そろそろ「組織開発」って言葉、やめませんか?
「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒すために」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。
御覧いただき、ありがとうございます。
今日は前から気になっていた「組織開発」という言葉について、です。
国際コーチング連盟(ICF)のコアコンピテンシーや倫理規定の翻訳に関わっていた際、こだわっていたのが、最終的に対訳の形で掲載することでした。英語と日本語では単語レベルでシニフィアンとシニフィエの結びつきが異なるわけで、単語レベルの翻訳としては正しくても、文章としては正しくない、ということは、往々にしてありがちなことです。
幸いなことに、日本人というのはある程度は英語の知識がありますので、比較して読んでもらうことで、原文のニュアンスを取り入れた翻訳であることを理解してもらいたかったのです。
これに対して、この言葉をこう訳すのは間違っているのではないか、辞書には載っていない、という突っ込みをいただくことがありましたが、そこはあまり気にせず、原文の意味を再現した翻訳にしたので、原文に戻ってそこが参照できるように、という配慮でした。
前回まで読み解いていたドラッカーの『非営利組織の経営』でも、例えば、責任という言葉は Responsibility なので、責任というより、あなた次第、という翻訳の方がいいですよ、とか、Reflection は反省と訳されていますが、振り返り、という方が正しい意味ですよ、みたいなことを指摘させていただきました。
ドラッカー『非営利組織の経営』の第V部は、日本語だと「自己開発」ですが、原文は、Developing Yourself なので、これは「自己成長」と訳した方が良さそうだな、と思っていて、それで、今回、前からニュアンス誤訳じゃないかと思っていたこの言葉を思い出したのでした。
組織開発
この言葉の原語は、Organization Development ですが、これも、「開発」と訳してしまったために、その業界に混乱が起きているような気がします。
日本語で「開発」と聞いたとき、どのようなイメージが湧くでしょうか?
Canvaの画像生成に「開発」と入れたらこんな感じでした。
どうも、工事をしてビルを建てる、山を切り開く、そんなイメージなのではないでしょうか?
ということで、このイメージに従いますと、ある組織に外部からコンサルという名の土木作業員が来て、自組織にブルドーザー入れて開墾し、クレーン車入れて何か建物を建設するのを、社員はただ眺めている。そんなイメージになってしまいます。
具体的には、結果としてコンサルの皆さんが、ミッションやビジョンが書かれた綺麗なパンフレットや、社員が登場する動画を納品して去って行くのでしょうか。そして、残されたのはそれを遠巻きに見つめる社員たち。
いや、「組織開発」ってそういうものだっけ?
Organization Development
いや、この、Development の訳し方が悪いんじゃね?
ということで、先の Developing Yourself と同じように、これを「成長」と訳してはいかがでしょうか?
組織成長
いや、こっちでしょうw
ということで、「組織開発」という言葉をそろそろ捨てて、「組織成長」を重視しませんか?という、まあ単なる言葉の訳し方を変えようというご提案でした。
現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
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