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体温が下がった朝、私は検索魔になる。

起床後、基礎体温を測ってみると、0.2℃下降していた。気のせいかな、測り間違えかな、と思って、再度検温してみる。二度目の結果も大して変わらない。

すると、私は横になりながらスマホをいじる。Googleの検索画面を開く。

「基礎体温 下がった 妊娠」

という検索ワードで、過去に何度か見たことのある記事を、また見る。だいたい計測ミスか、着床時に体温が一時的に下がるというアレ。

ましてや、妊娠したよ系のブログはあてにならない。「下がったけど、上がったよ⭐️」なんて、私にもワンチャンあるかなって無駄に思わせるだけで、…結局いつもあの赤いヤツはやってくる。お腹もチクチクする。

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不妊で流産手術を経験し、その間にも身近なところで2人目の報告を受ける。

私の親はなかなか子どもに恵まれない娘のことを悲しんでいる…ように見せかけて、何であなたには出来ない?あの子には出来ているよ?と、よく分からないプレッシャーをかけてくる。

不妊治療で病院にも行っている。お会計のときには謎の加算をされて、治療費が嵩んでいることが最近の不満だ。

私はそんな日々の不安と焦りでしょうがなく、ストレスの捌け口にするかのように、やたらとスマホで検索する。それが余計にストレスを増幅させているとしても、なぜか辞められない。

確率の問題と思うと、何故よりによって私はマイナーな方なんだ、と思う。例えば、初期流産は、約6〜7人に1人に起こるとされているらしいが、じゃあ、5/6は上手くいくやんけ、と思うのである。他にも、どんな統計かは不明だが、何%とか何人に1人とか、そういった情報はあちらこちらで出てくる。それでもって、「不妊や流産は珍しいことではありませんよ」という言葉が大体セットでついてくる。

それらを見ていると、こちらに哀れみの気持ちを込めながらも具体的な数値のデータを見せてきてこちらを諭してくるような、そしてなんだか上から目線で、それはまるでどうどうどうどうと暴れ馬の血の気を鎮めているような感じで、…ともかく、勝手な言葉で、無下に慰められているような気がしてならない。

しかしながら、それを検索してヒットさせて見ているのは私自身であって。つまりは自業自得。立派な被害妄想である。

難しいことをいうと、確率に対する解釈は、その確率が正確か否かに関わらず、各々の主観に任されているのでこれが良い数字なのか悪い数字と思うのかは、その人次第である。

…ということを、一応頭では理解しているつもりなのに、結局私は確率に惑わされ、感情的になり、一々落ち込んでいる。

ネットに落ちている確率は、私のような不妊で悩んでいる人々を安心させるために(あなた1人ではないですよ、仲間がいますよという風に)書いてあるのかもしれないが…。

その優しさを素直に受け取れないひねくれている私がいる。

検索魔になると、ろくなことがない。もっともっとひねくれて、果ては悪魔になる。現に、もう悪魔かもしれない。

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最近、「子どもが欲しいとか気にしなくなったら、妊娠しました!」「コウノトリは幸せそうな夫婦のところにいつかやってきますよ、辛抱して待ちましょう(^o^)」「私も2人目不妊だったのですが、妊娠しました!」という言葉がめちゃめちゃウザく思えてきた。これは自分が悪魔に堕ちたが故か?そのくせ、「そんなこと気にしたら妊娠できないよ!」「考えすぎだよー!」と言われると、余計にムカついてしまう。

ただ、「そんな悪魔のところには赤ちゃんはやってこないゾ?」と、私の中の天使(笑)とやらが囁いてくる。検索魔から足を洗って、…みすぼらしい私の心を豊かにして、優しい気持ちだけでコウノトリを待てたら…。

検索断ちをしたら、すべて上手くいくのか。私は一体何処に頼って不妊の悲しみと不安と焦りを和らげていけばいいのか。

こうやっているうちに、また別の悪魔に取り憑かれそうな気がする。

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