか?と。ここどうなんかな?というのずっとモヤモヤしてるんですよ。

でもグルメ漫画の金字塔ともよべる「美味しんぼ」の最初の対決が時期外れの食材で勝つ、勝ってもうたって正直おかしいと思うねん。ホンマに納得がいかんのよね。

まあないとは思うけど、もし「美味しんぼ」をこの令和の今映像化するとしたら、ここはちゃんと旬の時期のアンコウの肝とフォアグラ・トリュフと正々堂々と比べて欲しい!と宣言してこの回を終わらせてもらう。





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