見出し画像

RTO Summit 2024 に参加してみた

「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒すために」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。

御覧いただき、ありがとうございます。

昨日、浅草橋ヒューリックホールで開催されました、RTO Summit 2024というイベントに誘われ、参加してみたところ、とても面白かったので、記録しておきます。(許可を取っているものではありませんが、パンフレットなどは公開情報なので問題ないかとは思いますが、関係者の方で問題ありそうな記述がありましたらご連絡ください。)

普段、自分はこういうイベントに好んで参加しないのですが、誘ってくださった方がリアルの方がおススメとおっしゃったので、じゃあ、会場まで行ってみるか、と思って片道2時間以上かけて行ったのですが、これが正解でした。会の運営とか裏方の動きも含め、とても勉強になりました。誘ってくださった方に感謝ですね。

主催者側は、申し込みは600名とか800名とか(最終発表は908名)とおっしゃっていましたが、会場の座席は200くらいで7割埋まっていたくらいかな。オンライン参加は60名くらいでした。横の人とハイタッチする、話す、というのもあったので、よく見ていなかったのですが、オンライン側はどうしていたんでしょうね。これはオンラインとリアルだと、やはり体感するならリアル参加が良かったんだろうな、と思いました。

さて、このイベントですが、大森健巳さんという方が10年前からやられている自己啓発的なプライベートなビジネススクールの発表会、という体の会です。第9期60名の参加者のうち、成果を出して選ばれた6名がプレゼンし、聴衆の投票でグランプリを決める、というもの。

プレゼンターの皆様

プログラム自体は7ヶ月のプログラムとのこと。どこを見ても価格が書いていないのと、参加者のほとんどが経営者なので、まあ、お高いんでしょうねw

大森さんが学んだ師として、アンソニー・ロビンス、ジェイ・エイブラハム、ブライアン・トレーシー、ロバート・キヨサキなどの名前が挙がっていましたので、まあ、正統的な自己啓発の流れなのでしょう。大森さんはこれらの成功哲学を学んでいくうちに、結局、みんな同じことを言っているな、ということに気づき、そのさらに元は?ということで、遡っていったそうで、それを元にプログラム化した、ということのようです。

そんなことより、大森さんのエネルギーとトークがすごかった。完全に関西ノリ、時々、下ネタも入ってきて、大丈夫なんかいな、と思ってしまいました。一部の芸人のネタの再現はわかりませんでしたが、こういうのはアンソニーからの学びではなく、ご自身の芸風なんでしょうね。で、司会は一応、居ましたが、最初と最後の挨拶だけ。後は、講師役もファシリ役も事務局的な伝達も、全部、おひとりでこなしてました。コスパがいいなぁ。

ちなみに、RTOのプログラムについて、パンフレットにはこのような図が記載されていました。

登壇者の発表を聴いたり、大森さんのお話を聴いている中で、なるほど、これは日本人向けによくカスタマイズされたプログラムだなーと納得しました。そして、このプログラムの本質はコーチングなんだな、と思いました。実際、大森さんは全受講生に対してコーチングしているようで、そこに自分の強みがある、ともおっしゃっていました。コーチングの進化形のひとつの完成形だなーと思いました。

大森さんは、日本は資源もなく、人口も減っているので、豊かになるには生産性を上げるしかない、とおっしゃっていました。また、ところどころで教育の大事さを訴えていました。確かに、このプログラムは日本の教育で教えてくれないこと、それゆえに日本が豊かな国になれないことを教えているプログラムだなぁ、と思って、これは内容をシェアした方がいいんじゃないかな、と思って、この記事を書くことにしました。

大森さんがパンフレットで書いている8つの力。その最初に来るのが「プレゼンテーション」です。これは自己理解とセットになるかと思います。自分は何がしたいのか、どう考えるのか、それをきちんと他人に伝えられる能力。さらには、人を笑わせ、感動させ、共感を得る能力。

大森さん曰く、イギリスの子ども達は400時間程度のトレーニングを教育の中で受けると言います。また、アメリカの話も聞いたことがあります。個人的には、プレゼンテーションばかり学ぶと人の話を聴かない人が出来上がる、と偏見を持っていましたが、何をスタートするにせよ、自分のやりたいことについて、やりたい、というエネルギーを伝えられないことには、何も始まらないよな、と思ったので、その偏見を改めることにしました。

日本の学校では教えないですが、これは家庭などでは取り入れられるかもしれません。何かが欲しい、とか、何かをしたい、という場合に、子どもにプレゼンさせ、その内容でジャッジする、という教育です。この教育だけで、子どもの生き延びる力が格段にアップしそうです。

さて、二番目は、コーチングです。紹介者の話では催眠が入った特殊なコーチングとのことでしたが、もともとがアンソニー・ロビンスであれば、NLP寄りなのかな、と思っていました。上の写真のパンフレットの図には、「これは、よくあるコーチングとは違い、クライアントに質問せず、短期間で肯定的な変化を生み出すことができるもの。相手に何を聞いたらいいのか悩むことなく、クライアントに変容をもたらすことができます。」とありますが、いや、もともとコーチングは質問じゃないんだけどなーと思ったのは私くらいでしょう。

よくあるコーチング=質問する

というのが、世の中のコーチング苦手意識を持たれているのかもしれないな、と憂鬱になりかけましたが、実際の大森さんのデモ・セッションを見ると、質問はしていましたし、あとはアドバイスというか、リフレーミングの提案が強めなセッションでした。というか、私から見たら、普通のコーチングでしたw そんな中でも、大森さんの愛と言いますか、あなたはできるのに、なんでやれることをやらないの?という励ましが感じられました。

