春嫌い

なんでこんなにも優しいのだろう
風は 桜の色は
なんでこんなにうれしくて悲しいのだろう
春の初めは 出会いは
いずれ それが終わると
わかっているからなのだろうか
そんなこと 今から考えなくてもいいのにね
今だけを みていればいいのにね
あの頃から 私は春が
嫌いだった
変化していく それぞれ違う
色に変わっていく そのことが
苦手だった
夜に桜をみにいったとき 感じた
桜の木々の荒々しさ
ほんとうは 優しくなんかないのかも
私は怯えて 家に引き返した
桜がぜんぶみている気がした
私のした 悪いことぜんぶ
怖かった そのことを紙に書いた
病院に閉じこめられたのも
桜が咲いていた頃だった
その頃に ようやく
桜のきれいさを受け止められた
ただ きれい それだけを
みてればよかったんだ

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