物語以前01-3 ストーリー
前項までで、物語の基本的な構造について話しました。
・物語とは「現在」から「移動」することである
・「現在」という「日常」は「非日常」によって「移動」する
・「非日常」はキャラクター(ないし任意の何か)の変身あるいは別の側面の強調のために用意される
さて、もう少し複雑な物語にチャレンジしてみましょう。
1、キャラクター、舞台、もともとあるもの、つまり「現在」「日常」の提示
2、出来事
3、それによって変化する(あるいは別側面を見せる)1
4、2→3を繰り返す、つまり、1の事件を受けての変化を繰り返す
5、繰り返すごとにより大きな非日常とより大きな変化が用意される
3まではこれまでと同じ、4はその反復です。
なぜ「より大きな非日常とより大きな変化」が求められるのでしょうか?
それは、2における「非日常」は、4の時点では既に「日常」つまり既知の情報になっているからです。そのため、4以降の非日常は、2よりも更に非日常性の高い非日常が求められます。前項でも述べたように、「変化」を伴わない非日常は「日常」と区別ができないものだからです。
また、非日常に非日常を重ねていくことにより、より「遠く」移動することができます。つまり、より複雑で、より情報量の多い、キャラクターの魅力を描くことが可能になります。
出来事、たとえば、消しゴムを拾ってくれたら親切だと思い、ほかの子には消しゴムを拾ってあげていないことに気づいてドキドキし、わざと消しゴムを落としてみて拾ってもらえなくてがっかりし……というふうに、重ねていくことで、より効率よく「遠く」を目指すことができます。より複雑な物語を目指すならば更に複数の出来事を関連させることになりますが、これは慣れたら試してみてください。
既に出た「非日常」の上に「非日常」を重ねていくことで、物語は無限に複雑に無限に広がっていくことが可能です。そうなると今度は「終わり方」がわからなくなりますが、これに関してはまたのちに述べます。
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