【詩】星が月を追いかけるように他
「星が月を追いかけるように」
朝目が覚めると カーテンの下が光る
晴れた日なら君に会えると 僕は安心するんだ
あれから夜の星を いくつもの星を
僕は覚えて そのどこかに君はいるのだと
信じて 信じて 祈りのように
もし君があの夜 僕に電話をしたのなら
苦しいと ひと言でも言ってくれたのなら
言葉を尽くして 君にここにいてほしいと
伝えただろう たとえ無力に終わったとしても
夜が終わるのが怖いんだ 君が見えなくなるのが
星が月を追いかけていたよ 家に帰ろうとしているように
夜が終わるのが怖いんだ 現実が待っているのが
君を失ったあの日から 僕の時間は止まったようだ
でも歩みを止めてはいけないんだ 痛みを抱えながらも
星が月を追いかけるように 僕らは一緒に目指していたのに
どうしてやめたんだ? 僕は君が憎いよ
今日が終わればまた 僕は夜空に君を探すだろう
信じて 信じて まるで祈りのように
星が月を追いかけるように どうか君が安らかな心に戻れるように
そして僕が 君が捨てた夢を 一緒に見た夢を
叶えていけるように
「見えない到着駅」
電車をひとつ見送ったんだ まだ目的地がわからなくて
何のためにホームに立っているのか それさえもわからなくて
神様がいるなら どうして僕の問いに黙っているのだろう
存在意義 生きる理由 希望となる目的を
どうして夜の虹や春の雪のまやかしさえ 見せてくれないのか
次の電車が来たとしても まだ目的地はわからないだろう
そこに君は乗っている? 何を目指しているの
若さを理由にして 大人たちも答えをはぐらかす
まるで僕がバカだから 迷っているのだと 揺れているのだと
僕は知っているんだ 本当は答えられない大人たちもまた
目的地など持っていないこと ただ電車に乗っているだけだと
揺られながら 気分で降りて そしてまたどこかへ旅に出かけるのだと
それが嫌なの? 君なら訊ねるだろう
嫌じゃない ただ、僕は旅が怖いんだ
意味が欲しいと 神様にねだっても 答えてくれないね
意味は僕にとっての価値であるのにさ
哲学者たちが あらゆる観念を否定しても 否定し尽くせないもの
まるで稲光のような 青白い光りのようなもの
僕はその光りを見て 電車に乗りたいだけなんだよ
ほら またレールを滑る電車の音がする
僕は時間を浪費するのをやめたいだけなんだよ
真実の光りを見て 進みたいだけなんだよ
〇
長い間寝かせておいた詩です。創作もnoteからも離れていましたが、また少し掲載したいと思いました。
ふじこ
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