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【北欧ノルウェーのリハビリテーション改革】~フレイル高齢者の救われた命のバトンをつなぐ~

リハビリテーションの改革を!

2021年6月に、ノルウェーのリハビリテーションの分野における多くの医療従事者・専門家・団体・機関が「ノルウェーにはリハビリテーション改革が必要だ」という文書に共同で作成しました。この文書では、今後ますます多くの患者がリハビリテーションを必要とすることが確認されており、優先されるべき患者群の中にフレイル度の高い高齢者(以下、フレイル高齢者)が含まれています(Sunnaas sykehus HF, 2021, p.4)。

救った命のバトンをつないでその命を“生かし続ける”リハビリテーション

上記の書面に、理学療法士として回復期リハ施設で働く自分自身に心に刻まれた言葉が記されています。

 「救われた命は、生き続けるべきだ。」
(原文:“Et reddet liv skal også leves.” 
英語訳:"A saved life must also be lived.")
(Sunnaas sykehus HF, 2021, p.8)  

病や事故に遭い、現代の高レベルな医療によって救われた人の“いのち”は、ただ単に存在させるのではなく、必要であればその命に新しく生きる意味や目的を吹き込み、病気や患部のみに治療をするのではなく、救われた人の人生そのものをサポート再認識を促す言葉だと私自身は解釈しています。

医療の向上により、より多くの命が救うことが出来るようになった現代

私たちは長寿命化し、ますます多くの高齢者が社会で元気で活発な生活を送っており、怪我や事故に遭うことが増えています。20年前救えなかった命が今は救えることができる社会になりました。多くの高齢者は、がん、脳卒中、心肺疾患などの重篤な病気の後でも、自宅に戻り活発な生活を送り続けたいと望んでいます。これらすべては、フレイル高齢者のためのリハビリテーションサービスの需要の増加を示しています。

高齢者xフレイルの増加とリハビリ強化の必要性

回復期リハビリ施設で働く私の仕事の日常は、慢性疾患、認知障害、病気や怪我後の機能低下など、複雑な状態を持つフレイル高齢者にリハビリテーションを提供することです。

例えば、大腿骨頸部骨折の患者が回復期リハビリに転院してきたとします。この方に対して、単に歩行トレーニングやADLトレーニングを行えばいいのでしょうか?  

答えはNO

大腿骨頸部骨折後のトレーニングだけが医療従事者が行うべきリハビリテーションではありません。なぜなら、これらの患者層は認知症(30%)、糖尿病(20%)、心不全(10%)、COPD(7%)、せん妄(50%)、虚弱(25%)、多剤併用(50%)などを併せ持っています(Grimsmo, 2018, p.103)。この現実は、より包括的なリハビリテーション過程の必要性を示しています。彼らは複雑な支援ニーズにより複数の機関から同時に支援を受ける必要があり、リハビリテーションプロセスは異なる医療および介護サービスの間での複数の移行を伴います(Sogstad & Bergland, 2011, p.11)。

包括的なリハビリテーションとは何なのか?

そもそもリハビリテーションとは実際には何を意味するのでしょうか?リハビリテーションは時間的に限定されるとよく言われますが、本当にそうなのでしょうか?次回の記事では、現在ノルウェーで「リハビリテーション」という用語がどのように定義されているか、歴史的な視点も交えて書いてみたいと思います。

ここまで読んでくださりありがとうございます!北欧リハビリに興味がある方、北欧の理学療法に興味のある方は、お気軽にご連絡くださいね。世界のどこかの誰かのお役に立てると嬉しいです。


参考文献
Sunnaas sykehus HF. (2021). Norge trenger en rehabiliteringsreform.
Grimsmo, A. (2018). Antall kroniske sykdommer og persontilpasning bør ligge til grunn for prioriteringer i kommunale helse- og omsorgstjenester. Tidsskrift for omsorgsforskning.4(2) 102-106.
Sogstad, M. K. R. & Bergland, A. (2021). Sårbare sammenhenger i helse- og omsorgstjenesten til eldre pasienter. Tidsskrift for omsorgsforskning, 7(2), 9 – 28.


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