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その1.日ノ原巡先生『神様のウロコ』

エリンジュームは金属質の色味ながら花の感触はは丸くてサラサラ。鱗のウロコに初めて触れた智宏を思い出しいけました

花材:
・鱗が智宏に贈った水の花…カーネーション
・水神のぐっぱっ手(鉤爪)…モンステラ(ドライ・着色)
・燐のウロコ...エリンジューム
花器:陶器

ストーリー
亡き祖母と暮らした故郷に帰ってきた作家・智宏(ちひろ)。
駅前で花嫁を待っているという男性・鱗(りん)と出会うが、どうやら智宏がその嫁のようで……。
美しい田舎町を舞台に、運命の嫁を探す水神・鱗とスランプに苦しむ作家・智宏が、幼なじみの姉弟やその子ども(姉の方の)に支えられ、時に稲荷神や狐たちに翻ろうされながらも、信頼関係を深めていく。

第1巻の表紙

作品の裏っ側:

ボツいけばなです。
名脇役のお狐たちを黄色のフォックスフェイスに見立てましたが、主人公カップルよりインパクト大になりボツ!
確かに、作中でも強烈で愛すべきフォックスなんだけど。

鱗の手も、お狐たちもいい感じだと思いきや、テーマ「神様のウロコ」がかすんでしまい...

勝手に作品愛を語る:

人生初の胸キュン作品なんです。

神と人との交流は、不思議と世界各地の神話にあって、語り継がれる神は絶対であり、強引で、奔放だったりします。
なのに、なぜか人はその神を憎むことができずに惹きつけられてしまう。

日ノ原先生が描く本作において、神は絶対ではなく、完璧に描かれてもいません。人々から薄れゆく神話の世界を生きる水神・鱗は、押しの強さはあっても、人の子を信じたくて、智宏の気持ちが変わることを願い、かいがいしく身辺の世話をしています。

稲荷神やお狐たちも、神族らしく勝手に振る舞っていても、みな名脇役。
愛すべき存在です。
住む世界や生きた軌跡が異なるからこそ、衝突もある。
発言や行動に驚き、ブチ切れ、でも励まされる。
互いが生きてきた軌跡も愛おしくなって、出会いが必然となります。

神も人も喜怒哀楽の感情を吐露していて、光も闇も見せられるのだけど、なぜかどこまでも爽やか。

この作家さんの作品は、すべて好きですが、共通するのは、人に知られたくない過去も感情もかっこ悪さも、あらわになった瞬間、ガスが抜けるように消えていく。

大人だもの、それでも不幸の澱は残っていますが、作者や登場人物たちとともに、清と濁の気持ちをあわせ飲む。

すると、読み手の方が、カップルに愛着を持ってしまうんですね。
読後は炭酸水を飲んだ後のようなまんがです。
物語は、まんがは魂の旅なんだと思ったりする。

あ、喋りすぎです。
言葉よりも、いけた花で魅力を語らせないと!
次回もあたたかく見守ってください。

2024年10月20日

#BLいけばな #まんがいけばな #日ノ原巡 先生 #神様のウロコ

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