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自己効力感を意識して目標を立てる

年初の目標設定を具体的に行うにあたり、特に意識している「自己効力感」について書いてみます。


SMARTの法則


目標設定と聞くと、よく知られている「SMARTの法則」を思い浮かべます。

SMARTの法則

  • Specific:行動を具体的に表す

  • Measurable:数値で表す

  • Achievable:達成可能な設定にする

  • Relevant:組織の役に立つ内容にする

  • Time-bound:期限を明確に設定する

20年近く前、当時の上司から目標管理制度に基づいて目標を設定する際、この法則を参考にするように言われ、初めて用語を知りました。当時は「なかなか良い考え方だ」と感心し、特に会社の目標管理では「目標が具体的である」ことの利点を感じました。

しかし、個人の、成果が評価されない目標では、「Achievable(達成可能)」が悩ましいと感じています。業務目標の場合、達成可能と思って設定しても、期末が近づくと焦って辻褄を合わせることがしばしばありました。達成できないと評価が下がるため、どうしても低めの目標を設定する傾向があったのです。

一方で、組織からの評価が関係しない場合には、より高い目標を設定し、それに向かって努力する姿勢が望ましいといえます。

自己効力感の重要性


ここで本題である「自己効力感」が登場します。

自己効力感とは、自分の目標を達成する能力に対する信念や自己評価を指します。この概念は20世紀の著名な心理学者、アルバート・バンデューラ(Albert Bandura)が提唱しました。

自己効力感の構成要素

  • 自信:自分が課題を遂行できるという確信

  • 影響力:自分の行動が結果に与える影響を信じること

自己効力感が高い人の特徴

  • 高い目標を設定しやすい

  • 逆境に対して粘り強い

  • 失敗してもすぐに立ち直りやすい

一方、自己効力感が低い人は、チャレンジを避けたり、困難に直面するとすぐに諦めたり、ネガティブな自己評価を繰り返す傾向があります。

自己効力感を高める手法

私たちは、今までの延長線上で達成可能な目標を設定し、それに向かって努力することが多いです。しかし、これでは自分にとって快適な「コンフォートゾーン」に留まり続けることになり、非連続で一段階上の成果に結びつく今までとは違う行動を思いつかず、必要性も感じません。

一方、延長線上では達成できない高い目標を設定すると、新しいやり方を模索する必要が出てきます。ただし、その目標を実現するためには「自分ならやればできる」と信じる力、すなわち自己効力感が不可欠です。

自己効力感を高めるための具体的な手法を以下に挙げます。

1. 小さな成功体験を積み重ねる
簡単で達成可能なタスクから始め、成功体験を積み重ねることが重要です。

  • 具体例:プロジェクトのタスクを細分化して完了を祝うなど、小さなことを通じて「できた!」という感覚を得ることで、自信を強化します。

2. 信頼できるサポートを受ける
安心して挑戦できる環境を整えることで、ハードルを下げられます。

  • 具体例:支援を必要とする分野に詳しい友人や同僚に相談する。

3. 他者の成功例を参考にする(モデリング)
他者の成功を見ることで、「自分にもできる」という自信が生まれます。

  • 具体例:成功事例の共有や、研修のワークショップなどを通じて、彼らにできるのだから自分にもできるはず、やってみると案外難しくないという感触を掴みます。


組織での取り組み

個人での取り組みだけでなく、組織として自己効力感を高めるための施策も重要です。以下に組織での具体策を示します。

1. 小さな成功体験を提供する

  • 誰であれ、タスクを細分化してみていくと、何かを達成しながら前進しているものです。現場の管理職などが、達成度を管理するのではなく、小さなことでも達成したことを認め、鼓舞する姿勢が必要です。

2. 評価では成長を促す機会として面談し、フィードバックをおこなう

  • 業務目標とは切り離して高い目標をもつよう促す。

  • 失敗は成長の糧であると

  • 1on1などの機会を通じて、努力やプロセスを評価し、本人の成長に対する自覚を促す。

3. 成功例の共有を促進する

  • 社内での成功事例(なければ社外でも)を組織内で共有し、自分と同様に特別なスキルをもたないひと(=ロールモデル)が成果を挙げた事実を認識し、自分もやればできる!と思えるように促す。

4. 学習と成長の機会を提供する

  • トレーニングプログラムやメンター制度を設ける。従業員が、「自分は気にかけてもらっている」「しっかり支援されている」と感じる必要があり、一部の優秀な層だけに光が当たるようでは組織全体の士気が盛り上がらないことには留意が必要。

自分自身について

自己効力感を高める取り組みは、雇われる働き方を卒業した私にとってが特に重要です。

高い目標にも違和感を抱かないメンタルを養っていきたいと思います。

まとめ

目標を設定する場合には、自己効力感:自分の目標を達成する能力に対する信念や自己評価をもって臨むと、大きな成果につながりやすい。

組織において、従業員の自己効力感が高まることは歓迎すべきだが、しっかりサポートする必要がある。



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