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白黒の世界 携帯小説3
第三話 告白
(全12話)
登場人物
森 龍牙(もり りゅうが):物語の主人公
木原 京(きはら けい):龍牙の親友
鳥海 紅音(とりうみ あかね):新入社員
鈴川 将太(すずかわ しょうた):スタッフ
気持ちだけが空回りしていた
相手を思いやることよりも
自分が何かをしたい
そのエゴイスティックは時に人を傷つける
「店長話したいことってなんですか?」
「明日の夜さ仕事の事で面談しようかなって、ほら悩み事ないかなぁと思って、夜ご飯いつもんとこいこうよ!」
「いいですよ!ハンバーグ食べたいです」
「ほんと好きだなぁ、毎日食って飽きないのか?」
「あそこのハンバーグは学生の頃から好きなんですよ」
「じゃあ明日なおやすみ」
「おやすみなさい」
やりとりだけを見るともはや恋人気分だった。
営業後
「さぁー飯食いに行こう!」
仕事終わりの開放感はなんとも言えない
幸せを感じる
でも今日は大切な日。
退社することを伝える日
そして自分の想いを伝える日
適度な緊張感と共に歩いた
「なぁ、お店はどうだ?やっていけそうか?」
「はい!店長が店長でよかったと思います。私体弱いから休みがちになってまうし、変に怒られるのも嫌やから、優しい店長でよかったです、親に話したときも良かったなって言ってくれました。」
「そうか!よかった。もしさ、俺が異動とかなったらどうする?」
「いやや、私はこの店でないとやっていけへんそんな話あがってるんですか?」
「いや、もしもの話だよ!異動はないから安心して!異動は。。。」
「よかったです!」
その後俺から話しかけることはなかった。
彼女は席につくなりいつものハンバーグを注文した。俺はこの何気ない新生活が日常に変わりつつあるのを感じていた
それもあと数ヶ月。。。
「そういえばさ、今更なんだけど紅音ちゃんって彼氏いないの?毎日俺といて怒られないの?」
「彼氏とはつい最近別れました。なんかめんどくさくなってしまって、疲れて帰ってるのに電話とかできなくて」
彼氏がいるとは聞いていたので、
チャンスだと思った
「今日は言わなきゃいけないことがある
俺が見てあげられるのも
実はあとちょっとなんだ。
7月末で俺は退社する
言わなきゃって思ってはいたけど、
ギリギリに言って悲しませたくなくて
残りの期間、できる限り
やれることやってあげたいなと思ってる
正直今年の新人にはあまり関わらないで
いこうと思ったんだけど。
なんだか情が入ってしまって
だから1日1日仕事一緒にできる日を大切にしたい」
「まじですか?なんでなんですか?」
沈黙が続いた
「店長おらんとなんもできないです。店長。。。あんまりです。別れが早過ぎます。ほんまに悲しすぎます。もう決まったことなんですか?」
「俺も最近ずっと考えていて、でも夢を諦めることはしたくなくて、自分の店を持って店舗展開をするのが夢なんだ!だから、ここではあと少し、、、でも紅音ちゃんのことが頭から離れなくてさ。」
「私のことが頭から離れないんですか?それは普通にありがたいです」
「あぁ、紅音ちゃんのことが好きだ。付き合ってほしい。」
「!!??えっ、そういうことですか???」
「迷惑、、、かな?」
「迷惑ではないですが、、、」
「どっちにしても、あと数ヶ月だから、退社するまでに答えが欲しい。確かに歳の差があるのはわかってる。でも幸せにしたいって思ってる。」
「店長、言ってくれてありがとうございます。すぐに返事はできないですが、ほんまにありがとうございます。話してくれて。」
そこに笑顔はなかった。
「残された時間を悔いのないように明日から過ごします。」
ハンバーグは冷え切っていた。
ナイフとフォークは心を切り、
心を刺したのかもしれない
言葉は時に残酷だ。
今までの幸せな時間は
前向きなことであれ、
変化には、すれ違いを生む
この先、龍牙は自分と闘うことになることを
まだ知らない
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数日後親友の京から電話があった。
「おい、森大丈夫か?」
「なにが?」
「噂が流れてきたんだけどさ、おまえんとこの新人辞めたいって言ってるぞ。」
「はっ?」
俺が辞めるっていったからかな。。。
「いやいや。は!じゃねぇよ。森に言い寄られて困ってるって他の店長に相談したみたいだぞ」
「え?。。。」
続く
次回予告
会社に呼び出される龍牙。自分と向き合って自分の愚かさと向き合う。人を愛することは人を傷つけることになるのか。紅音の真意は? 正しいのは愛なのか、夢なのか。
次回 迷惑
https://note.mu/blancetnoir/n/nf19e9ec47333
見逃し配信中
1話 【希望】
https://note.mu/blancetnoir/n/ncda230a65bf7
2話【焦心】
https://note.mu/blancetnoir/n/n076055351c34
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