経営基礎②
経営の基礎について解説していきます。
経営理念から内部・外部環境分析~具体的なマーケティング戦略について、2部に分けて解説していきます。
(先にこちらの記事をご覧ください。)
4.競争戦略
ハーバード・ビジネススクールのマイケル・E・ポーター教授は、競争優位を構築しうる競争戦略に は,以下の3つの戦略があり,それぞれアプローチが異なることを示しました。
コストリーダーシップ戦略→規模拡大が肝なので店舗展開などを継続できる大手が該当します。
集中戦略→全体の市場を相手にしない、特定の市場の中で戦っていくイメージです。
その他、上記以外のアパレルを例に挙げると、
コストリーダーシップ戦略→ユニクロ
差別化戦略→ZARA
集中戦略→白Tシャツ専門店
という分け方ができます。
ユニクロの場合はSPA(自社製造~販売のワンストップ)により、バリューチェーンの中で余計な業者を一切通さないため、不要なマージンを取られることなく、低コストで商品を売り出すことを可能にしています。
上記のようにユニクロはSPA戦略により製品価格を下げることが可能になり、圧倒的なコストリーダーシップ戦略を実現しています。
差別化戦略
ZARA
GAPやユニクロ、H&Mなど、ほかのファストファッションブランドと同じく、ZARAもSPA(製造小売業)で高品質・低価格を追求した経営体制をとっています。しかし、ほかのブランドと大きく異なるのが、「JUST IN TIME(JIT)」という生産方式を採用している点です。
JITは「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」生産するというもの。大量の在庫を抱えるリスクが少ないため、経済効率が高いのがメリットです。
しかし、トレンド感を追求するファッション業界の場合、注文が入ってから店頭に並ぶまでのリードタイムのバランスをとることが難しく、少しの遅れが致命的になるというデメリットがあります。
ZARAでは、週2回という異例のスピードで、1600を超える世界中の店舗に商品を供給しています。ZARAには基本的に追加生産がないので、常に新商品が供給されているわけです。
競合他社の場合は、いずれもデザインから販売までに1ヶ月程度かかることを考えると、ZARAのサイクルがいかに早いかが分かります。この「スピード感」こそがZARAの差別化戦略最大のポイントなのです。
集中戦略
多くの事業者はここで勝負するべきです。
白シャツ専門的や大きいサイズ専門店など、ピンポイントのニーズに対するサービスを展開すると唯一無二になることができます。
ここまでが「誰に対して」という考え方の説明でした。
これらの競争戦略はバリューチェーンモデルでも考えることができます。
バリューチェーンモデル
マイケル・E・ポーター教授が提唱した概念で、企業の全ての活動が最終的な価値にどのように 貢献するのかを体系的かつ総合的に検討する手法です。
バリューチェーンは、価値をつくる活動とマージンからなる。価値をつくる活動は、主活動と支 援活動に分かれており、主活動は、製品/サービスが顧客に到達するまでの、「材料や部品の購 買物流」「製造」「出荷物流」「販売・マーケティング」「サービス」などを指します。
一方、支援 活動には、「調達活動」「技術開発」「人事・労務管理」「全般管理」などがあり、すべての支 援活動が個々の主活動に関連しておりバリューチェーン全体を支援します。マージンとは、総価値 と、価値活動の総コストの差であるとしています。
一連のバリューチェーンはすべて自社完結させる必要はありません。
アップル社でさえも製造は外注している通りです。
続いては具体的なマーケティングの準備を行います。
セグメンテーション
市場をひとつで捉えるのではなく、分けて考えようという考え方です。
その際、4つの変数を用いて考えていきます。
(1)ジオグラフィック (地理的変数)
地理 寒暖 人口密度 観光ガイド、新聞、交通機関 缶コーヒー、コンビニのおでん 百貨店vs.ショッピングセンター
(2)デモグラフィック (人口統計的変数)
