感動の北海道 北根室ランチウェイ
ロングトレイル?
2015年公開の映画『わたしに会うまでの1600キロ』を観てロングトレイルという言葉に初めて出会いました。早速検索してみると『日本ロングトレイル協会』というサイトに国内各地のトレイルコースが紹介されているではありませんか。へぇ~・・中でも気になったのが北海道東部を歩く75kmほどの『北根室ランチウェイ』。詳しく調べていたところ、何気なくつけたテレビでそのコースを取り上げたドキュメンタリーが放送されていました。欲しい情報が目の前に現れた時はすぐに食いつくべし!2017年、旅の準備が整いました。
1日目 北海道の夜は早いのです
札幌の街は空間が広くてどっしりとした印象。すすきのでニッカウヰスキーの看板を見てテンション上がりましたが、時計を見てびっくり!すっかり夜なのにまだ6時です。遠くに来たもんだ~・・という実感がわきました。
アニメキャラ的なキラキラした女の子が看板に描かれた『博多居酒屋』というのがあって福岡市民としては足早に通り過ぎるしかありません。
2日目 雨の中標津空港から出発
トレイルコースの起点は中標津町の交通センターですが、飛行機でやって来たのでそのまま空港から歩き始めます。機内から摩周湖が見えて着陸までの5分ほどを4日かけて歩くと思うとなんだか複雑な気持ちに。緊張感と高揚感・・これはもしかして武者震い?
雨に躊躇してしばらく空港内でぐずぐずしていましたが、やむ気配もないので雨具を着てのっそりと歩き旅スタート。『開陽台展望台』を目指します。
3日目 牧場を通り抜けて
『ランチウェイ』という名前の通り、ここから本格的に酪農地帯を歩きます。開陽台から木道を下ると早速牛たちが出迎えてくれました。この日の目的地は養老牛温泉。景色も地名も牛だらけ!
4日目 リュックが重いよ
この日の宿泊は西別岳の麓にある無人の山小屋。電気、水道がないので2Lの水をリュックに詰め込みました。午前中は起伏があり変化に富んだコースで楽しく歩けましたが、湿原を抜けると同じ景色が延々と続きます。昨日は「わぁ〜きれい!」と思った柏の林もスルーして水で重くなったリュックを何度も放り出して休みながら、なんとか小屋にたどり着きました。きつかった!
5日目 快晴の摩周湖
いよいよゴールのJR釧網本線『美留和駅』に向けて出発です。途中コースからちょっとだけ外れて摩周岳に寄りました。霧の摩周湖・・と言いますがこの日は晴天!山頂で一緒になった方々からは「運がいいねえ~」とのお言葉。観光客で賑わう摩周第一展望台を経て無事、美留和駅にゴールしました!
6日目 釧路湿原で骨休め
釧路湿原には魅力的な散策路もありますが、歩くのはひと休み・・ゆったりとカヌーに乗ってみることにしました。カヌーツアーのガイドでもある『とうろの宿』のご主人とカナディアンカヌーに乗り込み、岸を離れました。
エンジン音もなく静かに川面をすべって行く感じが心地よい!湿原の自然や歴史、おすすめの北海道土産など、会話も楽しい大満足の時間でした。(教えていただいた『柳月』のバームクーヘン、見た目がまるでカボチャなハロウィンバージョンを買って帰ったら大好評!)
7日目 旅のシメはタンチョウ推しの釧路で鶴公園
ついに最終日。飛行機の出発まで微妙に時間があるので色々調べていたら空港の近くに『鶴公園』なる場所があるのを発見。
帰りの飛行機を検索した時、羽田で乗り継ぎの時間が30分ほどしかない便で心配でしたが航空会社の予約サイトだからなんとかなるんだろうと思い予約。羽田に着いたとたん「福岡へお越しのお客様~!」と呼び集められた数名は、猛スピードで進んでいくスタッフの後を必死に追いかけました。なるほど、なんとかなった。
初めての北海道は
小学校の卒業文集の将来の夢に「北海道に住むこと」と書くほど憧れた北海道なのに行ったことありませんでした。旅行会社のパンフレットに載っている北海道はなんか違う気がしていたんです。なので『北根室ランチウェイ』のことを見つけた時「これだ!」と思い、実際に行ってみて「やっぱりこれだよ、これ!!」と嬉しくなりました。泣けてくるほど美しい風景、見たかった北海道がそこにあり、これ以上の旅はもうないかも・・と思ってしまうほど最高の、感動の旅でした。
ありがとう・・
この旅を振り返るため久しぶりに『北根室ランチウェイ』のHPを見ようとしたところ「閉鎖」の文字が目に飛び込んできました。2011年に全線開通したルートを整備するメンバーの高齢化などを理由に、2020年に閉鎖されたそうです。残念ではありますが、全線とても歩きやすく手入れされた道でしたから維持していくのは大変なご苦労があったと思います。ただ、ただ、感謝あるのみです。