「ご縁」
はじめまして、上林央佑です。
アメリカ、Silicon ValleyにあるDraper Universityという起業家育成の学校で行った3週間のインターンシップの経験と私が感じた「ご縁」についてお話しします。
自己紹介
立命館大学経営学部3年生(休学中)
立命館大学国際寮 副RM長 (2022年9月〜2024年2月)留学生100人と共同生活
自分のやりたいことをひたすらやる1年にしようと、2024年4月〜2025年3月まで大学を休学
京都の臈纈染工房、京都染元しょうび苑 アトツギ Sales・Textlile Director
Draper Universityについて
Draper Universityは、シリコンバレーに位置するスタートアップの起業家育成学校で、創業者は著名な投資家ティム・ドレイパーであり、短期集中プログラムを通じて実践的なビジネススキルやリーダーシップを学びます。カリキュラムには、講義、ワークショップ、実地研修、メンタリングセッションが含まれ、受講生は実際のビジネスシーンでの経験を積むことができます。今回私は、Hero Program Summer 2024というプログラムのオペレーションでのインターンシップでした。
Hero Programは、起業家精神とリーダーシップを育成する集中トレーニングプログラムです。参加者はシリコンバレーでの実地経験、メンタリングセッション、ワークショップを通じて実践的なビジネススキルを習得します。プログラムは5週間にわたり、スタートアップの創業や成長を支援するための実践的な知識とネットワーキングの機会を提供します。Hero Program Summer 2024では、37カ国、100人以上のプレシードからシリーズAの起業家が集まりました。
なぜSilicon Valleyに行ったのか?なぜ行けたのか?
今読んでくださっている皆様の頭の中にひとつ疑問があるのではないでしょうか?
「なぜ、どうやってSilicon ValleyのDraper Universityで3週間もインターンができたのか?」
実は、この質問は、アメリカに行っても「京都のおすすめの観光地は?」という質問の次に多く聞かれたものです。笑
「ご縁」というこのNoteのタイトル通り、Draper Universityで3週間インターンシップを受けることができたのは、人と人との繋がりが運んでくれたものです。話は、2024年の2月まで遡ります。京都府の商工会議所とJETROとKIEC(Kyoto International Entrepreneurs Community)によって開催されたイベントでお会いした方より5月に「Silicon Valleyでのインターンに興味がありますか?」と連絡をしていただいたことがきっかけです。もちろん私は、「興味があります」とすぐに返事をし、BizWorld Japan(BizWorld 日本代理店), IKIRU合同会社CEOの福田若菜さんをご紹介してくださりました。BizWorld Japanとは、小中高生向けにアントレプレナーシップ教育を提供する非営利団体です。アメリカのシリコンバレーで生まれたBizWorldプログラムを通じて、子供たちに起業家精神やビジネスの基礎を学ばせることを目指しています。批判的思考、コミュニケーション、コラボレーション、創造性の4つのスキルを重視し、子供たちが実際のビジネスを通じて社会課題の解決に取り組む力を育成しています。
そして、BizWorld Japan代表の福田さんより改めて、今回のプロジェクトについてお話しいただき、福田さん、Draper UniversityよりWaleed(Draper Universityスタッフ)と面接をしたのち、インターンシップへの参加が決定しました。こんなに物事が早く進むのかという速さと、Silicon Valleyに行くことへのワクワクをいまだに覚えています。
衝撃は、まだまだ続きます。
上記にある通り、私は、大学の国際寮で1年半ほど生活をしていました。アメリカ人とも住んだ経験がありますし、海外の文化には、慣れていると考えていました。しかも、アメリカには、一度行ったことがあるので、アメリカの文化には馴染みがあり、大きなカルチャーショックは経験することはないと思っていました。アメリカに行っても衣食住で特に大きなカルチャーショックはなく、ストレスなく生活することができました。(ハンバーガーを毎日食べていたのは、去年の話です笑)
しかし、アメリカで働くのが初めての私は、次々とパンチを喰らうことになります。そんなことを全く知らずに、1日目、2日目は、プログラム自体OFFだったので、参加者と仲良くなりながらハンバーガーを食べていました。
