【宮崎駿】『「もののけ姫」はこうして生まれた。』でわかるクリエーターに必要な4つの要素【スタジオジブリ】
こんにちは、にじまるです。
僕は20代の時にゲーム会社のCGデザイナーとして働きはじめた頃から、モチベーションを上げる方法として、クリエーターのドキュメンタリーを観ることを習慣にしています。
特に好きなのは、「情熱大陸」や「プロフェッショナル 仕事の流儀」など、クリエーターが登場するドキュメント番組で、中でも繰り返し観ているのが今回紹介する『「もののけ姫」はこうして生まれた』です。
この作品は、スタジオジブリの映画『もののけ姫』の制作の舞台裏に密着したドキュメンタリー作品で、映画の企画立ち上げから映画の完成、宣伝戦略まで、映画制作のすべてが詰まっています。
この作品は、漫画『ONE PIECE』の著者である尾田栄一郎氏も絶賛しており、クリエーターやクリエーター志望者にとって非常に得るものが多い作品です。
今回は、『「もののけ姫」はこうして生まれた』を観ることでわかる、クリエーターにとって必要な4つの要素を紹介します。
『「もののけ姫」はこうして生まれた』とは?
スタジオジブリ制作のアニメ『もののけ姫』の企画の立ち上げから制作現場の裏側を中心に、アフレコ、宣伝戦略、映画公開後までを約2年にわたり記録したドキュメンタリー作品。宮崎駿監督のアニメーションや作品に対する姿勢や考え方が詳細に記録されており、創作を目指す人や創作の現場で働いている人におすすめしたい作品。
クリエーターに必要な要素1:リアルな実体験
宮崎駿監督は作品の中で、「子供時代に『となりのトトロ』」を何回も観るより、リアルで遊んだ実体験の方が重要だ」と語っています。
特にアニメーターを志す人にとって自分のこれまでのリアルな実体験はとても重要で、いくら映像を観てアニメーションを勉強しても自分の体験には勝てないとも語っています。
それほどアニメーターという職業は、自分のこれまでの体験や性格が如実に絵に表れてしまうそうです。
具体的な例として、あるアニメーターが描いた主人公のアシタカが必死に走る原画を宮崎監督がボツにするシーンがありました。
ボツにした理由は「必死に走っていない!」というもので、代わりに宮崎監督が描いた原画には、別人のような必死の形相で走るアシタカが描かれていました。
このエピソードは、アニメーターという職業にとって、いかにリアルな実体験が重要かを表しています。
クリエーターに必要な要素2:時代の空気を読む洞察力
映画『もののけ姫』は、1980年代に宮崎監督が企画した絵本の『もののけ姫』がベースになっています。
しかし、90年代中盤に映画『もののけ姫』の企画がスタートした時点で、ベースとなるはずの絵本の『もののけ姫』は15年前の企画であり、当時とは時代背景や社会情勢、消費者の趣向がすべて変わっていたため、宮崎監督は90年代にあわせた新たな『もののけ姫』を企画することになりました。
このエピソードからわかるように、宮崎駿という作家は時代の空気を読む洞察力に長けており、そこに「製鉄の歴史」「自然の破壊」「人間の業」「神秘的なものへの恐れ」など宮崎監督が読んできた書籍などの要素が加わって、新たな映画『もののけ姫』として企画がスタートしました。
時代の空気感を作品を反映させることで、物語に説得力が生まれて映画を観る人に共感を与えたのではないかと推察します。
クリエーターにとって時代の空気を読む洞察力が重要だと感じられたエピソードです。
クリエーターに必要な要素3:観たことがないモノを描ける想像力
アニメーターには「動画」「原画」「作画監督」というランクがあり、新人は「動画」からスタートして、経験を積むごとにランクアップしていきます。
ドキュメンタリーの中で、5人のアニメーターが動画から原画への昇進試験を受ける様子が紹介されており、試験内容は「武士が長刀を振る」というものでしたが、残念ながら5人の受験者はすべて不合格でした。
不合格の理由は、いずれの受験者も「長刀を振る動作に迫力がない」というものでした。
アニメーターは「リアルな体験」も重要ですが、時には架空のキャラクターや動きを想像力で補って描くことも要求されます。
このエピソードからわかるように、アニメーターという職業には、見たことがないモノを描ける想像力が要求されることがわかります。
クリエーターに必要な要素4:多くの要求に耐えられる忍耐力
作品の冒頭で宮崎監督は、「創りたい作品へ創る人たちが可能な限りの到達点へとにじりよっていく、その全過程が作品を創るということなのだ」と語っています。
特に創作を仕事にしている現役クリエーターやクリエーター志望者にとって、このメッセージは胸に響くと思います。
アニメーターという仕事は、自分の描きたいものは描けませんし、描いた絵を直されるのは日常茶飯事です。
近年ではアニメのクオリティが高くなり、アニメーターに高い能力が求められるので、それらの要求に耐えられるだけの忍耐力が必要になります。
まとめ
『「もののけ姫」はこうして生まれた』を観ることでわかる、クリエーターに必要な4つの要素を紹介してきました。
1:リアルな実体験
2:時代の空気を読む洞察力
3:観たことがないモノを描ける想像力
4:多くの要求に耐えられる忍耐力
創作に関わる仕事は大変なことも多いですが、作品が完成した時の充実感は他の仕事では味わえない大きな醍醐味です。
僕もゲーム会社でCGデザイナーをしていた時は、ゲームが完成した時の喜びで、それまでの苦しさを忘れてしまった経験があります。
ドキュメンタリー『「もののけ姫」はこうして生まれた』からは、作品を創ることの苦しさと喜びが伝わってきます。
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