#2.10　パパ活編：リアル「FIGARO japon」：綸句（りんく）ちゃん①

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◎物語の説明とあらすじ
妻とはセックスレス、ここ数年は婚外恋愛の出会いもない40男、浦野けいすけ。2児のパパ。風俗以外でセックスできない「性の砂漠」に苦しむなか、昨今の自粛ストレスが加わり、「今までしたことのない経験がしたい」と、パパ活に手を染める。そんなアラフォー男の性と愛のサバイバル物語。
浦野は、初体験の「パパ活アプリ」で最初に会った杏奈さんの闇に衝撃を受けていた。しかし、次にそれを吹き飛ばす出会いが ── 。

◆新手のいたずら？

僕は、一昨日会った杏奈さんの闇に、打ちのめされていた。
アプリの検索結果に現れた美女たちに高揚していた自分が、バカみたいに思えた。
現実なんてしょせん、そんなものである。パパ活も、普通の援助交際とかわらない。キラキラした出会いなど、どこにもないのだ。

今日は水曜日。杏奈さんの次に「いいね！」した、モード系のファッションとメイクが特徴的な、綸句（りんく）さんとの約束の日である。美容系の仕事をしている22歳で、モデルの副業をしているという。

「あの写真から数段落ちるとして、どんな感じだろう」

写真では、彼女は橋本愛に似ていた。昔の『桐島、部活やめるってよ』の頃の彼女ではなく、最近のモード系ファッションの彼女にそっくりだ。

「ま、まさか、ハリセンボンの箕輪はるかさん、じゃないだろうな……。はるかさん、橋本愛に見えるときがあるって言われてるし……。いや、さすがに、それはないか。美容系でモデルって書いてあるし。でも、美容系といっても、化粧品の訪問販売とかだろうな……。モデルって言っても、投稿写真が一度載っただけとか？　それとも、ネットとかかも……」

僕はすっかり、やさぐれていた。
でもまあ、女性に会うというのは、楽しいものである。
「全然期待しない」という予防線をはって、僕は19：30に新宿三丁目に向かった。

そう、また新宿三丁目。しかも、お店はまた371Bar（サンナナイチバル）である。 だって、顔合わせに、ちょうどいいんだもん。

時間が過ぎたが、新宿三丁目駅のC3出口に彼女は来ない。階段の上にいるかと思って上がってみたが、それらしき人はいない。また、下に戻って彼女にメッセージを送った。 

「大丈夫ですか？　分かりました？　階段の下にいますよ」
「え？　私ももう到着していますが、けいすけさんどこにいるの？」
「えええ！？　それらしい人、いないですけど。綸句さん、どこにいます？」
「え？　ええ？汗」

なんのミステリーだ？　もしかして、新宿御苑前駅と勘違いしているとかじゃないだろうな……。あ、それか、新手のいたずらとか！！　まさか、どこかで撮影されていたりして！ 

◆再びの絶句

しかし、すぐに彼女から、メッセージが来た。

「あー、ごめんなさい。私、出口を出ちゃってて、階段の上にいました。降りますね」 

「よかった！　いや、僕が行きますよ！（だって、降りてきたら、また2人で上がるのしんどいし）」

階段を上がると、彼女の黄色いスカートが見えた。彼女は、黄色いスカートに、黒のニットというビビットな服装だった。この５分くらいの間に、すでに階段を何度か往復していた僕の息は上がっていた。

「あ、あの、、、けいすけです、、、」

ようやく会えた。彼女も「ごめんなさーい」などと言っている。
ようやく階段を上がり切り、暗さにも目が慣れ、顔を見ることができた。

………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………（@_@）!!!

「か、かわいい……。写真よりかわいい……。橋本愛だ。少なくとも同じくらいのレベルだ……。まるで、女性ファッション雑誌、フィガロ・ジャパンに出てくるモデルさんみたい！」

息が上がっているだけでなく、さまざまな要因が重なって、汗が一気に噴き出した。

「すみません～、『下』って何度もおっしゃってましたね。新宿駅から歩いてきちゃったんですよ。階段上らせてごめんなさい、息、大丈夫ですか？」

こんな美女との出会いなのに、なぜこのくらいで息が上がる！！
収まれ、呼吸！！　ひけ、汗！！
僕は、猫だましにあった力士のように、最初のつまずきで上手をとられ、体勢もややよくないところスタートとなった。