3日目には、朝から運営チームでのミーティングでした。言語には、不自由なくミーティングに参加することができましたが、プログラムやその他の初期設定に追われドタバタしていました。その日の朝にスタッフの方に言われたことがひとつめの衝撃です。
「集合の15分前にこい」私は、それは、国際寮に住んでいた時の経験から、もちろん人によるということが大前提ですが、時間にルーズという偏見がありました。10時集合の際は、集合時間には、数人しか現れず、結局10時30分に出発するというのが私たちの国際寮では、暗黙のルール的なものになっていました笑
私は、超体育会系の高校生活を過ごしていたので、15分前行動に何の違和感もありませんでしたが、国際寮の感覚と海外は時間にルーズという感覚が、私に少し違和感を与えたのかもしれません。ただ、「Waleedになぜ15分前に会議室に行くんだ?」という質問をした際に、彼の、そしてイノベーションの中心地であるシリコンバレーの感覚に再び衝撃を受けました。「常に100%を目指せ、自分自身に満足せず、もう一歩先を常に考えろ。私は、いまだに自分に満足したことはない。私は、もっと上にいけるんだ。」
私は、この言葉を3週間のインターンで、そして今でも頭に入れています。
この15分前にこいという言葉には、15分前に行くことが大切なのではなく、綺麗な環境をみんなに提供するために、そしてみんなより一足先に場所に行き、完璧な準備をし、会議にいい状態で行くという意味があったのです。ひとつの会議でも昨日の会議より良い成果を出すという彼の姿勢が、37カ国、100人以上の創業者をまとめあげることを可能にしていると感激を受けました。
世界の起業家との差を実感
私は、この時点で、世界の起業家との差を実感することとなります。
私は、常に伝統工芸品産業を盛りあげる、臈纈染を世界に広めるという明確な目標を元に行動しているつもりでしたが、明確な差は、意識の面でもありますが、本当に大きな差は、「行動」の範囲であるということが大きな気づきとなりました。
37カ国、100人以上の起業家が集まるこのプログラムでは、毎日ビジネスの話が、至る所で繰り広げられています。資金調達からビジネスをどうスケールさせるのか、100人以上の起業家がそれぞれの熱い思いを持ってシリコンバレーに集まります。私自身が熱意で負けていたとは、思っていません。しかし、その熱意や目標までの道のりをどのように走っているのかに私と世界で活躍する起業家の間に大きなギャップがあったのです。
衝撃の速さと規模
具体的な例は、プログラムの中での36時間でのハッカソンです。
私は、4人の起業家と同じグループになりました。考えたビジネスモデルは、ブロックチェーンを使用した医療データの統一により、各病院でのスムーズな診断と、事故時のスムーズな保険対処を促すというものです。詳細の説明はここでは少し置いておいて、私が感じた彼らの凄さについて、お伝えします。初めの8時間でアイデアとビジネスモデルは、もう出来上がりました。そして次の12時間でプロトタイプと実際にこのビジネスにお金を払ってくれる人がいるのかという確認をしました。ひとりの起業家がマネタイズのポイントである保険会社にメールを送信し、保険会社から興味がありますという連絡が返ってきたことをものにピッチの資料をまた修正しました。その後は、プロトタイプの修正とピッチ資料作成に時間を費やしました。ピッチの時間は、2分とデモの時間が1分です。ハッカソンとは、アイデアの出し合いであるという勝手な思い込みから、ハッカソンでプロトタイプの制作や需要の確認などをしている私たちのチームが優秀なチームではなく、スタンダードであるということが1番の驚きでした。「行動」の範囲というのが私と海外の起業家の中では、違う定義だったのかもしれません。
私の行動とは、単なるやっているふりだったのかもしれないとまでの衝撃を受けることとなりました。そして、恐るべきところは、結果(成功?または失敗)を見てすぐに次の行動へのスピード感です。彼らの恐ろしくはやいスピードとそのスピードを維持する熱意が起業家があたらしい世界や世界の課題を解決しているんだと感じました。
ここまで根性論的な話となりましたが、もう少し、根性論的な話にお付き合いください笑
もちろん評価を得たところもあります:)
私は、世界の起業家と私自身の差を感じ、もっと向上しなければという思いが強かったのですが、ここからは、私がここは通用したぞというところをお話しします。
私の自己紹介を読んでくださいましたか?