年齢、性別、所得、家族構成、職 業(会社員、主婦、学生、未就学 児、高齢者など) マーケティング業界用語のF1(20-34 歳の女性)
(3)サイコグラフィック (心理的変数)
値観、性格、ライフスタイル、購 買動機など 洋服を選ぶときの価値基準(高級志向、 トレンド志向、機能志向)
(4)ビヘイビアル (行動変数)
商品・サービスの利用頻度、利用 用途など 携帯電話の使い放題サービス(使用頻度 による区分
ターゲットの設定
これはセグメンテーションの中でさらに絞る工程ではなく、セグメンテーションの切り口が正しいか検証するために行う工程です。
以下の6Rの観点で検証を行っていきます。
① 市場規模は小さすぎないか? (Realistic Scale)
ビジネスを成功させるためには、ターゲットを小さく絞ることが有 効だが、そのビジネスが成立する最低限の顧客を獲得できるセグメ ントである必要がある。
② 競合は強くないか? (Rival)
すでに競合がその市場で大きな地位を占めている場合は、参入への コストが膨らむことが多く、また、勝てる要素が少なくなってしま う。
③ 市場に成長性はあるか? (Rate of Growth)
たとえ小さな市場でも、誕生したばかりでこれから成長していく市 場であれば、利益を獲得できるチャンスになる。
④ 優先度は高いか? (Rank/Ripple Effect)
周囲への影響力が強いセグメントや、メディアが注目しそうな市場 は口コミ効果や波及効果が期待できるため、優先度を高くする。
⑤ 到達可能性に問題はないか? (Reach)
地理的に遠くて、ターゲット層に商品・サービスが届けられなかっ たり、宣伝が届かない場合は、ターゲットにしない。
⑥ 反応を測定することは可能か? (Response)
実行したアクションに対して、どのような効果があったのかを測定 できることが望ましい
ターゲットはセグメンテーションのための根拠なので、年齢属性でターゲット絞るのは無意味です、なぜならば、お金を払ってくれれば誰だっていいからです。
なぜ、あなたは花屋に行きますか?
恋人や妻にサプライズしたい。感謝伝えたい。
→奥様にあまり感謝していなくマンネリ化している会社員
→恋人と面と向かって感謝言えていない方
これは若者もシニアも当てはまります。勝手に年齢や性別で区切ることは誤ったターゲット設定と、このあと続くポジショニングの失敗を誘引します。
ポジショニングの設定
競合他社がポジショニングされなければ独自性があり、競合優位であると判断できます。
勝負するほど最悪な勝負はありません。
どこに自社を置くか?ポジショニングとは競合との役割分担である認識をもつといいと思います。
特化すればするほど、お客さまが集まります。
マーケティング4Cと4P
今の時代、売り手と買い手どっちが多いでしょうか?・・・買い手ですよね。
そんな中、今でもは売り手目線の4Pを提唱している人がいますが、これは誤りだと考えます。
買い手市場の現代においては、4Cが最も適した考え方です。
この4Pや4Cは、基本的には同じ要素となりますが、重要なのは根本的な施策を考える視点が異なるということです。
4Cの目的はevoked setにあります。
Evoked Setとは、何かをしよう(買おう)としたときに、頭に浮かぶ好意的な選択肢の集合体のことを意味します。
その代表例のビジネスモデルは3つあります。
(1)persistentビジネス→継続的に利用してもらえるビジネスモデルです。美容院シャンプー、髭剃り(ジレット)
(2)partビジネス→機能や属性に特化したビジネスモデルです。
(3)パックビジネス→シリーズや揃えたくなるようなビジネスモデルです。Excel+パワポ+Wordが該当します。
これをアイディアのヒントとして、4Cを埋めていきましょう。
プロダクトのイメージができたら、具体的に商品価値を整理していきます。
製品戦略「プロダクト3層モデル」
製品戦略とは、マーケティング戦略において顧客にどの様な製品やサービスを提供する のかを考えることである。「製品コンセプト」を決定した後、プロダクト3層モデルを 用いて実際の製品に具現化しましょう。