大森さんは、自分以上に自分のことを信じてくれる存在がいることの心強さ、というような表現も使われていましたが、これは2010年に私が自著で、コーチングのテクニックの最後に入れた「信じる」という項目で書いたことと同じで、私と同じこと言っている、と思いましたw

さて、話をプログラムに戻しましょう。2番目にコーチングが来ている、というのは、このプログラムがとてもよくできているな、と思いました。以前、大学でワークショップを行った際にも、大勢が同時にコーチングを学ぶことのメリットというのを感じたことがあります。

その辺のレポートはこちらにまとめてあります。

学校にコーチング文化を普及させるにはどうしたらよいか、と考えた際に、対象者は、先生、生徒、職員と3つのプレイヤーしかないわけですが、先生は学ばない、職員は忙しい、ということで、生徒がコーチングを身に着けて、友人関係もコーチングマインドで接したらいいのでは?ということから、このワークショップを実施したのですが、その後、彼らの人生を見ていると、今回の講座のような、Outstanding (際立った)なことになっている方も多いようです。

コーチングを身に着けると、友人同士で個性を認め合い、強みを伸ばすようなコミュニケーションができるようになります。ということで、おそらく今回のプログラムでも、参加者同士で相互支援的な対話ができる関係性を作るために、このコーチングというのを2番目に持ってきているように思いました。

続いてセールスですが、これは話を聴くと、潜在能力の開発というか、行動の重要性を含めた話のようです。大森さんはセールスもマーケティングも両方、必要と言っていました。実際には、10分で売上を出す競争をする、みたいなワークもあったらしく、そのためのツールを渡した上で、結局は自分を信じて行動することだよ、という流れになっていたようです。

ここからは省略しますが、結局、教えているのはコミュニケーションの話だな、と思いました。セールスにしても、マーケティングにしても、交渉術にしても、チームビルディングにしても、結局は、どのように人とコミュニケーションするか、という話です。人は普通、自分との対話も含めて無意識にコミュニケーションしています。その無意識レベルでやっていることを見直して、より可能性を広げるコミュニケーションに置き換えていく。そういうトレーニングなんだろうと思いました。

その上で、これは現代風だなーと思ったのは、健康と社会貢献という言葉が成功のための要素に入っていることです。会の中では、実際にカンボジアに学校を作る、アフリカにシェルターを作る、などという話が出てきていて、会場の共感を生んでいました。つくづく日本人というのは共感性の高いおせっかいな民族なんだなぁ、と思いましたが、これはもしかしたら、日本人が生き残る最後の強みになるかもしれないなぁ、と思いました。

さて、いろいろ書いてきましたが、結局のところ、成功するにはエネルギーが高い必要があるわけで、そのために最初に必要なことは自分ができる、と信じること、というメッセージを私は勝手に受け取りましたw

しかし、なぜか日本の親も学校の先生も、そういうことを教えない。

なんてことを言うと、すぐまた「自己肯定感が大事」ということをおっしゃる人がいますが、そういう話ではなく、もっと根本的な自己信頼の話。

余談ですが、コーチが使う「自己肯定感」という言葉のうさん臭さについては、下記のレポートで書いています。

例えば、スピーカーの方が、大森さんからの言葉として、「I’m OK, You're OK」「OK牧場」という言葉を紹介していました。

ご存じの方はご存じ、これは交流分析の言葉です。イアン・スチュアート、ヴァン・ジョインズ著『TA TODAY 最新・交流分析入門』(実務教育出版)には、

フランクリン・アーンスト(Franklin Ernst)は、こうした移行を分析する方法を考案し、それをOK牧場と呼んでいる。

『TA TODAY 最新・交流分析入門』P.150

とあって、実際には「OK牧場」はこのフレームワークのことを言っているのですが、ともかく、ガッツ石松さんの言葉でも大森さんのオリジナルでもないのですが、この「I’m OK, You're OK」という言葉を聞いたことがある人、と大森さんが振ったところ、100人以上居る中で手が上がったのがパラパラと10人にも満たなかったのは衝撃でした。

おいおい、カンボジアの学校も素晴らしいですが、日本の教育の中に、誰か他人の目を気にすることなく、もっと自信を持って自分の人生を生きられるためのプログラムを入れないとダメじゃね?と思ったのでした。

最後に、これも大森さんが強調していたのは、こういうイベントに参加して、良かった、やる気になった、と思って何か目標を立てようというときに、半年後の目標とかを立てては駄目だ、という話。半年前の食事を覚えていないように、半年後なんて、今の気持ちは忘れている。

だから、明日、やる行動を決めてください、と。

行動というのは、手や足や口を動かすことで、考えてみる、というのは行動ではない。

これもコーチングで大事なことだなーと思ったのでした。で、私は、この会での学びをnoteに書きます、と宣言した、というオチでした。

今後、非営利セクターの起業家さんのサポートなども積極的にしていこうと思っていたり、目の前にいる大学生に何を伝えられるだろうかと考えている最中でしたので、今回の学びはすぐに使えそうだな、と思いました。

なお、RTOのプログラムでは、アプリのようなものを使って、日々の行動量をバランスよく増やすサポートがついているそうで、そのポイントが高い上位者が今回のプレゼンターになったそうです。こういう裏側の仕組みも現代風ですね。プレゼンの煽り自体は古典的な、〇億稼ぎました、人生が変わりました、といつものやつ感が満載でしたが、ちゃんと仕組みは進化しているんだなー、と、いろいろ納得しました。良き学びの機会をありがとうございました。

現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
ご意見・ご感想・記事で取り扱って欲しい話題のリクエストも専用フォームより募集しております。

いいなと思ったら応援しよう!

市井カッパ
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!