見出し画像

【日記】力技/2023年1月11日(水)

 転送されてきたデザインのチェックと同時に、文章校正。4箇所の修正を編集長に伝えると、その作業終了の連絡がしっかりと丁寧に夜中に来た。こちらからの連絡は案外ないがしろにされがち(そういう編集者が多い)だが、この1通がどれだけ大切なことか。かつては編集兼記者、今はフリーのボクシング記者で、立ち位置は逆側になったが、「相手を慮る行為」は、いずれにしても忘れてはいけないと思った。
 それにしても、こっちは生活面の意味で地獄だが、編集部は編集地獄状態。地獄×地獄=天国、とはならんものか、な。

 さらなる冷え込みは布団に潜っていてもわかった。それに空腹も重なって、7:30に起きてしまうという、きわめて健康的な朝を迎えた。
 9:00前、携帯電話が震える。「宮崎正博」の表示が浮かび上がる。昼夜逆転が代名詞の先輩だけに、何事かと心配になってすぐに応答するが、仕事の依頼と、最近国内外であったビッグマッチなどボクシングの話だったのでホッとする。
 故郷・山口に居を移したミヤちゃんは、相変わらず人恋しいらしい。「掴んだ獲物は逃さない」とばかり、日常の愚痴までも含め、2時間半も話した(話された)。もちろんタメになる話もあったけど。昨日は自分がリハビリを受けたが、今日はリハビリ介護士に徹した。

 NHK正月時代劇『いちげき』を観て以来、「尺」の問題について毎日憑りつかれたように考えさせられた。そこへ来ての日本テレビ『ブラッシュアップライフ』。こちらは連続ドラマだが、第1話にしてすでにたっぷりといろいろなものを表現していた。
 短くても伝えきれるはず。そこに至った。
 先の依頼原稿に戻るが、後から追加原稿を書いた。それもわずか10行。あるボクサーについて書いたのだが、普通に考えれば「尺」は短すぎる。けれど、言葉ひとつ使うのに思考を重ね、その選択によって「その裏にある想い」も込めた。そういう選択をいくつも積み重ねての10行。
 この想いや工夫は、きっと読み手は読んでも気づかない。でも、それでいいのだと思う。ただ、その“想い”だけは本人やその傍にいる人に伝わってほしいなとは思う。
 しかし、バカリズムの才能にはいつ触れても驚かされる。

 その勢いのまま、未見の『架空OL日記』第1話をhuluで視聴。バカリズムが容姿も声もあのままで、OL升野さんを演じる。大根仁の『湯けむりスナイパー』、『リバースエッジ 大川端探偵社』に比肩する力技。彼らのほとばしる才気は惚れ惚れする。
 例によってバカリズム脚本作品は、ナレーションの入れ方が本当に冴えている。

 木内昇さんのWEB連載小説『奇のくに風土記』第八話が、昨日アップされていた。木内さんもnoteを利用しているのだが、“つれづれ”更新で例によって告知なし。なので、隔月更新を知るこちらが、足繁く当該ページを訪れて見つけるというかたち。でも、本来はこのかたちがあるべき姿なんだと思う。必要とするものを、それぞれが熱心に追いかける。そんな自分みたいな人間を持つ人こそ強いのだ。
 そして、自分にも少人数でもそういう方がいる。本当に心強いことだ。


ボクシングの取材活動に使わせていただきます。ご協力、よろしくお願いいたします。