『ポリーナ、私を踊る』を見た。2(追記)
さっき書き出して、シャワーを浴びながら映像を思い出して考えていたら書きたいことが出て来たので追記。
さっきの私は何かを書きたかったはずが書けなかったように感じていた。
で、何が書きたかったのか。
殆ど内容には触れていない初見直後の感想はこっち。→『ポリーナ、私を踊る』を見た。
で、以下は内容に触れていきます。つまりネタバレです。
演技力やバレエやダンスの技術等々に関しては私はド素人で、良し悪しも上手い下手も欠片も分からないし判断が付かないのでわかりません。
私が好きだ、良いと思ってもそれが一般や読んだ人が「うまい」と判断されるかどうかは知りませんって意味です。ご了承ください。
まず『芸術』がよくわからない私がなぜ芸術的だと感じたのか。
主人公の女の子、ポリーナはあまりしゃべらないという印象を受けたこと。
目ぢからと言っていいのかわからないけど、彼女はただ良く見つめていたなと思ったこと。
脱ぐシーンが多いなと思ったこと。
脱ぐというか、脱ぎ捨てるというか、脱ぐと捨てるシーンが印象的だったなと。(肌色シーンが多いとかそういう意味ではなく)
総じてキャラクターがあまりしゃべらない感じがしました。ハリウッド映画(も別にそんなに見る方ではない)などを見ると登場人物が良くしゃべる印象が強いのでそう感じたのかもしれない。
家庭状況に関しても、雰囲気で察して行く部分が多くて、後になってから少しだけ触れられたりして、「ああね」と思ったり思わなかったりするという感じ。(伝われ)
言葉で伝えず映像で伝えるということに対して、芸術だなぁという印象を受けたんだと思いました。
裕福ではないらしいこと。
どうやらあまりいい家庭環境ではなさそうなこと。
主人公が踊りを好きなこと。
家族仲は決して悪くないこと。
お父さんは娘を愛していたこと。
が順番にわかっていく感じがしました。
あらすじは読んでいたので、最初のバレエを習う子供の頃のシーンの主人公は親の要望でバレエをしているだけでバレエが好きなわけではないのかな?と途中まで思っていました。
無理にやらされているのかと。
で、「脱ぐ」シーンが多いと言ったのですが、脳内で思い出すために再生していて、はっきりと印象に残っていたなぁと思ったのがその箇所だったので。
衣装室のようなところで主人公が恋人と戯れてそのまま…という場面。
恋人の上に跨って最後の一枚を脱ぐシーン。今思い出したけど、服は戯れながら脱いでいってましたね。
レッスンを失敗で終えた二人が更衣室のような場所で言い争うシーンでも、彼女は乱暴に服を脱ぎ捨てていました。
怪我をして荒れた主人公が部屋を荒らすシーン。
一緒に暮らしていた部屋を飛び出した主人公が街の中を彷徨いコインランドリーで夜を明かし、荷物を減らすシーンも「捨てる」に含んでいます。
それを思い出した後、そういえば母親が娘の荷物をぶちまけるシーンもあったなぁと思いました。
彼女は多く物を語らず、じっと自分の周りを見つめています。
そして、彼女は色んな場面で何かを選んでいっていたんだと感じました。
自分にとって一番大事なものを。
最初の衣装室の場面の直前に、主人公が家に帰ると家の中が激しく荒らされていて、そこに父親が娘を残して出ていくシーンがあります。映像を脳で整理していた時はこのシーンと衣装室の場面の順番が思い出せず確信が持てなかったのですが、確認してみて、やっぱりと思いました。
もしかしたら、父親に置いて行かれたことで彼女は彼女としての人生のようなものを選び始めたのではないかと。
選択肢の中から何かを選ぶということは捨てることと同じなのかもしれない。
家族の中の『娘』から一人の女性になること。
父親の望むボリジョイ(古典バレエ)ではなく、一歩離れ恋人とのフランスでのバレエへの選択した時。(父親の呪縛からの自由を求めた?)
選んだ恋人とのバレエを離れた時。
創作ダンスをしている新しい恋人に巡り合い、父親との死別を経て、振り付け師へのチャンスと向かい合う。
その時に何かを捨てていたような記憶はないのですけど、父親との再会と自分に持ち出されたチャンスでなのか、自暴自棄なのかな?単に忙しいだけ?と感じたシーンがありました。
バーでのバイトと帰宅して寝るだけの生活。
見かねた恋人は彼女を散歩に誘い、散歩をしながら二人は踊りだします。
一緒に踊りながら、彼女は恋人にも一緒に踊ることを求め、恋人もそれに応えてくれました。
荒れた生活の彼女を受け止めて、そんな彼を彼女は求めて、彼はそれも受け止めた。
「愛に飢えている?」「孤独を感じる?」と問われるシーンがフランスでありました。
家族からの愛情に飢え、初めての恋人との恋とダンスに失敗しながらも前に進むヒロイン。
最後に恋人と二人で踊るシーンと彼女が相棒であるそれぞれの恋人に「一緒に踊りたい」と告げていたことを思い出して、一人では踊れないのかと思ったけれど、『一緒に踊る』ことは彼女にとっての愛情の確認だったのかもしれないと今思った。
古典バレエはダンスの基本だというのを調べていて見たのと、古典バレエ・たらしいバレエを経た経験が活かした成長というのをインタビューで書かれていたので、父親がやらせてくれた古典バレエがあり、家族と踊ったダンスがあり、バレエの帰り道に故郷の家までの雪の中を踊りながら帰る彼女があったから、彼女が古典バレエではなくもっと自由な世界を求めたんじゃないかというのが分かり易かったように思います。
最後の映像イメージの中にトナカイが出て来たことに、何か宗教的な象徴かと調べたというレビューがありました。
そのレビューの最後に書かれていた「そう、レッスン帰りに雪原を駆け踊り戯れていた幼い頃の彼女も野生のトナカイのようだった。」という一文。
私は特に何も考えていなかったのですが、そのレビューを見て父親が死んだという報せを聞いて家に帰った彼女が新しい恋人とのチャンスに向かって走るシーンを思い出しました。故郷の雪の中から、次のステップに向かって走るポリーナなのかもしれない。
1/10 追記
再視聴。
そっか。リリアの「いない人を求める気持ち」「切ない気持ちよ。それを胸に秘めて踊って」という言葉が父親を失った後のラストシーンに繋がるのか。
よくわからないんですけど美味しいもの食べます!!