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素敵なシニアとの夏の夕暮れのほんのひととき

昨日の美術館の帰り。

最寄り駅からもっと近いバス停までバスに乗ろうかと思ったが、ただでさえ運動不足なので歩くことにした。

夕暮れの風はすっかり秋の気配で、日中の暑さは落ち着いていた。

歩く時はバス通りではなく、もっと距離が短い住宅街を通る。

バス通りを渡り、その中の通りに入り少ししたら、たま〜にお見かけするシニアの女性が歩いていらした。(たまになので、多分同じ人だとは思うが自信はない。)

いつも小さなカートを支えにゆっくり歩かれている。

ただ昨日は、カートの他に小さなバック、トートバッグ、そして白と黄色の菊の花を持っていらした。

だ、大丈夫かしら?

心配になり、かなり迷った末に、

『重くないですか。お持ちしましょうか。』と声をかけた。

『大丈夫ですよ。このカートが杖代わりなの。』

やっぱり。

『こちらのバッグ重くないですか?』

『大丈夫、軽いのよ。ありがとう。』

それならば問題ない。
見たところ80代で、ご自身で歩けるのは素晴らしいことだ。
そして、自分でできるという気持ちも。
だから無用なお節介はひっこめた。

そのまま、歩こうとしたがなんだか会話が続いた。

話していると、その方が『私、大分出身でね。』といきなり出身の話になった。

私が先週大分に旅して、とても素敵なところだと言うと、それはそれは嬉しそうに、

『そうでしょう。そうでしょう。嬉しいわ。』とニコニコ。
そこからご家族の話をされる。

そして今日は私は何をしたのか聞かれたので、美術館に行った話をしたら、
『あら、私若い頃美大に行きたかったの。でもあの頃は、若い女性が美大に行ってもね・・・なんて周りに反対されてね・・・。』
と美術の話になり、

芹沢銈介の展覧会に行ったことを話すとちゃんと芹沢銈介のこともご存知で、

『こんな美術の話ができるって、嬉しいわ。』とまたニコニコしてくださる。

『次男が沖縄にいて、ひ孫も生まれたし沖縄に行きたいのだけれど、なかなかねえ。』とおっしゃるので、

買った絵葉書の中に沖縄モチーフがあったことを思い出した。

上段真ん中の黄色の葉書と、隣のオレンジの葉書を出して、

どちらかお好きなほうを差し上げたいと言ったら喜ばれて、悩まれたので、『黄色が沖縄の笠団扇モチーフです。』とお伝えしたら、それなら黄色にすると選ばれた。

本当は2枚とも差し上げたかったが、この芹沢銈介の絵葉書は出したい人が4人いたので2枚になると私もちょっと困るから。
不足の1人へは酒井抱一のか、先週九州で買ったハガキに変えることにする。

話すうちに、1番下のお子さんが私の1つ上で、その同級生にS子ちゃんがいる。
S子ちゃんにはT子ちゃんという妹がいて共通の知り合いが分かった。

ちなみに私はS子ちゃんとT子ちゃん姉妹の間の年齢。
この姉妹とはブラスバンドが同じだった。

他にも共通の知り合いがいて、話すうちに分かれ道に来た。
大きな通りではないものの、後ろから車が来るので避けたり、Sさんの歩みは当然ゆっくりなので、時間がかかり、そのおかげ?でいろんな話ができたのだ。

Sさんは、別れ際、『九州や美術の話ができてほんとうに嬉しかったわ。なかなかこういうお話ができる人が最近少ないの。』と言ってくださった。

素敵なシニアと書いたのは、装いもきちんとされていたのだ。

近所のスーパーに行くのに、パールのネックレスをつけて、素敵な帽子を被り、薄化粧もされていた。

以前、爽やかなシニアというnoteを書いた。


その時も思ったのだが、私の母以上の世代は(それより若いシニアはあまり交流がないから分からないが)、きちんとしている。
もちろん個人差があって、一括りにはできない。

ただ私は、その一部の人かもしれないけれど、親世代のそのきちんと感がとても好きなのだ。

だから昨日のひとときはとても素敵な時間になった。

そういう素敵なシニアに出会う度に私もそうありたいと思う。

Sさんは可愛らしいのに、
『母からね、”美人じゃないなら心を美しくね”と言われたけれど、それもまた難しいことよね。』
なんて言っていた。

確かに心を一点の曇りもなく透き通るように美しく保つのは易しくはない。

それでも、そうありたいと思いながら過ごすことは大切だ。

Sさんと別れてから、そんなことを思いながら夏の夕暮れ時を自宅に向かって歩いた。

(おまけ)
その後自宅の数軒前で幼馴染のCAちゃんが庭にいてその後お母様(退院された!よかった!)も出ていらして、立ち話をしていたら、最寄り駅から帰るのに1時間近く経過していた💦

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