ここに登場する「私」は、まぎれもなく、私自身です。
2003年の秋、自身のwebサイトに元の文章を掲載していました。それを加筆訂正したものです。
ひとつだけ。
この文章を読む前に。
これはあくまでも、1人の女の子の物語。
この子の行動をあなたがどう受け止めるかは、あなた次第。
***
『私がほしいのは、同情じゃない。
私がほしいのは、前に進む勇気。』
中学1年の私の通信簿、2・3学期は、数字が記入されていない。
そのかわりに「評定不可能」という文字が並んでいる。
理由は「不登校」。
1学期に遭った「いじめ」によるものだった。
それまでごく自然に仲良くしていた友達も離れていき。
それでも接してくれようとした子もいたけれど、他の子がそれを故意に遮って、私は孤立した。
朝起きて、普通なら学校へ行く時間になっても、ベッドから出ず。
食事を摂っても、気分が悪くなって吐いてしまう。
無気力に、ただ時間を過ごす…そういう日々が続いた。
両親や祖母も、最初のうちは働きかけてくれたけれど、あまりにも無反応な私に対処のしようがなくなって。
この頃、父と母、母と祖母の間にも不和があったし。
みんな、自分のことで手一杯だった。
精神科に通ったこともあったなあ。
ほとんど効き目なかったように思うけど、私にとっては。
先生から、行事にだけは出てみないか、と言われて。
行事なら雰囲気違うかもしれない、と出てみるものの。
体育祭では、練習に参加してないから演技とかできないし。
競技とかもする気にならない…独り、ポツンと取り残される。
キャンプに参加した時は、テントに入る時、隣に手招きしてくれた子がいて。
だけど、他の子がそれを遮る。
結局孤立。
気分が悪くなった、って先生に言って、車で家まで直行。
まったく、何のために行ったんだかね。
その頃は、先生に対しても不信感いっぱいだった。
それでも、3学期の終わり頃には、なんとか学校へ出てたっけな。
極度の貧血と闘いながら。
保健室に何度お世話になったことか。
あの頃の私にとって、保健室は拠りどころだった。
校医のM先生が温かく迎えて(って言ったらおかしいけれど)くれたし。
あと、3年生に、家が隣の幼なじみがいて。
放課後はその人やその人の友達と過ごすことのほうが多かった。
そういうのがまた、目についたってのもあるのかもね。
何かと攻撃の的になってたっけ。
"このままじゃいけない"
進級しても、これまでどおりだと、ますますドツボにはまる。
ちょうどクラス替えあるし、変われるなら今しかない。
そう考えた、春休み。
***
心機一転、歩きだそうとした新学年。
クラス替え、のはずなのに。
いじめの主格の男子と同じクラス。
担任の先生も一緒。故意にそういう編成にしたのかは、今もわからない。
それでも私は、今までのようにはなりたくなくて。
1年の時に、懲りずに親しくしようとしてくれた子も、同じクラスで。
もうひとり、気軽に話してきてくれた子がいて。
少しの間、3人で過ごしてた。
ある日、ひとりでずっと過ごしてる子に気づいて。
「友達にならない?」って手紙を渡したっけ。
その子の友達(クラス違ったけど)とも仲良くなって。
本当に楽しく過ごせるようになった。
ただ、いじめは相変わらずあって。
私だけじゃなく、私の友達に対しても。
けれど、流せるようになっていた。
どんなことを言われても、楽しい時間を失うことだけはしたくなかった。
私自身が変わることができていたんだろうな、あの時は。
3年になってからは、ほとんど普通に過ごしていた。
いじめが完全に消えることは、なかったけれど。
今ならその相手とも、笑って話せると思う。
実際、もうすぐ高校卒業という時に。
自動車教習所で相手のひとり(女子)と会った時、普通に話したし。
それと、2年になってからは、担任の先生もすごく動いてくださっていた。
私をいじめていた男子に、直接謝らせる場を作ってくれたり。
(主格の男子じゃなかったけど(笑))
何かと気に掛けてくださった。
今でも、その先生から年賀状が届く。
添えられた一言を見るたびに、思い出す。
でもそれを不快に思うことはなくなった。
母親から、最近になって、この頃のことを謝られた。
「何もできなかった、ごめん」と。
母も苦しかったんだ。
そんな母に罵倒を浴びせたこともあった私は、逆に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
私が、身を持って知ったこと。
「転機」って、待ってるだけじゃ来ないんだ、ってこと。
自分から動かないとだめなんだ、ってこと。
だけど。
動けないのに、ムリに動こうとすると。
必ずどこかで、何かが狂う。
動くには、それなりのバックアップや、自分のこころの整理も必要。
これは、持論。
一概には言えない。
かつての私と同じ境遇に立たされている人たちへ。
前に進むことを、恐れないでほしい。
ただし、自分に負担がかかりすぎないように。
そして。
あなたのまわりには、必ず。
あなたのことを見てくれている人がいるってこと。
これだけは、絶対に忘れないで。
これから、幾度か訪れるであろう転機。
私にも、あなたにも。
良い方向に向かえるものであれば、見逃したくないね。
***
冒頭でも書いたように。
この文章をどう受け止めるかは、あなた次第。
家から出るのが怖い。
学校に行くのが辛い。
気持ちは、すごくわかるから。
何か、見つけてみよう。
自分が楽しくなるようなこと。
それは、学校だけにあるわけじゃない。
なんでもいいんだよ。
どんなちっちゃなことでも。
お菓子を作ること。
詩を書くこと。
絵を描くこと。
マンガを読むこと。
インターネットをすること。
歌をうたうこと。
楽器を演奏すること。
他にも何かあるはず。
自分が、心から楽しめることを見つけよう。
決して、無理だけはしないで。
ゆっくり、ゆっくり、焦らずに。
かつての私の母と同じように、悩んでおられる親御さんへ。
お子さんが掴もうとしている「転機」を見つける手助けをしてあげてください。
ただし、無理にこじあけようとせずに。
押しつけたりせずに。
同じペースで歩むこと。
それが、「転機」に近づく一番の方法だと思うのです。
自然な笑顔を、もっともっと、見ることが出来ますように。
サポートしてくださるとしっぽ振って大喜びします。 ありがとうございます!