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見過ごされる中高年男性の苦悩 「ガラスの地下室」の住人にケアを

※本記事は過去にビズリーチに掲載したもので、掲載当時の内容となります

50代のキャリアをより良くするためのシリーズ「輝く!50代キャリア創造委員会」。第2回は、株式会社日本総合研究所のスペシャリスト(研究員)で、2022年に「中高年男性の働き方の未来」という著書を出版された小島明子さんに「委員」としてお越しいただきました。「女性」や「若年層」に比べ、見過ごされがちな45歳以上の中高年男性が抱える「ガラスの地下室」問題とは。

小島 明子(こじま あきこ)
金融機関を経て、2001年に日本総合研究所入所。創発戦略センタースペシャリスト。「働き方」「ESG企業評価」を研究の専門分野とする。著書に「中高年男性の働き方の未来」(金融財政事情研究会)、「女性発の働き方改革で男性も変わる、企業も変わる」(経営書院)、「協同労働入門」(共著・経営書院)など。東京都出身。46歳。

「パワーを持つ」とされる男性の生きづらさ

委員会事務局(以下、事務局) 近著で「中高年男性の働き方」に焦点を当てたのはなぜですか。

小島委員 以前当社で、女性の働き方と上司となる男性管理職を主題にした調査を実施したのですが、女性よりも男性管理職についての調査結果のほうが、メディア等からの反響が大きかったことに驚きました。日本企業の管理職ポストの多くは男性で占められ、これは男女格差の一つの表れとして語られます。そうした男性が経済力や権威といった社会的「パワー」を持っていることは事実ですが、その半面、家庭で担っている経済的責任の大きさ、仕事のストレス、居場所のなさといった「生きづらさ」を抱えている方もいます。
こうした男性の生きづらさは、1993年に米国で発行された研究者ワレン・ファレル氏の著書では「ガラスの地下室」と表現されています。女性の出世・昇進が難しい実情を「ガラスの天井」と呼ぶように、男性の自殺率の高さや平均寿命の短さなどに着目し、表現したものです。詳細は割愛しますが、例えば「平均寿命は女性のほうが長い」ということはほぼ常識のように受け入れられていますが、米国でも日本でも1920年ごろはわずか1歳しか違いませんでした。この差がどんどん広がっているわけで、これが身体的な要因ではなく社会的要因から来るのではという論考ですね。

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