【⚠️ネタバレ有り⚠️】小説『夏へのトンネル、さよならの出口』読後感想
たった今、八目迷さんの小説『夏へのトンネル、さよならの出口』を読み終えてからちょうど30日ぐらいが経ったところですが、感想を書いています。あ、20分でした。
何から何までネタバレするので、上の文章を見て「こいつは何を言っているんだ?」となった人は引き返してください。著作権侵害で僕が訴えられてしまうかもしれない。今後読む気が少しもないと言うなら読んでも良いかもしれませんが、これを読んでいる時点で少しでも興味を持っている人だと思うので……
読んだことのある人、このノートに興味を持ってくれてありがとうございます。めちゃくちゃ自分語りするし、他作品と比べたりします。嫌な人はすぐ帰ってください。ありがとうございました。
まず、僕が作品に出会ったのは、この小説を映画化した作品の主題歌である『フィナーレ。』のカバー動画を、好きなVtuberの1人であるホロライブIDのVestia Zetaさんが投稿しているのを見たのがきっかけでした。
普段は歌みたを聴いても1度聴くだけだったりすることも多いのですが、僕はもともとこういうクソエモの夏曲が好きで、歌詞を聴いて「ウワ~、良‼️」となったので原曲を聴き、この作品に巡り会いました。
これを某名前の変わってしまったあのSNSで共有したところ、作品を知る知人に読むことをおすすめされたため、是非読みたいと思いました。普段自分から本を読み漁ったりする性格ではないので、こういう風に読みたいと思う本に出会う経験は嬉しく、大切にしたいものです。
本を開いて一言目が好きすぎた話をします夏は嫌い。嫌いですよ。さっきクソエモの夏が好きとか言った手前なんですが、本当に夏が嫌いなんです。ページ開いた瞬間、嬉しさというか共感というかそういうのが混ざった気持ちで、うっかり笑みを零してしまいました。
時間の流れ方の違いで年の差が変わってしまうの、個人的にめちゃくちゃ好きなんです。今、自分を満足させるためだけの俺得小説を書きたいと思って色々考えているのですが、その結末の1つの要素して「時間がどうのこうのなって年の差が変わる」というのを考えていた所だったので、非常に驚いたと共に、「す、好きすぎる……‼️」という感情を抱きました。
今まで読んできた好きな作品の中で、それこそ明確に、ウラシマ効果によって時間がズレていくのが1つの大きなテーマである『ほしのこえ』があります。皆さんご存知『君の名は』をはじめとする様々な大ヒットアニメ映画を手がけた新海誠さんの、デビュー作である2002年の短編アニメーション『ほしのこえ』が2016年に小説化されたものです。光速に近い速度で飛ぶ宇宙船によって、主人公とヒロインの間に時間のズレが生まれます。SF好きな人には是非読んで欲しいです。
少し方向性(文字通り)が違うものだと、七月隆文さんの『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』も読んだことがあります。タイトルからもなんとなくわかるように、これまた2人の間に時間の違いがある作品となっています。
有名な作品ばかりしか読んでいなくて少し申し訳ないと思います。他にこういう作品があったら是非教えて欲しいです。読む可能性が少し上がります。
こういう作品の好きなポイントとして、ハピエンを迎えるためにはどちらかが必ず、長い年月を、その人そのものを感じることができないまま、一途な想いを抱えて生きていかなければならないところがあります。1つ質問をします。あなたが人を好きになるときはいつでしょうか?人を見たり、聴いたり、その人そのものを感じられる時です。例えば世界にはあなたが全く見ることも知ることもないまま終わる人がたくさんいます。そういう人を好きになることはできません。人は人に触れて、人を好きになります。人が残した何かしらの物でも、その人を好きになることがあるかもしれません。人と出会えば出会うだけ、物に触れれば触れるだけ、そういう試行回数を増やせば増やすだけ、誰かを好きになる可能性は上がります。長い年月の間に色々なことに触れて、誰か別の人を好きになったり、誰かと深く関わってみたり、そういうこともあるかもしれません。それでも、心の何処かに引っかかって取れない想いを抱えながら、歪な一途と共に生きた先に、ハッピーエンドが待っていたり、逃れられない別れが待っていたりします。
この作品においては、待つのは花城でした。花城は塔野が戻ってくるのかもわからないまま、塔野の言葉に縋ることを決め、自分の夢を叶えます。ずっと塔野のことしか考えていません。ガチの一途です。好感度爆上がりです。花城ォ……(クソデカ感情)
漫画家という人との出会いの少ない職であるのも筋が通っていて良いと思いました。こういうとこ気にしながら読んじゃうのなんか申し訳ないと思いつつ、「納得できる、違和感のない設定」がなされていると、読んだ後にモヤモヤせずに嬉しくなります。
たった今思い出したので小説の話でもないことを書くんですけど、『色づく世界の明日から』の葵も、独り身だったのかは分からないけど瞳美のことをずっと考えていたのかなぁ……
また、この作品の1つのテーマとして、「普通でいること」と「特別になること」の対比がありました。自分はどちらかというと「特別になること」に執着している部分があって、花城の考えには共感できました。でも、塔野の家庭環境とかを見た上で「普通で良い」と言うのを見ると、彼はそもそも普通を持ち合わせておらず、特別を求める余裕のある状態ではないのかも、と思いました。自分が特別を求めることが出来るのは、いつでも普通になれるという、幸せな前提がある上でのことなんだなと思わされました。塔野、ガチで幸せになってくれ……塔野……あんな家庭環境にいて、それでいてあんないい子になってるの、偉すぎて惚れます。
ここらへんから細々したカスみたいな感想の寄せ集めになるかもです。
花城が可愛いという話をしようと思って2行くらい書いて消しました。話の中で全部塔野が言ってたわ。でも可愛いよね、本当に。
トンネルで花城が最後に取り戻した無くしたものは、塔野だったのな。
早いうちから塔野が何年分もの時間をトンネル内で過ごす覚悟を決めていると思われる描写があって、そこで「え?お前マジ……?」ってなると同時にドキドキした緊迫感を感じさせられました。花城のことを可愛いと言い倒したのも、最後だからと、そういう気持ちで言ったんだなと思うと、しんどくなります。
「最近は父の帰りが遅い」とか、そういうちょっとした部分で何かを想起させるような部分が多くて、そこは良いなと感じました。
あと、あれです。お互い好きだとか言ってない両想いがいちばん良いというのは太古の昔から言われております。最後までそういうのなかったし、(花城は言おうとしたり、ちゃっかり「私のどこに惹かれたのか気になる」とかいうようなことを言っちゃってますが、)作者のこだわりだったりするんでしょうかねぇ。思わせぶりなところとかめちゃくちゃ生きますよね。お前らくっつけ!手繋げ!って思うところでちゃんとイチャイチャしてくれるので非常に気持ち良く読めました。僕もそんな恋愛をしてみたいものです。無理です。
あまり本を読まないので、触れた作品全部に特大クソデカ感情を抱いてしまうのは僕の悪いところですが、本当に読んで良かったなと思います。
味気ないね でもそれがね ふたりの幸せ