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脳のはたらきは若い頃にピークを迎えるわけではない
脳のピーク年齢についての新たな視点
企業のDXを支援することが多く、ITリテラシーの向上がテーマのひとつになります。特に伝統的な日本企業では、管理職の大半を占める中高年、概ね40歳や50歳を超えた層では、年齢を理由に「ITなど新しいことはなかなか学べない」と考えている人が少なくありません。ただし、最新の脳科学ではそうとも言えない現実が見えてきています。
私たちの多くは、脳のピーク年齢が20代や30代に訪れ、それ以降は下降線をたどると信じています。しかし、最近の研究や実例を見ると、必ずしもそうではないことが明らかになりつつあります。本記事では、年齢を重ねても知的生産性を発揮できる理由や、その可能性を最大限に引き出す方法について考えてみたいと思います。
脳の能力は年齢とともに変化する
確かに、記憶力や処理速度といった一部の認知能力は若い頃にピークを迎え、その後徐々に低下する傾向があります。しかし、脳の能力はこれだけではありません。年齢を重ねるにつれて向上する能力も存在します。
たとえば:
知恵と洞察力:豊富な経験に基づく判断力や問題解決能力。
感情制御:冷静に状況を分析し、感情的な反応を抑制する力。
結晶性知能:知識やスキル、言語能力など、経験によって積み上げられる知能。
こうした能力は、若い頃には得られないものであり、むしろ年齢を重ねることで磨かれるものです。
いくつかの大学が脳のピーク年齢に関する研究を行っています。
例えば、マサチューセッツ工科大学(MIT)の認知科学研究者であるジョシュア・ハーツホーン氏が率いる研究チームは、加齢に伴う知能の変化について調査しました。
彼らは10歳から90歳までの数千人を対象に、単語の暗記、顔の識別、名前の記憶、計算といった能力について調査し、年齢に関係なく、ほぼすべての年齢で常になんらかの能力のピークが来ることを発見しました。
また、ハーバード大学とBoston Attention and Learning Laboratoryの研究者らも、集中力に関する研究を行い、集中力は年齢とともに向上し、43歳前後にピークを迎えることを発見しました。
これらの研究は、脳の能力が一生を通じて異なる時期にピークを迎えることを示しており、年齢を重ねても新しい能力がピークに達することがあることを示しています。
出所:https://www.businessinsider.jp/post-100550
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脳のピーク年齢を以下の通りわかりやすく整理することができます。
脳のピーク年齢年齢
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結論
脳のピーク年齢についての固定観念は、見直されつつあります。年齢を重ねても、その特性を活かすことで知的生産性を発揮することは十分可能です。
むしろ、経験や知識が豊かになることで、若い頃には成し得なかった創造性や洞察力を発揮できる場面も増えるはずです。