物語以前05 欠如を埋める
物語、キャラクター、舞台における過去、バックグラウンドのありかたについていろいろなお話をしましたが、さて、では、「未来」とは何かについて、最後に考えてみたいと思います。
物語とは「現在」から「未来」へ移動するものであるという点に関しては繰り返し書いた通りです。「現在」から「未来」への移動をどのように考えていくかという点において、
・「現在」持っていないものを「未来」手に入れる
・「現在」欠けているところを「未来」埋める
・「現在」持っているものを「未来」失う
といったかたちを意識することによって、「この現在は、どんな物語に続く可能性があるか」について考えることができます。
現在というワンシーンには、なにが足りていて、なにが欠けているでしょうか。それは失われるべきものでしょうか、それとも埋められるべきものでしょうか。それを手に入れることによってあるいは失うことによって、現在はどのように変質するでしょうか。
物語を経ることによって変化する何かのために、まず、物語やキャラクターや舞台に
・現在に「欠けているもの」は何か
・現在から「欠けてほしくないもの」はなにか
のどちらかあるいは両方を考え、その上で、
・それを埋める(奪う)方法
・それが埋まる(奪われる)ことによって、何が起こるか
を考えてみましょう。それがつまり、「現在」に対する「未来」のかたちであり、物語以前の「現在」から、物語が始まるところです。
「欠如」とは、「これまでできなかったこと(過去)」「今できないこと(現在)」「これからもできないであろうこと(未来)」、現在過去未来における「ない」ものです。
用意した現在と過去における、「ある」ものと「ない」ものを整理し、「ない」ものを埋めるためにはどうしたらいいのか、なにをもって埋まったと考えることが出来るのか、考えてみましょう。
そこから物語は生まれます。
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