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『神学大全』トマス・アクィナス

トマス・アクィナスの『神学大全』("Summa Theologica")は、中世キリスト教哲学における最も重要な著作の一つです。この膨大な作品は、キリスト教の教義を体系的に説明し、哲学的、神学的問題を包括的に扱っています。

『神学大全』は、三部に分かれており、それぞれが異なる主題を扱っています。第一部は神の存在と本質に関するもので、神の一性、三位一体、創造などについて探究しています。第二部は人間の道徳的行為に焦点を当て、徳、罪、法、恩寵などについて論じています。第三部はキリストと救済の秘跡に関するもので、キリストの生涯、教会の秘跡、最後の審判などを扱っています。

アクィナスは、アリストテレスの哲学とキリスト教の教義を統合する試みを行い、理性と信仰の調和を図りました。彼は、自然な理性によっても神の真理の一部を理解できると主張し、信仰と理性は矛盾しないと考えました。

『神学大全』は、キリスト教神学、特にカトリック教会の教義形成において大きな影響を持ち、中世スコラ哲学の頂点を示す作品とされています。アクィナスのこの著作は、神学、哲学、倫理学などの分野において深い洞察を提供し、後世の多くの学者や思想家に影響を与えました。

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