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ジョジョの奇妙な冒険 第9部 ザ・ジョジョランズ 4 【ネタバレありマンガ感想文】 不条理な世界に降る涙

★★★★☆
Amazonでレビューしたものです

チャーミング・マンを仲間に引き入れたジョディオたちは、彼の弟が消息を絶ったハワイ島フアラライ山の土地を所有するインフラ整備会社・HOWLER社を次なる標的に据える。その資産総額500億ドル。命懸けの金儲けが、いま始まる!!


0.今までのあらすじ


オアフ島に住む15歳の少年、ジョディオ・ジョースターは、大富豪になることを夢見ており、そのヒントは目には見えないメカニズムにあると考えている。スタンド「ノーヴェンバー・レイン」を使い、兄のドラゴナと共に、薬の運び屋などの違法行為を”ボス”の下請けをしながら暮らしている。
ある日、ボスから600万ドルのダイヤの盗みを指示され、ハワイ島にパコとウサギの4人組で向かった。ダイヤの持ち主は、ハワイ島の別荘に来た日本の漫画家・岸辺露伴。彼のスタンドと交戦となり、さらにどうしても盗めないダイヤに苦戦するが、ダイヤの横にあった「溶岩」を持ち出して取引を強要し、別荘を脱出する。ジョディオは露伴から「溶岩」を託された。
4人は空港までの帰り道で、猫のスタンド使いに襲われ、スタンド能力で退ける。そして、フライトの待ち時間に、”「溶岩」が「カネ目のモノ」を引き寄せる”説の実験を始め、ドラコナとウサギは「溶岩」を持って高級時計店へ。待っているジョディオとパコに「溶岩」を狙ったスタンド使いが襲ってくる。皮膚を操作して風景と一体化できるスタンド使いのチャーミング・マン。彼は、溶岩チューブに吸い込まれた弟を取り戻すために「溶岩」を狙っており、ジョディオたちは彼を仲間にする。

1.わらしべ長者inハワイ


ボスのメリル・メイの元へ戻った4人は、チャーミング・マンを彼女に紹介し、「溶岩」について話をさせた。

彼の弟がいなくなった土地にはもっと多くの「溶岩」があると推測されるが、その土地は「HOWLER」という会社が所有しており、立ち入り禁止になっている。彼は「溶岩」と弟の「落ちた穴」が関係があると考え、「溶岩」と辿ろうと調べると、邪魔され妨害され、ついには容疑者にされてしまった、という。
「溶岩」は近づけたものを、再び引き寄せる性質を持っている・・・らしい。宝石でもお金でも時計でも。

「溶岩」がカネになる、というかカネの流れの「システム」になる、と判断したボスは、その土地を山ごと「溶岩」で手に入れる計画を立てる。土地の権利書に「溶岩」を近づけて土地の権利を得ることにし、「土地登記所」に5人を向かわせた。
中に入ったドラゴナ、ウサギ、チャーミング・マンは、紙の土地の権利書に溶岩を近づけることに成功したが、帰りに肺水腫や癌などの病気に急に見舞われる。
それは遠隔操作型のスタンド使いの攻撃だった。ドラゴナの中のスタンドを排除したのち、ウサギの中のスタンドを見つけるために、一行は病院へ向かう。

600万ドル=8億8000万のダイヤを盗む話から、500億ドル=7兆3000億の土地を手に入れる話にスケールアップしました。

今度の敵は「HOWLER」という会社。色々黒いらしいです。
そして、やってきた捜査官に、、、少女?
この子も結構なクズですなあ。

巻き添えで攻撃された登記所のお姉さんはもう死にそうです。
と思ったら、お父さんが議員で、署名をしてくれるようです。

徐々に動き出した土地。
対するHOWLERと、関係しているのかしていないのかスタンド使いの女の子。
どんどん高額になる金額に対し、今度のスタンドバトルはミクロの戦いになるようです。

体内の対決は恋人戦を思い出しましたね。
ノヴェンバーレインの雨は、伸びるんですかい、結構便利。

2.クズの主人公よりさらにクズの世界で

①不条理な世界で生きるための戦い

この巻の初めで、ジョディオとドラゴナの過去とスタンドの始まりが、触れられています。

前の巻の感想で、違法行為ばっかりやっているこのジョースター兄弟には、共感できないと書きました。

でもこれをみると、彼らの住んでいるところには法も規則も良心も正義もなく、欲と暴力と権力と金に蹂躙されるばかりの兄弟は、能力と契約と互いに縋って生きるしかなかったようです。母親はイマイチ機能していないようですし。

可哀想だなと思いますし、同情しました。

②理不尽ではなく不条理なのは

でも、理不尽とはよく言いますけど、不条理ってそんなに言いますかね?

この漫画では、理不尽から、不条理に言い換えられ、その後はずっと「不条理」です。

”「理不尽」
道理をつくさないこと。道理に合わないこと。また、そのさま。「—な要求」「—な扱い」。”
”「不条理」
筋道が通らないこと。道理に合わないこと。また、そのさま。「—な話」
実存主義用語人生に何の意義も見いだせない人間存在の絶望的状況。カミュの不条理の哲学によって知られる。”
goo辞書より

ジョディオが人生に意義を見出せていない、、ということでしょうか。

③不条理に漫画で対抗?


この漫画の舞台はハワイで、おそらく時代は現代のようです。iPadとか出てきます。

アメリカ・ハワイの学校や治安の実態がどんなものかわかりません。この漫画の通りかもしれませんし、実際はもっと酷いのかもしれません。

とはいえ、作者の荒木飛呂彦先生は日本に住む日本人なので、日本の現状が反映されていると考えるのが普通でしょう。

日本の学校については私は子供はいないのでよくわかりません。ネットを見たり、子供がいる人や関係者やの話を聞く限りでは、私の子供の頃よりだいぶ行きたくない感じのようです。
私が子供の頃は学級崩壊なんてなかったし、先生はしっかり怒ってくれましたが、今は問題ある子供にちょっというと親がクレーマーで、あたらず触らずだったりすると聞いてます。

ジョディオは、自分の現状に対し、疑問を持っています。
そして、自分や他の人の不条理に敏感に反応しています。

彼は、筋道の道理の通らない社会に、なんとか自分を通そうをしているのでしょうか。

その前に、社会がきちんとした方向に変わってくれるといいんですけどね。


著者:荒木飛呂彦 (著)
ASIN ‏ : ‎ B0D5CNH9P6
出版社 ‏ : ‎ 集英社 (2024/8/19)
発売日 ‏ : ‎ 2024/8/19
言語 ‏ : ‎ 日本語
ファイルサイズ ‏ : ‎ 135279 KB

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