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学生団体でパーカーを本気でデザインした話

Bizjapan専属デザイナーのくろちゃんです。学生団体でもデザインを内製したい!そのような信念を持って創作を続けています。

デザイナーの力が必要とされる場面はごまんとあります。これまでに、プロジェクトのロゴ、活動報告書、ビラ、Webサイト、パーカー、Tシャツを作ってきました。一つ一つにストーリーがあり、その設計思想と製作プロセスを是非ご紹介したいのですが、それはまたの機会にしようと思います。

今回はパーカーのデザインについて紹介したいと思います!予算は出せないがしっかりしたものを作りたい。私たちと同じようにデザインの内製を考えている方の参考になれば幸いです。

チーム力を高めるため、パーカーを作る

Bizjapanでは毎年のようにおそろいの服を新しくデザインし、制作しています。その表向きの理由は学園祭への出店です。秋に開催される東京大学の学園祭に出店するため、スタッフの服装をおそろいのパーカーで統一し、視認性を高めます。

服を作成する真の理由は、チーム力を高めるためです。Bizjapanはプロジェクトベースで活動を行う団体ということもあり、運営の随所に工夫をしなければ違うプロジェクトのメンバーがなにをやっているのか、その人がどんな人なのかがわからなくなってしまいます。そのような事態を避ける、メンバー間の結び付きを強めるための施策の一つとしてパーカーは機能しています。

運営代らしさをデザインに落とし込む

そして、毎年作っているにも関わらず新しいデザインに刷新し続けていることにも理由があります。それは、私たちの代の色を出したいと思うからです。

学生団体の特徴として、毎年のように運営メンバーが変わることが挙げられると思います。Bizjapanでも例にもれず、大学2年生3年生が中心となって運営業務を担当します。先輩は尊敬する方ばかりですが、密かに超えてやると思いながら活動しています。因みに今の運営代は6期になります。

パーカーも同じことです。評判も、売上枚数も先代のデザイナーを超えたいと思いながら製作します。エゴであると言ってしまえばそれまでですが、負けられないデザイナーの闘いがあるのです・・・

参考までに、歴代のパーカーデザインの変遷を紹介します。

先々代
シンプルで中央にドンと構えた大きなロゴが特徴的です。この年、Bizjapan Change Makers Programというイベントを開催するにあたって製作されたパーカーです。

先代
Bizレンジャーが発足するという噂が立つほど、そのビビッドな色使いは人々の目線を釘付けにしました。デザイナーはKazuki Ito。現在もクリエイターとして幅広く活躍する、私たちの大切な仲間です。

服飾デザインは利用シーンから逆算する

歴代のパーカーを踏まえて、どのようなデザインがいいか、オペレーション担当の子と2人チームでリサーチと議論を重ねました。1人だと方向性が固まってしまう事が多いので、特に初期の段階ではこのように壁打ち役を用意することをおすすめします。

まず取りかかったことはターゲットの選定です。団体パーカーの利用シーンを考えると、着る回数はそれほど多くないことが考えられます。まずは秋に開催される学園祭で着用します。次に着るのは新歓活動の一環として行う説明会でしょう。

それぞれの利用シーンでこのパーカーを見せたい相手を考えました。

新入生説明会
Bizjapanは留学生比率が高いグローバルな団体です。しかし、私たちが参加する各大学の合同説明会には留学生があまり参加しないため、日本人をメインターゲットとするべきだと考えました。また、他の団体と差別化を図り認知してもらうためにはまずインパクトをもって印象に残すことが大事ですが、それは説明会で発表する内容であって、衣類にはその機能をもたせてはいけないと考えました。ファッションは人の印象に大きく影響します。全員が同じパーカーを着る現場では、プラスイメージをつけることよりもマイナスイメージを出さないことが大事であると考えました。
学園祭
2018年度、東京大学で開かれた学園祭、駒場祭で私たちは石窯ピザの屋台を出店しました。パーカーを着て宣伝活動をすることになるため、ピザ屋っぽさのある、石窯の雰囲気とあったグラフィックが良いと考えました。それを私たちは「洗練された」「モダンな」とは反対の言葉、「シックな」「レトロな」と形容しました。学園祭ではせっかくの学園祭、フレッシュで美味しい本格派を調理しないのはもったいないという思いから、本気でデザインやマーケティングに取り組みました。詳しくは以下の記事をお読みください。

