- 運営しているクリエイター
#ホラー小説
【SS】真夜中のドライブⅱ
今日もまた、彼は深夜に車を出す。
起きていた私に、「行くだろ?」と無言で愛車のキーを上げて見せた。
眠っていれば、彼は一人で行ったのだろうか。
そんなことを考えながら、窓を流れる夜の街の景色を眺める。
隣の彼は終始ご機嫌に見えた。
あてもなく街を彷徨うように車は走る。
住宅街を中心に走っているから、視界を照らすのは外灯と私達の乗った車の明かりだけ。
寝静まった家々の閉ざされた窓。
真夜中のドライブ【SS】
ドライブに行こう。
そう誘われるまま彼の助手席に座り、目的もなく走り出す車。
交差していくヘッドライト、前を走る車のテールライトと、街灯。
民家やマンションの明かりが、視界を照らす総てで、全部がぼんやりとして見える。
やがて車は住宅街を抜け、山道へと差し掛かる。
緩やかな坂道と、カーブ。
灯りは減り、前後にも、対向車もない。
カーステレオからはラジオが流れている。
いつもは安心す