ノルウェーの神経科病棟で実習したときの話~【痛み】の世界へどんどん引き込まれていく私~
学生時代神経科の脊髄損傷病棟で実習をしたことがある。
担当した患者は外傷によるCRPS(複合性局所疼痛症候群)を発症した。すぐに脊髄手術を受けられたので、下肢の麻痺等はなんとか成らずにすんだが、見てみると右手の肘から手首にかけて真っ赤だ。腫れもすごいし何より痛みがひどいとのこと。
おまけに循環系の疾患ももっていて他の病院も行き来している。
文献もなかなか見つからないし、バイザーからも「難しい症例ではあるけど、とにかく基礎を大切にしてやってみよう」とアドバイスをされる。
検査と評価を得て、レッドコード(ノルウェー生まれのサスペンションエクササイズ)で患部にアプローチ。でも、心のなかでは「これでよくなるのかな。。治してあげられる気がしない。。とりあえずやってみるしかない」という不安定な気持ちでいっぱい。
理学療法した次の日、なんということか、患者さんは痛みが驚くほど減ったと喜んでくれた。まだ腫れや赤みはあったものの、無事自宅に退院していった。
もちろん嬉しかったが、それよりも「一体彼の身体の中で何が起こったのか」がより気になった。
なぜ痛みが消えたのか?レッドコードで神経系を刺激したから?ハンズオンだったから?
分からない。
分からないから、私はまたどんどんと痛みと脳の世界へ惹き込まれていくことになった。