<https://note.mu/takukuro/n/n937e7e07667d>

少しパーカーの方向性が決まってきました。しかしここで、私たちは重要なことに気が付きました。それは、普段遣いできるパーカーを作るべきだということです。

普段遣いできるパーカーを作る

普段から着てもらえたらパーカーは歩く広告として機能します。一着3000円ほどするため、一年に3回しか着られないようではもったいないです。マイナスイメージを出さないという要件とも方向性が合っているため、この要件は必須であると考えました。

まずはPinterestやGoogle画像検索を使って、純粋に好きだと思う衣装デザインをピックアップしました。次に、なぜそのデザインが良いと思ったのかを言語化しました。

その結果、以下の特徴があることに気が付きました。

・色にとらわれず、アイコニックなロゴでブランドイメージが伝わる
・奇抜さはないが、確実な存在感がある

このようにブランドの定義をはっきりと定めることができると、デザインに落とし込む過程が非常にやりやすくなります。

選ばれたのは、アメリカンビンテージ

そして出来上がったのがこのデザインです。

きっかけは、ピザでした。既存のピザ屋のロゴを見ていると、オールドアメリカンなレストランのロゴが多く存在することに気が付きました。アメリカンビンテージデザインはまさに私たちが求めていた「シックな」「レトロな」というキーワードに当てはまったのです。

アメリカンビンテージスタイルに見せるポイントは3つあります。1つ目は円環で囲むこと。2つ目はアメリカ国旗から星を輸入したこと。そして最後は”SINCE 2011”の文字列です。要素をたくさん取り入れてもダサく見えにくいことがアメリカンビンテージデザインの長所ではないかと思っています。

課題はBizjapanらしさをどう取り入れるかということでした。弊団体には本アカウントのアイコンにもなっているロゴマークがあり、学生の間では認知率は高いです。そもそも、団体の名前を見つけてもらわないことには新歓活動におけるブランディングは成り立ちませんよね。そこで、団体名を中央に大きく配置するとともに、団体のブランドカラーを使用し、パルス(ギザギザのこと)を中央に再利用して描きました。元のロゴと同じパーツを用いたりしたことで、このロゴマークがBizjapanのものであるとかなりの精度で当てられるようになったのではないかと思います。

パーカー担当者の間ではこれを大人のパーカーと呼んでいます。先代の作った、Bizレンジャーが着るビビッドなものと比べて、知性と落ち着きが感じられるのではないでしょうか。

秋冬用のパーカー、同じデザインで春夏用のTシャツをそれぞれ製作しました。発注の際、生地の色に拘りました。パーカーはオートミール・グレー・ワインレッド・ネイビー・ブラックの5色展開。Tシャツもホワイト・ベージュー・ライトピンク・チャコールグレー・オリーブの5色展開としました。いろいろな色の選択肢がある中で、あえて彩度を落とした色に絞って購入してもらうことで、ブランドを統一することに成功しました。

メンバーからの評判もよく、「かっこいい」と言う声を多数聞くことができたことはデザイナー冥利に尽きます。

まとめ

はじめての服飾デザインでした。作ってみた結果わかったことは、本当のターゲットは着用者であるということでした。異なるシーンで、周りの人にどう見られるかを気にしながらブランドの考察を行っていましたが、そうしてできあがった服も結局のところ着られなければ意味がありません。デザインを気に入って購入してもらい、着用してもらうためにはまず、着用者に気に入ってもらう必要があります。

学生サークルにおけるパーカー製作の現場では、全員が必ず購入するものとして義務付けられている場合があります。そのような現場では、デザインが気に入らなくて嫌々ながらも購入せざるを得ないときが往々にして存在します。でもそれって不憫じゃないですか?どうせならかっこいいデザイン作りたくないですか?

利用シーンや購入者の分析を丁寧に行い、ブランドの定義をはっきりと定めることができれば、プリントパーカーのデザインは容易にできます。他のいろいろなデザインに比べても、作るグラフィックの面積が小さくて済むためです。また、実際にお金を出し、長い時間着て過ごすものなのでオシャレなものができると多くの人に喜んでもらうことができます。

さあ、あなたの団体でも本気でデザインの内製やってみませんか?


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