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12・19

 まださほど寒さが身に沁みなかった今月頭にはすでに両耳にできていたしもやけ(毎年寝ている最中にできるのだ)が、いよいよ膨らみも痒みも増してきた。もうしばらくするとひび割れを起こし出血する。客商売としてはふさわしくない見栄えになる。かといって絆創膏を貼ればもっと滑稽な形になる。結局、そのままほったらかしにして春の訪れを待つ。
「こんなんあったらなぁ」がほとんど開発されている現代のこと、きっと「寝ている間にできるしもやけ防止耳ガード」もあるんだろうけれど、そこに手を出す余裕はない。光熱費や電話料金、動画配信サービス費用、毎日の食費でただでさえ汲々としている上、定期的に注ぐ書籍購入費、これが極めて重要なのだ。

 16日に発売となった木内昇さんの『雪夢往来』(新潮社)は、小説新潮の2020年10月号から2022年1月号まで連載されていた『雪草紙 雲の脚』の改題作。昨日、横浜であった武居由樹の防衛戦延期(残念だがしかたない)発表会見に向かう電車内で読み始め、「やっぱり木内さんの作品の初読は、家でひっそりとに限るなぁ」と人間観察の癖もある自分を呪い、今日、仕事から帰宅後、ずっと読んでいた。
 仕事柄、読書するスピードはけっこう速いと思うのだけれども、木内さんの著作に関しては遅読。毎度、「早く読みたいけど、読み終えたくないなぁ」という妙な思いに囚われることもあるのかもしれない。79ページに「暁」という文字が出てきてドキリ。もちろん全然関係ない語法だけれども、「木内さんがオレの名前を書いて(打って?)くれたんだなぁ」なんて、変態チックな感慨に浸った。

 編集部から届いていた『ボクシング・ビート』最新号も、ゆっくりじっくり読む。毎回楽しみにしている「那須川天心の魅力」は、彼の独創的な思考と表現力の豊かさに今回も打たれた。同時に、これを引き出す聞き手(島篤史編集長でしょう)の能力にも毎度殴られる。

 井岡一翔のフェルナンド・マルティネスとの再戦に向かう想いも、専門誌ならではの著し方で身が引き締まった。マルティネスも井岡の強さを重々承知しており、その上で対戦を楽しみにしている様子。今度はどんな駆け引きが繰り広げられるのか、いっそう興味が湧いた。

『ボクシング・マガジン』でかつて連載していた「匠の扉」を早く再開したい。そのままのタイトルは使用できないので、「匠への扉」とでもして笑


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本間 暁[闘辞苑TOUJIEN]
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