『モモ』ミヒャエル・エンデ Audible視聴感想
凄かった。
自分たちが日々やり過ごしながら足りないと嘆いている現代社会における『時間』という物をそのまま目の当たりに突き付けられたみたい。
本来であれば「在って然るべき」その時間が、物語を終えても自分に戻ってこないことを今嘆いている。
本当なら物語を「読むこと」で多分少なからず取り返せた時間も、私はAudibleという文明に頼り、耳で取り込みながら目と手は別のことに費やした。
そのことを勿体ないと思えないことが嘆かわしい。
読書体験として本を手に取り時間を作ってこれをきちんと読み終えるだけの時間を、私自身がきちんと取ろうとしたかというと、首を傾げるからだ。
寝る前に布団に入ってから聴くことを主にしながら、それでも聴き終えるのに三日以上かかったと思う。
今日に至っては、朝起きてから今さっきまでずっと内職作業の傍らイヤホンで視聴し続けて、聴き終えたので、本で読むとなるときっともっと時間がかかっただろう。
聴き終えて、物語の人々が取り戻した時間とそのことへの喜びに思わず涙しながら、自分の時間、周りの時間は今もずっと灰色の煙になっているのだろう。
いっそ私も、奪い、吸う側の人間になりたいような気さえしてくる。
それでもまた、いつか、取り返せないとは知りながらもこの作品を、今度はきっとちゃんと文字で、惜しむほど足りない「時間」を使っても、読みたいと思っている。
本音を言えばもっと子どもの頃に出会いたかったとは思いながら。
ただ、本で読んでいたとすればAudibleで聴いたかどうかは定かではないし、文字で読めなかったことを悔やみつつもこの作品を耳で聴けたことも、とても良かったことだと思う。
高山みなみさんの声で語られる物語は本当に素晴らしかったから。
よくわからないんですけど美味しいもの食べます!!