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発熱の限界は?

 「暑い部屋の中で倒れていたところを発見され,体温40℃で救急搬送」というエピソードを効くと「熱中症かな?」と思ってしまいますが,「なぜそんな暑い部屋で倒れていたのか?」を考えて原因検索を行うことが大切です。
 こうしたプレゼンテーションで思い出せるだけでも
- くも膜下出血,
- レジオネラ肺炎,
- Covid-19
原因で倒れていたと考えられた人がいました。

 高い体温をみた場合,発熱なのか,高体温なのかの区別が重要な場合があります。

 発熱 fever と高体温 hyperthermia の違いはなんでしょうか?

 発熱はなんらかの刺激によって体温調節中枢のセットポイントが上昇することによって起こります。これに対して高体温は,体温調節中枢のセットポイントは変わっていないものの,身体の体温調節がうまく制御できずに体温が上がる状態を指します。熱中症や悪性症候群,悪性高熱などが原因になります。高体温に対してはNSAIDsやアセトアミノフェンといった解熱薬は無効です。

 実は発熱で41.1℃を超えることは稀で,42℃を超えることはありません。体温が42℃を超えていた場合は,発熱ではなく,高体温を考えるべきです。

は,肺炎や回帰熱,マラリア患者,マラリアによる発熱療法(抗菌薬がなかった時代に,マラリアをわざと感染させ,その発熱によって梅毒を治療しようと試みられたことがありました)による発熱患者の体温測定の結果です。
 41.1℃(華氏106度)を超えたのは4.3%だけ,42℃を超えたのは1人もいませんでした。

Am J Med Sci. 1949;217:361–8. より作成

 41℃を超えるのは感染症ではよほどのこと,42℃を超えていたら体温調節に異常が起きていると考える必要があります。


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