ここまで、商品の中身が定まったら次は価格設定です。
価格戦略
その設定方法はいくつか存在します。
コスト志向型価格設定
製品の製造に要した費用に目標とする利益を上乗せして価格を決定すること。たとえば、製品1個当たり100円のコストがかかり、20円の利益を目標とする場 合は120円という価格を設定することになります。
需要志向型価格設定
市場調査を通して顧客の価格への認識を重視して価格設定を行う。たとえば、顧 客に対して価格調査を行い、多くの顧客が高すぎないし安すぎないと感じる価格 を設定します。
競争志向型価格設定
競合企業の価格と比較して自社製品の価格を設定する。たとえば、ライバル企業 が牛丼を1杯320円に値下げしたので、自社は280円に対抗値下げを行うといっ た場合が競争志向型価格設定の典型的な事例と言える。
市場浸透価格戦略
新製品の発売時に相対的に低い価格を設定する戦略。赤字覚悟の低価格を設定し、 いち早く市場で高いマーケットシェアを獲得することを目指します。
例)AmazonKindle端末は安く、あとで書籍で売り上げることでとくにかく浸透させることを目指しました。
上層吸収価格戦略
新製品の発売時に相対的に高い価格を設定する戦略。高めの価格を設定すること によって、当初から大幅な利益を計上し、早期に新製品の開発コストを回収する ことを目指します。
ここまできたら、あとはどうやって売りに出していくかを決めるのみです。
チャネル戦略
販売チャネルの考え方は大きく次の4つに分類されます。
開放的流通政策
自社製品の販売先を限定せずに、広範囲にわたって開放的に製品を流通さ せる政策。 一気にシェア拡大をできるというメリットがある一方で、チャネルのコン トロールが難しく、販売管理が複雑になるなどのデメリットがあります。
選択的流通政策
販売力や資金力や協力度や競合製品の取り扱い状況などに応じて、流通 チャネルを選定する政策。 適度にコントロールができるメリットがあるが、開放的流通政策に比べる とシェア拡大のスピードは遅くなります。
専売的流通政策
特定の地域や製品の販売先に独占販売権を与える政策。 チャネルをコントロールしやすく、販売管理が容易になるメリットがある 反面、チャネル維持のコストが大きくなりがちな上、流通チャネルが主体 的に販売をしなくなるというデメリットがあります。
プロモーション戦略
販売先が定まったら、どのように打ち出していくのかを検討しましょう。
【プル戦略】
(1)広告
広告主が市場に対して一方的に行うプロモーション手段。テ レビ、ラジオ、新聞、雑誌、チラシ、ダイレクトメールなど が該当すします。
(2)パブリシティ
マスコミや第三者が公の媒体を使って報道する一方的なプロ モーション手段。広告と違って、スポンサー企業は費用負担 をしません。
【プッシュ戦略】
(1)販売促進
購買や販売の意欲を高める短期的なインセンティブから校正 されるプロモーション手段。サンプリングやクーポン、プレ ミアム(おまけ)などが該当します。
(2)人的販売
実際に人的資源を使って営業活動をする双方向のプロモー ション手段。訪問販売、営業活動などが該当します。
【その他】
(1)口コミ
消費者同士の双方向のプロモーション手段。ブログやTwitter、 Facebookなどが該当します。
まとめ
ここまで2回に分けて経営基礎~事業戦略・マーケティングについて解説してきました。
「起業したい」
「お店つくりたい」場合、このマーケティングは必須です。
マーケティングをやる目的は、営業を不要にすることにあります。
マーケティングできると営業が要らず
ブランディングできるとマーケティングが要りません。
なので、ブランディングできると営業が不要になります。
利益が出たらとにかくマーケティング費に変えることが重要です。
利益が出て税金に使うくらないなら、マーケティングに充てて次の資産をつくるイメージです。この循環が大切です。
最後までご覧いただきありがとうございました!!
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