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【北欧における移民への認知症ケア】実際の現場

こんにちは!前回の記事では、北欧諸国が出している【移民への認知症ケア】のハンドブックの内容を紹介させていただきました。

北欧における移民への認知症ケア:文化と言語の壁を越える取り組み

今回は普段ノルウェーオスロの回復期リハで働く私が自身の経験から見る、個人的な印象と感想をご紹介させていただきます。


実際のとこはどうなのか?

私の職場は医療スタッフも良い感じに色々な国籍が混ざり合っているので、基本的に移民背景の患者さんへの対応は皆割とすんなりと理解し行動に移すという感じです。ただシステム面では改善の余地ありな部分がとても多いです。

以下、前回紹介した具体的対策の項目ごとに、私個人の感想を述べていきます。

1.文化的背景や宗教的価値観を尊重したケア:

具体策:患者の食事、服装、宗教行事に配慮し、安心して生活できる環境を整える。

イスラム教の方がいる場合は、例えば着替えや入浴・トイレ介助の際、女性のみ、もしくは男性スタッフのみを希望する方がいればなるべく希望に添えるようにスタッフ配置をします。食事に関してもハラム(豚肉OKなのか)など事前にご本人もしくはご家族の方に聞いて、ジャーナルに記入していきます。犠牲祭のイスラム教の祝祭の時は、事前に教えていただければ、福祉用具の貸し出しなどで、日帰りで自宅に帰り家族とお祝いできるように環境を整える努力はします。

2.多言語対応スタッフの増員と質の高い通訳サービス:

具体策:母語でのコミュニケーションを可能にするため、適切な言語サポートを提供する。

こちらは運とタイミングです。≪たまたま≫その国の言葉を話せるスタッフがいれば、コミュニケーションをお願いする場合がよくあります。逆に言えば、システム化されていないということです。

基本的に、ノルウェー語が話せない方には英語で対応を試みます。ノルウェー語は話せなくても割と英語ならOKという方は多いです。しかし症状が進行した認知症患者さんだと、移民関係なく言葉でのコミュニケーションはとても難しくなることが多いです。その点ではどれだけ質の高い通訳サービスがあったとしても同じ壁にぶつかることが多いでしょう。

私はこれまで1度しか、正式な通訳を使って医療行為を受ける患者さんを診たことがありません。それは大学病院で働いている時に大きな手術をするソマリア出身の患者さんがいらっしゃったときです。

現状は、結局家族の方に通訳してもらうということが多いです。しかし問題点は≪家族が通訳する際のバイアス≫です。医療行為の情報が本当に正しく伝わっているのか、何か情報の訳が偏っていないか、それを確認することは難しいです。

3.デジタル翻訳ツールの活用:

具体策:デジタル翻訳ツールを利用する際は、正確性に注意しつつ補助的に活用する。

こちらはハッキリ言って、私の職場ではまだまだです。私自身、個人的に「こんにちは」とか「ありがとう」程度の簡単な単語をGOOGLE翻訳で検索して患者さんとコミュニケーションを図ろうとした経験はあります。

4.非言語的コミュニケーションの活用:

具体策:表情やジェスチャーなど、言葉以外のコミュニケーションを積極的に使い、意思疎通を図る。

どちらかというと、私たちはこちらを重視しています。「痛い」や「トイレ」「喉が渇いた」「疲れている」そのような日常生活やリハビリに欠かせない必要な情報は非言語コミュニケーションをフル活用することがほとんどです。

5.家族への継続的なサポート:

具体策:認知症に関する情報提供やケアの選択肢を説明し、家族との協力関係を築くことで、安心できるケア環境を提供する。

この点においても、非常に重視しています。むしろ認知症が進んでいる移民患者さんへのケア・リハビリとなると家族に頼らざるを得ない状況がほとんどです。事前事前の情報提供、自治体との連携、訪問リハの可能性・制限など、家族の方と常に話し合いながらプランを決めていきます。


と、まとめると実際の現場はこんなかんじかなぁと。改善の余地はまだまだありますし、やっぱりタイミングで医療の質が決まってしまう好ましくない場合がまだ存在します。

長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださりありがとうございます(^_^)/

それではまた!

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