【ものづくり】半導体製造で活躍する日本企業Part 2
半導体製造装置や材料で強いのは日本企業(前工程)
では半導体材料や製造装置、部材メーカーを分野やプロセスごとに紹介していきましょう。半導体製造には前工程と後工程があります。
シリコンウエハー
半導体生産力地域別では世界第3位ですが、製造装置や材料分野では日本企業が高いシェアを持っています。日本企業の装置、材料、そして技術が最先端の半導体生産を支えています。
まずは半導体材料のシリコンを薄く円盤状に加工したウェハーと呼ばれる板を生産しているのが、信越化学工業とSUMCO。この2社が世界のトップを走っています。
成膜
ウエハーの上に回路を作るとき、回路のベースとなる酸化シリコンやアルミニウムなどの薄膜を作ります。この工程で利用されるCVDではアメリカのアプライドマテリアル(AMAT)やラムリサーチ(LAM)の装置が圧倒的シェアを持っているのですが、そこに続いているのが日本の東京エレクトロンです。
フォトレジスト
このウエハーを高速回転させて、フォトレジストと呼ばれる感光剤をコーターという機械で均一に塗布します。フォトレジストでは東京応化工業やJSR、コーターでは東京エレクトロンといった日本企業が圧倒的なシェアを持っています。
フォトマスク
半導体はシリコンでできたウエハーに回路を印刷します。半導体の製造には印刷の技術が必要とされているのです。そこで利用されるのが「フォトマスク」と言われるものです。フォトマスクは透明のガラス板で、そこに描かれている回路のパターンをウエハーに焼き付ける際の元、つまり原版になります。凸版印刷や大日本印刷、HOYAなどが知られています。凸版印刷のフォトマスク部門は2022年4月に分社化され、トッパンフォトマスクとして、事業を開始しています。
露光装置
半導体の回路はレーザー光でシリコンウエハーに焼きつけられます。この露光装置で圧倒的なトップにいるのは残念ながら日本ではなく、オランダのASMLという会社です。しかし、日本のキヤノンやニコンも負けずと技術開発を行っています。
エッチング
ウエハーに回路を描く工程が完了した後、不要な部分、酸化膜を除去して半導体のパターンを残すのがエッチングと呼ばれるプロセスです。 エッチングにはウエットエッチングとドライエッチングがあり、薬液や反応ガス、イオンの腐食反応で回路パターンを形成します。ドライエッチング装置は日本メーカーでは東京エレクトロンや日立ハイテクがよく知られています。
高純度ガスや特殊材料ガス
半導体の製造プロセスでは高純度ガス、特殊材料ガスなど、さまざまなガスが利用されています。材料ガスは半導体の配線などを形成に、プロセス用ガスはエッチングや製造装置のクリーニングなどに使用されています。昭和電工、日本酸素ホールディングス(太陽日酸)、関東電化工業、セントラル硝子、ADEKA など、日本企業が強い分野です。
また、こうした質量・流量の制御には高い精度が求められています。そこで使われているのがマスフローコントローラーです。高いシェアを持っているのは堀場製作所グループの堀場エステックです。
フォトレジスト剥離・洗浄
フォトレジストは除去しなければなりません。また、パーティクルと呼ぶゴミや油脂、人の体についていた有機物質などがウエハーについていることがあり、こうしたウエハーの汚れを洗浄します。洗浄にはドライ洗浄とウエット洗浄があります。SCREENホールディングスや東京エレクトロンの2社で圧倒的な世界シェアを持っています。
イオン注入
洗浄したウエハーにイオンを注入することで半導体を形成します。ここで利用されるのが住友重機械イオンテクノロジーや日新イオン機器といったメーカーの製品が知られています。 日新イオン機器は日新電機のグループ会社で、日新電機は住友電気工業のグループ会社です。
ウエハーの平坦化(CMP)
ウェーハ表面を研磨し、パターンの凹凸を平坦化する工程です。国内メーカーでは東京精密やSCREENホールディングスの製品が知られています。フォトレジスト塗布からウエハーの平坦化までの工程を繰り返し、ウエハーにトランジスタなどの必要な素子を作り込んでいきます。
ウエハーの検査(プローバー/プローブカード/テスター)
こうした工程を経て、ウエハーの上にチップができあがります。このウエハーをチップごとに試験していきます。この分野の日本企業は日本マイクロニクスや東京精密、日本電子材料、日立ハイテクなどが知られています。