会社の仕事を作り直す方法(Chapter3-4)
4 典型的な日本の企業はどうなっているのか
欧米諸国や中国で躍進をしている企業がありますが、「仕事の質」という面で、日本の企業との違いは何なのでしょうか。
少々、概念的な話になってしまいますが、その違いを、仕事の矢印で表現することができます。
躍進している企業を表現してみましょう。躍進している企業は、強いリーダーシップの元にビジョンやミッションを明確に打ち出しています。デジタルテクノロジーによりビジネスのスピードが高まる中、ものごとを早く実現することが求められます。ですから、ビジョンやミッションが打ち出されれば、やり方をきちんと固める前に、社員全員がそちらの方向に向かって行動し始めます。
やり方はイマイチだから、仕事の矢印の長さは短い。でも、仕事の矢印の向きは、ほとんどがビジョンやミッションに向いている。だから、「仕事の質」の総力は、かなり良くなるはずです。
一方で、典型的な日本企業はどうでしょうか。
躍進している企業と同様に、ビジョン(経営方針や事業方針)は打ち出されています。しかし、それが仕事に反映されているか、社員がそのビジョンに基づいて仕事を行い、行動しているか、というと、ちょっと疑問です。しかし、やり方についてはじっくりと考えて、実行していくのが日本の企業です。
ですから、仕事の矢印の向きは、ビジョンやミッションからずれている。もしかしたら、かなりズレているかもしれません。しかし、やり方は抜群ですから、仕事の矢印は長い。しかし、結局、「仕事の質」という面で見ると、総力を結集しても、あまり良くならない。
時代背景もあって、どちらが良いというものでもありませんし、ビジョンそのものの打ち出し方の強い弱いもありますが、日本企業には、強いリーダーシップとともに、「仕事の質」を上げる取り組みも必要なのではないかと、この図を描きながら思います。
つづく
このブログは、弊社発行の小冊子『社員力を100%活かすための 会社の仕事を作り直す方法』を再構成しています。