黒執事 3巻 【ネタバレありマンガ感想文】 契約の上の玉座
★★★★★
Amazonでレビューしたものです
1.今までのお話
黒執事とは、枢やな(とぼそやな)先生による漫画で、2006年から長期に連載中です。現在漫画は34巻まで刊行されています。
何度もアニメ化され先日寄宿学校編のアニメが終了し、2025年に続編の放送が発表されました。
19世紀末のイギリス・ヴィクトリア朝。
シエル・ファントムハイヴという12歳にして伯爵の少年と、彼に使える完璧な執事のセバスチャン・ミカエリス。
万能執事セバスチャンの正体は、悪魔であり、シエルに従う代わりに、願いが叶ったら彼の魂を奪う契約を結んでいます。
そして、シエルは、「女王の番犬」という英国裏社会を統括するファントムハイヴ家が代々になう役割も継いでいました。
今回の女王から指令は、ロンドンで起こる猟奇殺人=切り裂きジャックの調査。
スラム街に住み客をとっていた娼婦を殺害し、子宮を取り出し持ち去る連続殺人事件。
マダム・レッドことアンジェリーナ・ダレスと、中国貿易会社英国支店長・劉の協力を得て、容疑者・ドルイット子爵のパーティーに侵入したシエル。裏オークションで売られそうになりながら、警察に突き出しました。
しかし、その後も殺人は起こってしまいました。
切り裂きジャックの正体は、なんと、一緒に調査したマダム・レッドとその執事のグレル・サトクリフであり、グレルの正体は死神でした。
2.地に燃えるリコリスの色
何でも切れる死神の鎌を操るグレルに、さすがのセバスチャンも苦戦します。
一方、シエルに何故と問いかけられたマダム・レッドは、シエルを殺そうとしますが、殺せません。
「やっぱりダメ・・・」と。
しかし、そんな彼女を死神が殺してしまいます。
死神の鎌が写す走馬灯。
アンジェリーナの愛と嫉妬と憎しみ。
愛おしいあの人、大事な姉、そして夫と子供。
全てを失って全てを手にしたのに捨てようとする女を前に、明るい彼女の寂しい人生が裏返る瞬間。
確かに、シエルにはわからないでしょうね。
リコリスとは、彼岸花の仲間だそうです。
燃えるような赤。
でも葬送の赤。
3.シエルの孤独な玉座
叔母を失い、死神を取り逃したシエル。
アン叔母さんを赤で彩り、さらに娼婦にも情けをかけます。
セバスチャンに言われて言い返し、迷わないと宣言し、セバスチャンに命じます。
悪魔はひざまづき、振りむく伯爵は、今にも泣きそうな顔です。
シエルは両親を殺され一人です。
今回、可愛がってくれた叔母も自分の手で追い詰め殺したようなものです。
口では後悔しない、迷わないと言いますが、その想いはいかほどのものか。
首輪に絞め殺されそうな伯爵が進む血塗られた道。
彼にに従うのは、契約と命令で結ばれたセバスチャンただ一人だけです。
誰も信じられず、信じない。
孤独な道を選び突き進むシエル。
そしてそれに従う執事は思います。
この後の日常会。
皆に思われ慕われている様子がホッとします。
もう一人の叔母様は強そうです。
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