私は、京都染元しょうび苑という臈纈染工房のアトツギです。暖簾やテキスタイルを作っている京都の小さな工房です。臈纈染についてもっと知りたいという方は、ご連絡ください。1日中お話しできます。
私が世界の起業家と話していて、これは私の強みで、ここでは絶対に負けないというものがこの家業の臈纈染です。上記でも話した通り、私のミッションは、伝統工芸品産業を盛り上げること、臈纈染を世界に広めることです。
私は、3週間すべての日に臈纈染を使用したシャツを使用し、あった人には必ず相手のビジネス話を聞くことと臈纈染の説明と雑談をするということを決めていました。その際に話し合った起業家の皆さんの日本文化への興味関心、そして臈纈染への注目は、非常に高く、シャツを7着、ふカーフを10点持って行った私は、3着の服と1点のスカーフと共に帰ることとなりました。
彼らの伝統工芸品への注目度や歴史への関心は、非常に高く、海外にも発送してるの?どこで他の商品は買えるの?ここつなげるよ!と様々な国で絶対に売れるという確信が、起業家の皆様にはあったのかもしれません。これは、作り話でも話を盛っているわけでもなく本当の話です。そして、私は、海外での大型案件と共に日本に帰国することができました。(情報公開前なので詳細は秘密に)
全ては、人と人のつながりが運んだものです。そして、アメリカで繋がった人たちとのご縁はこの先も続き、新たな幸せを様々な形で運んでくれると信じています。
読んでくださった皆様、私のアメリカでの経験にお付き合いいただきありがとうございます。
今後の活動について
少しほっこりする話を短くまとめ、最後に私の今後の活動についてお話しし、このNoteは、終わりますので、もう少しだけお付き合いください。
アメリカから帰国し、約2週間が経ち、アメリカでの報告を祖父(京都染元しょうび苑 創業者)へと伝えました。内容は、上記にある通り、インターンでこんなことを経験しました。そして、今後は臈纈染を世界に広めるため頑張りますと。
約1時間ほど話したのですが、アメリカで学んだことと祖父がこの時に話したことがとても似ているような気がして、Noteにも書こうと思いました。
多分この日祖父が言ったことは、僕は何度も聞いていると思います。しかし、今回のインターンの後に聞く祖父の言葉は、21年間の人生で一番身に染みる言葉だったのです。
1時間の話を長々と書くと皆様に途中で飽きられてしまうので、5つの言葉をピックアップしています。話の最後には、「ええ経験やったな、感謝やな」と。
世界で活躍する起業家と3週間過ごして感じたことを祖父は、60年前に感じていたのでしょうか、「行動の質」という差を大きく感じた今回のインターンシップですが、祖父の行動力は、世界の起業家に劣ることはなく、50年以上も最前線を走っていた創業者だったことを改めて感じました。
そして今後の私の思いや活動についてお話しさせてください。
今回、様々な「ご縁」があり、Silicon Valleyで3週間インターンをさせていただきました。そして、現地でも様々な「ご縁」がありました。そして、世界の起業家と私の現状の差をいやというほど感じました。この差は、意識と足を前に出すことによって埋めることができ、走ることによって追い越すことができると考えています。同じ土俵に立った時、初めて経営者同士で話すことができます。このSilicon Valleyでの「ご縁」は、途絶えることなく、この先の私の人生にとっても大きななにかを運んでくれると信じています。(すでに意識の面では変化しているはずです)
伝統工芸品産業を盛り上げる、臈纈染を世界に広めるという私の目標は変わらず、世界で戦えるという確信をSilicon Valleyで得て、とりあえず自分なりにやってみます。
Silicon Valleyの話や、伝統工芸の話や祖父の話で、長くなりましたが、以上で私のアメリカでの経験と感じたことについてまとめさせていただきます。
読んでいただき、ありがとうございました。
皆様とも「ご縁」がありますように。
上林央佑
特定非営利活動法人BizWorld Japanでは、世界を目指す起業家志望の学生のサポートを実施しております。