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宝箱、来たる

突然、看護師さんが言った。
「なにか、届いてますよ」
そこそこの大きさの箱を持っている。
Amazonが来たらAmazon来てるよ、というしユニクロ届いたらユニクロがという看護師さんが「なにか」という。
なんだろう、と思って受け取ったら遠方に住む友人からの見舞いの品だった。
そういえばしばらく前に、「飲食は制限なし」みたいなことを言って病院の私のところへ届ける方法を教えたのだった。
遠方の友人、というのは趣味でオタクをやっていると沢山出来る。
オタクでない知り合いに「どこそこの友達がね」と話をすると「なんでそんな遠いところに知り合いがいるのだ」と不思議がられるくらいだ。

そんなわけで、その遠方の友人が入院生活の慰めになるようにといろいろ送ってくれたのだ。
しかも、私が好きそうなものばかり。
こういうとき、入院している身としては個包装になっているものとか、あけてもジッパーで閉じられるものとか、あと院内のコンビニや通販ではなかなか手に入らないものがうれしい。
まさに、そんな詰め合わせだった。かゆいところに手が届くというやつだ。
リハビリをして部屋に帰ってくると、甘いものが食べたいなあと思ったりする。飲み物はまあコンビニまでいくかナースステーションでもらえるのだけど、日々の軽いおやつみたいなものはコンビニの棚の前ですごく悩む。
「ここでプリンとかシュークリーム食べたいけど、夕飯に響くかもなあ」とかである。あと、食べた包装や入れ物を捨てる場所問題。
これでも一応一ヶ月?いや三週間ばかり遠慮して暮らしていたのだ。
最初の一週間は毎日のようにAmazon届いてたけど(なにしろ手ぶらで入院してしまったので)

箱いっぱいの、ちょこちょこしたお菓子は宝箱のようだった。
こういう、ちょっとだけ食べたいというのを満たしてくれるのって癒されるしうれしい。
前に旅行に行った友達が、ほんと、小さな包みをたくさん詰めて送ってくれたことがあったのだけど、それもうれしかった。
箱に入った有名店の詰め合わせとかより、自分が見つけたおいしいものをお裾分けしてくれるようなのが好きなのかもしれない。
これ食べなよ、おいしいよ、と手渡されている気分になる。

おいしそうなティーバッグももらった。
これはちょっとどうしようかなと思って、ナースステーションで白湯とお茶はもらえるのだけどここは高齢の人の多い病棟なので、配られるお茶とか白湯はいわゆる「飲み頃」なのだ。
お茶を煎れるなら、もう少し熱湯がほしい。
巡回にきた看護師さんに聞いてみたら、どうやらナースステーションでもらえるらしい、三週間いて初めて聞いた。ティーバッグは水分を切って、普通に捨てていいらしい。三週間いて初めて聞いた。大事なことだから二度言ってみた。
遠慮しないでもっと早く聞けばよかった。
まあでも、この部屋窓際で暑いから昼間は冷たいものを飲んでいるんだけども。
朝一番とか夜寝る前はあたたかいものが飲みたいのよねえ。

病院って、こちらから聞かないとわからないことがいっぱいある、という日だった。

遠くの友人も心配してくれているのだなと思って、早くよくなろうととりあえず廊下を五分歩いてきた。

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katze
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