横山秀夫にハマる
CS WOWOWプラスで一挙放送した『横山秀夫サスペンス』シリーズをすべてHDに録画して、晩御飯を食べながら1作観るのが日課となっている。
WOWOWのドラマW版「深追い」「引き継ぎ」「締め出し」「仕返し」(いずれも2011年)に始まり、「18番ホール」「誤報」「自伝」「他人の家」(いずれも2010年)。TBS『月曜ミステリー劇場』で放送された「沈黙のアリバイ」(2002年)「第三の時効」(2003年)「密室の抜け穴」(2003年)「ペルソナの微笑」(2004年)まできた。TBS版はあと2作。その他、チャンネル銀河やTBSチャンネルで再放送されているものも録りためている。
すっかり病みつきである。一時期の『刑事コロンボ』シリーズhulu観まくりと同じ勢いなのである。
「他人の家」の戸田菜穂がとっても美しい。伊東四朗の味ある演技は毎度のこと。「沈黙のアリバイ」では、渡辺謙&橋爪功の“梅安先生&彦さん“コンビが現代で復活していて泣けてくる。このシリーズにおける橋爪、そして段田安則の役どころは秀逸。もちろん彼らの名演も見逃せない。
スタッフのテロップを眺めていたら、「脚本:森岡利行」の文字を発見した。あの森岡栄治の甥で、栄治の息子・和則会長(森岡ジム)の従兄ということで、こんなひょんなところにもボクシング繋がりがあったので、さわさわした。
こうなるとやはり、文字を読みたくなるのが世の常、職業の性、職業病。いやいや、本当に職業に没頭している人ならば、映像より先に読んでるだろう。こんなところにも“似非”が滲み出てしまうのだな。
「横山秀夫」には、かつておふくろがハマっていたので、本棚を漁ってみると、やっぱりありました。『クライマーズ・ハイ』『震度0』『臨場』といった“定番”に加え、今回をきっかけに「読みたいなー」と思っていた『看守眼』も。
思い返せば、中山七里作品同様に、横山作品も映画やドラマはかなり観ているが、原作を全然読んでいないという不届き者。さっそく『看守眼』を読み始めたが、これが予想以上におもしろい。何より文章が美しく、切れ味が鋭すぎるのだ(なんて書くと、「その上から目線、なに?」なんて今時は言われるんだろうけど。オチオチ賞賛することすらできない世の中こそ何?)。と同時に、ドラマ版の脚本の優れたところにも気づくことができた。
『ボクシング・マガジン』編集部時代、6人の編集長と仕事をしてきたが、2人目の根本晃一さんが「編集者は小説を読まないとダメ。特におすすめは横山秀夫の『クライマーズ・ハイ』。あれは絶対に読むべきだ」と言っていたことを今でもはっきりと憶えている。映画もドラマも観ているので、すっかり読んだ気になっていたが、その後、若くして亡くなられた根本さんからいただいた“教訓”として、今度こそしっかり読もうと思う。
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