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目標設定面談、上司まかせになってない?(自分の記事を読んでみた)|びす


▽自分の記事から「学び」は得られるか

さまざまな方の転職体験談を取材し、転職やキャリアに関する記事を月10本ほど公開しています。どの記事も、読者の方に「何らかの学びを得てほしい」と思って書いています。

そこでふと思ったのが、記事から得られる「学び」って何だろう、ということです。自分は果たして、学びのある記事を出せているのか。これは読者の目を通して見なければ、分かりません。

それを確認するため、恥ずかしながら本稿で一度、自分自身の記事を読み直してみようと思います。

今回の題材は、先月のランキングでトップに立った滝田さん(仮名)の記事にします。9月下旬公開なので、1カ月半ほど前の原稿でした。

▽自分は正しい階段を上っているか?

タイトルにも取ったのですが、この方の転職活動のきっかけは目標設定面談でした。

考課の目標設定で、改めてキャリアを考える機会を持ちました。タスクは山積し、短期的な目標は明白に見えたものの、組織改編の事情もあって中長期的に「こう成長したい」というビジョンが社内で描けないことに気付きました。

読み返してみると、改めて大事なポイントだった気がします。

自分の目標設定を振り返ると、業務の多忙さにかまけて、そこまで深く仕事やキャリアについて振り返っていなかったかもしれません。

上長と「やりたいこと」「できること」を話し合い、どんな成果が出れば、どう評価されるかをすり合わせて…。それでおしまい。じゃあまた明日から頑張ります、よろしくね、という感じ。

それだけに、この記事の滝田さんの姿勢はちょっと新鮮でした。「目の前の仕事が、自分の望む将来につながっているか」という意識を、もっと大事にしないといけないなと思わされます。

日常業務や短期的な目標は、いわば階段のステップのようなもの。「問題を解決する」「成果を出す」という個々のステップも、確かに、それ自体が達成感や充実感をもたらしてくれるものです。

しかし、その階段が「目指す場所」につながっているかは別問題。別に上司と議論する必要はないでしょうが、考課や目標設定面談など、会社が与えてくれる機会を無駄にせず、自分の考えを整理することが重要だと思います。

▽頼るなら「自分を見てくれる人」に

転職活動での悩みポイントのひとつが、「ヘッドハンターとの付き合い方」だと思います。滝田さんの場合、何人かとやりとりをし、特に相性の良かった1人だけを頼ることにしたようです。

多くの人はコンサルティング企業や大手IT企業のSEなど、似たり寄ったりな求人を持ってきたのですが、そのヘッドハンターは現職である「金融」を提案してくれました。「最もサイバーセキュリティを重視している業界のひとつですよ」と言われ、腑に落ちました。

僕も転職活動中に経験しましたが、「自分自身が何を望んでいるか」は、意外と自分でも分からないものです。年収を上げたいのか、働き方を改善したいのか、成長産業で働いてみたいのか…。

「転職活動の『軸』はなんですか」というのはシンプルですが、難しい質問です。自分の転職活動でも、何人かのヘッドハンターに話を聞いてもらううちに、徐々に気持ちが定まっていった記憶があります。

そのうえで、「自分が望む環境がどの業界にあるのか」を知るのは、もっと難しいものです。勤務先以外の会社がどんなビジネスをし、どんな人材を求めているのかを知る機会は限られている。そこに、転職のプロであるヘッドハンターの介在価値があるのでしょう。

転職サービスに登録するとさまざまなヘッドハンターから連絡が届きますが、頼りにすべき相手は、「話を聞いてくれるかどうか」と、その「提案」で見極める。滝田さんの事例は、それがぴったりとはまったのではないでしょうか。

▽仕事の意義を語れる人は魅力的

もう一つ、特に印象に残ったのは、面接でのやりとりを回想する以下の部分でした。

「なぜセキュリティ領域をやりたいのか」という質問も多かったですね。セキュリティは「守り」というイメージを持たれがちですが、事業を安心して運営し、世の中に価値を届けるための基礎だと考えています、と回答しました。

「できる」というスキル、「やりたい」という意欲とは少し違った観点で、「仕事の意義をどう考えているのか」をしっかり話していただきました。

こうして活字にすると「きれいごと」のようにも見えますが、これを自分の言葉で話せることはとても大事だと思います。自分が関わっている仕事に、どんな意義を見いだしているかを語れる人は、魅力的ですよね。

これはもしかすると、最初の話と「考課面談」の話とも、つながっているのかもしれません。

仕事の意義を真面目に、まっすぐに見つめている滝田さんだったからこそ、目標設定面談で「なりたい自分」と「会社が求める自分」のズレに気付けたのではないか――と思うのです。

▽おわりに

以上、手前味噌めいた感想文をつづってきましたが、「読み手」の僕が本記事から受け止めた教訓は以下の通りでした。

・目標設定面談や考課を「上司まかせ」にしない。自分のキャリアを考えるきっかけにする
・転職するなら「自分のことをよく分かってくれるヘッドハンター」を頼る
・仕事の意義は、「きれいごと」で済ませずに、自分の言葉で語れるようにしておく

もちろん、記事から何を読み取るかが人それぞれなのは、言うまでもありません。

僕の場合は、「目標設定で問われているのは自分自身の目標なのに、『他人まかせ』にしてないかな?」という、少し身につまされる問いと受け止めました。無論、書いたのは僕なのですが…。

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