久路喜之

半病人。 著書:『改憲後の社会と国家のために』 https://www.amazon.co.jp/dp/B081LX2MH7

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最近の記事

【覚書】自然数の弁証法

はじめに  本稿では、ヘーゲルの『小論理学』を模倣して、(0を含む)自然数を(もっとも単純な)二進法により説明してみる。学知的な意義は乏しいであろうが、読み物としてはそれなりに面白いかもしれない。 存在:1 数を語るためには、まず数が存在しなくてはならない。その「存在」を表す数は、存在の一体性により「1」である。 無:0 存在は、再帰的に存在が存在していることを示す。そして、ここから、何物も存在していないという事態が可能性として立ち現れてくる。存在の欠如とは、すなわ

    • ナショナリズム批判

      はじめに  本稿は『ナショナリズムを解毒する「これからの愛国心」』(仮題)の前半部として構想されたものである。同書は目下のところ後半部が頓挫しており、執筆継続の目処が立たないため、一旦これまでに書き進めてきた部分をnoteに掲載するかたちで公表することにした。 今後、全体を脱稿できた場合には、本稿に加筆・訂正を施すかもしれず、また本稿自体を削除する可能性もあるが、諒とされたい。 第一章 原初的構図  第1節 社会と国家   市民社会と民主国家  まず、社会(societ

      • 統制経済としてのスガノミクスと国民の課題

        安倍晋三が退陣し、菅義偉を首班とする新政権が誕生した。秋田魁新報電子版(2020年9月15日)によれば、そのスタンスは「携帯電話料金の引き下げに強い意欲を示す一方、中小企業や地方銀行の再編を促して地域活性化を目指す」ものであるとのことである(太字は筆者)。こうした「スガノミクス」が、いわゆる統制経済と似通っていることに本稿の閲覧者はお気付きであろうか。   統制経済とは何か。百科事典マイペディアの解説では、  国家が一定の目的を実現するため資本主義的自由経済に直接的・組織

        • #9条改正と天皇制廃止はセットだろ

          【要旨】 ・自民党改憲プランの本丸は第9条である。 ・ポツダム宣言の受諾により日本は軍国主義との訣別を国際社会に約束した。 ・天皇制を廃止しないのなら9条は改正すべきではない。 改憲を目論む安倍晋三の野望は首相辞任とともに潰えた。だが、自主憲法の制定を党是とする自民党が与党である限り、反動の芽はこれからも改憲の機会を窺い続けるだろう。 なかでも、戦争放棄を謳った第9条は、自民党にとって常に憲法改正の本丸であった。例えば、野党時代にまとめた憲法改正草案では、第2章を「戦争の